【どう見るこの相場】菅義偉首相を反面教師に最大の経済対策はコロナ対策、感染症予防関連株が中心に?
- 2021/9/6 10:55
- どう見るこの相場
■総裁選挙、新内閣組閣という政治空白で大悲観シナリオも懸念
「明かりははっきり見え始めている」と記者会見で発言したのは、菅義偉首相である。今年8月25日であった。それからわずか9日間、何があったのか外野席からはなかなか測りしれない。ただ事実は事実として、菅首相自身にはどうも「明かりは消え始めている」ようではあったのかもしれない。前週末3日の昼過ぎに突然、菅首相から自民党総裁選挙への不出馬が表明された。やはり「政界の一寸先は闇」かと改めて思わされた。
ところが兜町は、不出馬の第一報が入った途端に「大いなる悲観は大いなる楽観に一致する」、「明かりが見え始めた」とばかりに果敢にチャレンジした市場参加者が多数派となった。菅退陣で来るべき衆議院選挙での「大敗リスクは軽減した」、逆に大型経済対策への期待大と買い上がり、日経平均株価は一時、窓を開けて606円高と急伸し、2万9000円台を回復しておよそ2カ月半ぶりの高値となり、売買代金も3兆円を超える大商いとなった。
週明けは、この株高シナリオが正解か、株高に持続性があるかなど、メディア報道や各種世論調査、それこそネットのフェイクニュースにまで聞き耳を立て模索が続くことになる。と同時に自民党の総裁選挙を前に、9月17日の告示日までに誰と誰が推薦人20人を確保して立候補をするのか、それとも出馬表明済みの岸田文雄前政調会長が先行の利を生かすのか、誰が総裁となれば衆議院選挙を勝利に導けるのかなどなど票読みを続けることになる。菅首相の総裁選不出馬の引き金は、総裁選挙での党内力学の分析だけだったのか、その先の任期満了後と観測されている衆議院選挙の逆風まで見通してのことだったのかも大いに気になる。
■「大いなる悲観」も「大いなる楽観」もそれぞれのシナリオ銘柄に小出しのスタンバイ
いずれにしろ、自民党の総裁選挙の告示日の9月17日、投開票日の9月29日までメディアも投資家も勝手読みをして「明かりははっきり見え始めている」シナリオから「政界の一寸先は闇」シナリオの間で大悲観、大楽観に揺れ動くことになるはずだ。この「一寸先は闇」シナリオでは、早くも歴史は繰り返すとして「政治改革ごっこ」や「衆参ねじれ現象」で政権交代に揺れた1990年代~2000年代初めまでの短命政権時代に逆戻りをするとの極論まで出ており、株価が、どう反応するか見極め、個々の投資家の腕の見せどころとなる。また足元では、1カ月にも及ぶ総裁選挙、新内閣組閣という政治空白が、新型コロナウイルス感染症対策の手抜きにつながるもう一つの「一寸先は闇」の大悲観シナリオも懸念されている。
ということで、前週と同様で恐縮ながら「大いなる楽観シナリオ」と「大いなる悲観シナリオ」を両並びに提示する。大楽観シナリオは、前週末3日後場の株高銘柄の後追いのきらいはあるものの、新型コロナウイルス感染症対策で後手を踏んだ菅首相を反面教師に、最大の経済対策はコロナ対策として感染症予防関連株が中心となりそうだ。大悲観シナリオは、自民党総裁選挙の流動化、衆議院選挙の混迷化を想定するもので、ここでは選挙関連銘柄を有力ターゲットとした。このまま突っ走り大相場が期待できるのか、それとも一転した大崩れを懸念しなくてはならないのかはさて置き、まずは小出しのスタンバイ、打診買いから始めたい。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)