JFEシステムズは下値切り上げ、22年3月期増収増益予想

JFEシステムズ<4832>(東2)はJFEグループの情報システム会社である。鉄鋼向けを主力として一般顧客向け複合ソリューション事業も強化している。9月28日には電子帳票パッケージが20年度市場占有率調査で14年連続シェア1位を獲得したと発表している。22年3月期は鉄鋼および一般顧客の売上が回復し、小幅ながら増収増益予想としている。収益拡大を期待したい。株価は小幅レンジでモミ合う展開だが、徐々に下値を切り上げている。上放れを期待したい。なお10月27日に22年3月期第2四半期決算発表を予定している。

■JFEグループの情報システム会社

 JFEグループの情報システム会社である。鉄鋼向け情報システム構築事業を主力として、ERPと自社開発ソリューションを組み合わせた一般顧客向け複合ソリューション事業、自社開発のプロダクト・ソリューション事業も強化している。

 21年3月期の事業別売上高は、鉄鋼が20年3月期比16億円減の194億円、一般顧客が8億円減の151億円、基盤サービスが10億円増の65億円、子会社(JFEコムサービス、IAFC)が1億円減の55億円だった。収益面では情報システム関連のため、年度末にあたる第4四半期の構成比が高い特性がある。

 ダイバーシティを推進し、女性の活躍推進の取り組みが優れた企業を厚生労働大臣が認定する「えるぼし」や、働き易い職場環境整備・意識啓発に取り組む企業を東京都が登録する「心のバリアフリーサポート企業」など、働き方・企業風土に関する各種認証を取得している。20年7月には厚生労働大臣から子育てサポート企業として「プラチナくるみん」認定を受けた。21年3月には健康経営優良法人2021(大規模法人部門)に4年連続で選定された。

■電子帳票パッケージは14年連続国内シェア1位

 21年6月には、自社開発電子帳票保存ソリューションDataDeliveryとNTTデータ・イントラマートのintra―martの連携機能強化、日本マイクロソフトのCloud Platform Goldコンピテンシー認定取得を発表した。

 21年7月にはDataDeliveryが、公益社団法人日本文書情報マネジメント協会(JIIMA)の認証する電子取引ソフト法的要件認証制度および電子書類ソフト法的要件認証制度の2つのJIIMA認証を同時取得したと発表している。

 9月28日には、自社開発の電子帳票パッケージFiBridgeシリーズが、富士キメラ総研「ソフトウェアビジネス新市場2021年版」電子帳票パッケージ(運用・保尊システム)分野20年度市場占有率調査(販売パッケージベース)で、14年連続で国内製品シェア1位(数量シェア25.2%、金額シェア25.3%)を獲得したと発表している。利用企業数は4000社を超えている。

■ソリューション事業も拡大推進

 新型コロナウイルス感染症拡大で不透明な状況のため、次期中期経営計画の策定を1年先延ばし(23年3月~25年3月期の3ヶ年計画とする予定)し、22年3月期は次期中期経営計画に向けた準備期間と位置付けた。

 基本戦略としては、高収益事業への構造転換で製鉄所システムリフレッシュ本格化に向けた体制確保、AIやIoTなど新技術を活用したソリューション事業の拡大、クラウドやセキュリティ関連など基盤サービス事業の拡大、基幹事業の強化で自動車向け体制充実や金融向け構造転換推進など製造・金融分野の顧客基盤強化、プロダクト事業(食品、電子帳票)強化によるニッチトップ確立を推進している。

 21年4月には一般顧客部門に事業本部制を導入し、パッケージを主体に顧客の課題を解決する事業を集約したソリューション・プロダクト事業本部、オーダーメード開発を主体とする事業を集約したビジネスシステム事業本部とした。また製造流通業界(JFEスチールグループ含む)向けのデジタルトランスフォーメーション推進部署としてDX推進部を新設した。

 21年8月にはOutSystemsジャパンと、日本市場におけるOutSystemsプラットフォームに関するパートナー契約を締結した。ローコード開発プラットフォームの導入を加速してDXを強力にサポートする。

■22年3月期増収増益予想

 22年3月期連結業績予想は、売上高が21年3月期比3.3%増の480億円、営業利益が2.0%増の47億60百万円、経常利益が2.2%増の48億円、親会社株主帰属当期純利益が0.5%増の31億円としている。配当予想は60円(期末一括)である。21年4月1日付株式2分割換算後で21年3月期と同額となる。

 鉄鋼および一般顧客の売上が回復し、受注拡大に向けた営業経費などの増加を吸収して小幅ながら増収増益予想としている。事業別売上高の計画は、鉄鋼が16億円増加の210億円、一般顧客が8億円増加の159億円、基盤サービスが横ばいの65億円、子会社が会計基準変更の影響で9億円減少の46億円としている。

 第1四半期は、売上高が前年同期比4.2%増の119億15百万円、営業利益が4.8%増の10億42百万円、経常利益が4.8%増の10億55百万円、親会社株主帰属四半期純利益が7.7%増の6億68百万円だった。一般顧客部門の製造業向け事業の需要が回復して増収増益だった。

 22年3月期は次期中期経営計画に向けた準備期間と位置付けて、JFEスチール製鉄所システムリフレッシュの遂行、ソリューション事業の拡大、基盤サービス事業の拡大を中心とした主要課題に取り組み、過去最高だった20年3月期水準への回復を目指すとしている。第1四半期の進捗率は売上高24.8%、営業利益21.9%と概ね順調だった。通期ベースでも収益拡大を期待したい。

■株価は下値切り上げ

 株価(21年4月1日付で株式2分割)は小幅レンジでモミ合う展開だが、徐々に下値を切り上げている。上放れを期待したい。9月28日の終値は1741円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS197円39銭で算出)は約9倍、今期予想配当利回り(会社予想の60円で算出)は約3.4%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1298円06銭で算出)は約1.3倍、時価総額は273億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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