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【アナリスト水田雅展の銘柄分析】ビューティガレージは上場来高値圏で堅調、中期成長力を評価
- 2015/6/29 07:48
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
ビューティガレージ<3180>(東マ)はプロ向け美容商材ネット通販の最大手である。ITとリアルを融合連携させて、美容サロン向けにBtoBで美容商材物販事業や開業・経営ソリューション事業を展開している。株価は上場来高値圏1200円~1400円近辺で堅調に推移して、6月9日には上場来高値1470円まで上伸する場面があった。中期成長力を評価して上値追いの展開だろう。
03年4月設立で、13年2月東証マザーズに新規上場した。プロ向け美容商材ネット通販の最大手である。美容業界に新しい価値を創造し、サロンビジネスの繁栄に貢献することをミッションとして、IT(ネットでの通販)とリアル(ショールームでの販売)を融合連携させたBtoBビジネスモデルである。
理美容室、エステサロン、ネイルサロン、リラクゼーションサロンなど、全国の美容サロン向けに、業務用理美容・エステ機器(スタイリングチェア、シャンプーユニット、パーマ機器、エステスチーマーなど)や、業務用化粧品・消耗品(ヘアケア製品、エステティック化粧品、マッサージオイル、ネイル商材など)を販売するプロ向け美容商材の物販事業、サロンの店舗設計デザイン事業、美容サロン開業・経営に関するソリューション事業を展開している。
販売チャネルは、登録会員数約24万口座、取扱商材約65万点で日本最大級のプロ向け美容商材ネット通販サイト「BEAUTY GARAGE Onkine Shop」を主力として、カタログ通販、全国9拠点のショールームでの販売を展開している。ショールームは中古品の買い取り・メンテナンス拠点としても機能している。
15年4月期の物販事業の販路別売上構成比は、オンラインショップ経由が58.2%、電話・FAXが21.1%、ショールームへの来店が18.3%だった。オンラインショップ経由が増加基調である。
また商品別売上構成比はPB機器50.0%、PB化粧品10.1%、NB機器17.2%、NB化粧品18.8%だった。SPA(製造直販)方式で自主開発したオリジナルブランド(PB)が全体の6割超を占めている。
15年4月期末時点のオンラインショップ登録会員数は前期比3万3412口座増加の23万9470口座で、このうち過去1年に購入履歴のあるアクティブユーザ数は同1万1495口座増加の7万7626口座、アクティブユーザ比率は同0.3ポイント上昇の32.4%となった。
ソリューション事業では合計11の周辺ソリューションWEBサイトを運営している。15年3月にはサロンの開業・経営・教育に関する各分野のエキスパートによるセミナー情報サイト「BGアカデミー」を開設した。
グループ子会社は、店舗設計・施工事業のタフデザインプロダクト、美容師などの求人マッチングサイト運営のサロンキャリア、アイラッシュ(まつ毛エクステ)商材卸売および開業・経営支援事業のアイラッシュガレージの3社である。
中間流通を省いたダイレクト販売と大量一括購入によって実現した国内最安値保証、自社開発の「WEB&リアル店舗連動型」基幹POSシステム、自社物流センターを保有して業界をリードする利便性の高い配送サービス、中古・格安PB商品と開業支援ソリューションで新規開業者を集める仕組み、物販とソリューションのワンストップサービスでリピート利用に繋げる仕組みなども強みとしている。
■サロンコンシェルジュNO.1企業を目指す
中期経営計画では、高い収益性と継続的な成長を可能とするビジネスモデルを確立し、開業と繁盛を総合支援するサロンコンシェルジュNO.1企業を目指している。そして目標数値に17年4月期の売上高100億円、経常利益7億円を掲げるとともに、一段の認知度・信用力向上に向けて早期の東証1部上場を実現する方針としている。
成長に向けた重点戦略としては、美容業界のBtoB電子商取引市場における圧倒的NO.1地位を確立するIT戦略、SPA方式活用によって売れる商品を開発するメーカー戦略、リピート商材拡充によりフロー&ストック型収益構造に転換する専門商社戦略、開業支援・経営ソリューション充実によって総合受注を促進するワンストップソリューション戦略を掲げている。
物販事業では、リピート商材である化粧品・消耗品の販売を拡大するとともに、機器分野ではPB商品、化粧品分野ではNB商品の品揃えを強化する。また物流コスト低減に向けて、16年4月期中を目途として中国にハブ倉庫を新設する予定だ。中国から日本に輸送する商品を、保管料の安い中国のハブ倉庫に一旦集めて検品などを行う。そして保管料の削減、効率的な輸送、不良品の早期発見に繋げる。
15年6月にはプロ向け美容業界の商材仕入用として国内初となるスマホ用バーコード発注アプリ「BGスマート発注」を導入した。商品に記載されたバーコードやQRコードをスマホで読み取るだけで、商品をカートに入れて発注できるバーコードリーダ機能などを搭載した。美容サロンにおける消耗品などの発注業務を簡素化して担当者の発注業務負担を軽減でき、当社への発注増加に繋げる。
6月18日にはクレジット決済のサポートサービス「サロン決済ナビ」をオープンした。美容業界最安値クラスの決済手数料で、国内主要クレジットカード会社に対応している。エステサロン専用クレジット決済なども用意して、各サロンに適した決済端末の導入をサポートするサービスだ。
また6月26日には、ソニー<6758>が15年2月に発表した肌解析システム「BeautyExplorer」の取り扱いを7月から開始すると発表した。エステ・美容サロン、化粧品メーカー、美容関連製品販売店向けに開発された業務用の肌解析システムである。手のひらサイズ肌測定機とクラウドのシステムをリーズナブルな料金設定で当社顧客サロンに提供する。16年4月期業績に与える影響は軽微としているが、当社の品揃え強化や信用力向上に寄与する。
■16年4月期も増収増益基調で増額含み
6月9日に発表した前期(15年4月期)の連結業績は、売上高が前々期比12.7%増の72億75百万円、営業利益が同24.1%増の3億76百万円、経常利益が同32.5%増の3億91百万円、純利益が同44.5%増の2億49百万円だった。配当予想(15年5月1日付株式5分割前)は前々期比6円増配の年間24円(期末一括)で配当性向は11.5%となる。
セグメント別に見ると、物販事業の売上高が同14.6%増の56億39百万円、営業利益(全社費用等調整前)が同6.5%増の4億37百万円、店舗設計事業の売上高が同7.6%増の13億66百万円、営業利益が同63.8%増の83百万円、周辺ソリューション事業の売上高が同1.4%増の2億69百万円、営業利益が同2.6倍の38百万円だった。各セグメントとも消費増税の反動影響などを吸収して順調に伸長した。
なお美容サロンの新規開業が春先に集中する傾向があるため、特に美容機器の需要が高まり、当社の収益は第4四半期(2月~4月)の構成比が高いという季節要因もあるようだ。
今期(16年4月期)の連結業績予想(6月9日公表)は、売上高が前期比16.7%増の84億88百万円、営業利益が同24.3%増の4億67百万円、経常利益が同17.0%増の4億58百万円、純利益が同21.2%増の3億01百万円としている。配当予想については現時点では未定としている。
品揃え強化、サイトの利便性向上、さらに認知度・信用力向上なども寄与して登録会員口座数およびアクティブユーザ数が増加基調である。6月導入のスマホ用バーコード発注アプリ「BGスマート発注」も寄与して、物販事業が好調に推移するだろう。大手サロンチェーンなどからの店舗設計の受注も増加しているもようであり、増収増益基調が予想される。また会社予想は保守的としているため増額含みだろう。
東証1部を目指して立会外分売を実施、株価は上場来高値圏で堅調
なお6月24日~30日に株式の立会外分売を予定している。分売予定株式数は29万8500株で、分売価格は分売実施日前日の終値もしくは最終気配値を基準として決定する。東証1部への市場変更における形式要件である株主数の充足を図るために行う。
株価の動き(15年5月1日付で株式5分割)を見ると、500円~600円近辺でのモミ合いから上放れて上場来高値圏1400円台まで急伸した。4月以降は高値圏1200円~1400円近辺でのボックス展開だが、堅調に推移して6月9日には上場来高値1470円まで上伸する場面があった。中期成長力を評価する動きだろう。
6月26日の終値1272円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS50円54銭で算出)は25倍近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS253円93銭で算出)は5.0倍近辺である。
週足チャートで見ると13週移動平均線がサポートラインの形であり、急伸後の日柄調整が一巡してボックスレンジ上放れのタイミングが接近しているようだ。中期成長力を評価して上値追いの展開だろう。