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インテージホールディングスは上値試す、22年6月期減益予想だが保守的
- 2021/9/7 08:29
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
インテージホールディングス<4326>(東1)は市場調査事業を主力として、システムソリューション分野や医薬情報分野にも積極展開している。22年6月期は成長投資などで減益予想としているが保守的な印象が強い。上振れの可能性がありそうだ。株価は急反発して6月の年初来高値に接近している。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。
■国内首位の市場調査が主力
子会社インテージのSCI(全国個人消費者パネル調査)やi-SSP(インテージシングルソースパネル)など、国内首位・世界10位(GRBN 2018 Global Top25 Report)の市場調査事業を主力として、システムソリューション分野や医薬情報分野にも展開している。
セグメント区分は消費財・サービス分野のマーケティング支援、ヘルスケア分野のマーケティング支援、ITソリューション分野のビジネスインテリジェンスとしている。
21年6月期のセグメント別構成比は、売上高が消費財・サービス分野のマーケティング支援62%、ヘルスケア分野のマーケティング支援26%、ビジネスインテリジェンス13%、営業利益が消費財・サービス分野のマーケティング支援43%、ヘルスケア分野のマーケティング支援51%、ビジネスインテリジェンス6%だった。
消費財・サービス分野のマーケティング支援では、データサービスやカスタムリサーチなどを展開している。独自収集した各種パネル調査やカスタムリサーチから得られたデータを基に、高度なリサーチ技術やデータ解析力を駆使して、消費財メーカーを中心に企業のマーケティング活動をトータルサポートしている。主な事業会社はインテージ、インテージリサーチ、海外子会社などである。
21年5月にはリサーチ・アンド・イノベーション(RNI)を子会社化、21年7月にはインテージがIXTを吸収合併した。また21年8月にはインテージ・ベトナムがベトナム国家大学ハノイ校日越大学(ハノイ)と産学連携の基本協定を締結した。
ヘルスケア分野のマーケティング支援では、一般用医薬品・医療用医薬品の市場調査、製薬企業からの委託によるデータマネジメント・解析業務、医薬品開発をサポートするCRO業務などを展開している。事業会社はインテージヘルスケアの直下に協和企画、インテージリアルワールド(医療情報総合研究所が21年7月1日付で社名変更)、プラメド、Plamed Koreaの4社を置く体制としている。
ビジネスインテリジェンスでは、ソフトウェア開発やシステム構築・運用などを展開している。事業会社はインテージテクノスフィア、ビルドシステム、エヌ・エス・ケイなどである。
■次世代SRIサービス「SRI+」を核に総合力向上
第13次中期経営計画では目標値に23年6月期売上高625億円、営業利益50億円、営業利益率8.0%を掲げている。目指すべき姿を「データを核として、顧客ビジネス課題解決や意思決定に深く関与・伴走し、ビジネス創造と変革に寄与できる存在」として、次世代成長ドライバー確立などグループ間連携による対応領域の創造と拡張を推進している。またデジタル環境の変化に対応するため、積極的な事業投資やM&Aも継続して実施する方針だ。
消費財・サービス分野のマーケティング支援では、次世代SRI(全国小売店パネル調査)サービスの「SRI+」(ECデータ含む)を21年1月にリリースした。今後は「SRI+」を核としてソリューションおよびパートナー連携による総合力向上を図り、収益拡大につなげる方針だ。また定量的な行動観察を可能にした動画解析プラットフォーム「Label Note(仮)」のリリースに向けて準備中である。
SBIインベストメントと共同設立のINTAGE Open Innovation Fundは、パーソナルAI「al+」開発のオルツ、WEBリサーチのリサーチ・アンド・イノベーション、IoTデータ流通プラットフォームの米EverySense、訪日外国人向けショッピングサポートアプリ「Payke」のPaykeなどに投資している。21年7月現在の投資実績は23社、合計約24.8億円である。
■22年6月期減益予想だが保守的
22年6月期連結業績予想は、売上高が21年6月期比5.1%増の605億円、営業利益が23.1%減の34億円、経常利益が21.3%減の40億円、親会社株主帰属当期純利益が17.0%減の28億円としている。配当予想は21年6月期と同額の35円(期末一括)としている。予想配当性向は50.0%となる。
セグメント別の計画は、マーケティング支援(消費財・サービス)の売上高が21年6月期比6.8%増の380億円で営業利益が37.2%減の12億円、マーケティング支援(ヘルスケア)の売上高が1,9%増の150億円で営業利益が16.1%減の19億円、ビジネスインテリジェンスの売上高が3.1%増の75億円で営業利益が22.4%増の3億円としている。
全体として需要が回復基調で増収だが、成長投資の影響で減益予想としている。ただし保守的な印象が強い。上振れの可能性がありそうだ。
■株主優待は毎年12月末の株主対象
株主優待制度については、決算期変更に伴って基準日を変更している。従来の毎年9月30日対象から、毎年12月31日現在の1単元(100株)以上保有株主を対象として実施(詳細は会社HP参照)する。21年6月期対象から変更した。
■株価は目先的な売り一巡
新市場区分については、新市場区分における上場維持基準への適合状況に関する一次判定結果について、プライム市場の上場維持基準に適合していることを確認した。今後はプライム市場申請に係る所定の手続き等を進めるとともに、更なるコーポレートガバナンス向上を目指すとしている。
8月4日発表の自己株式取得(上限100万株・12億円、取得期間21年8月5日~22年6月30日)については、21年8月31日時点で累計取得株式数が8万5300株となった。
株価は急反発して6月の年初来高値に接近している。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。9月6日の終値は1597円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS70円06銭で算出)は約23倍、今期予想配当利回り(会社予想の35円で算出)は約2.2%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS750円50銭で算出)は約2.1倍、時価総額は約646億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)