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日本エム・ディ・エムは上値試す、22年3月期は上振れの可能性
- 2021/10/6 08:31
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
日本エム・ディ・エム<7600>(東1)は整形外科分野の医療機器メーカーである。米国子会社の自社開発製品を主力として収益力向上を推進している。22年3月期は大幅営業・経常増益予想としている。新型コロナ影響が和らいで日本、米国とも症例数が回復基調であり、上振れの可能性が高いだろう。収益拡大基調を期待したい。株価は地合い悪化も影響して戻り高値圏でモミ合う形だが、調整一巡して上値を試す展開を期待したい。なお10月29日に22年3月期第2四半期決算発表を予定している。
■整形外科分野の医療機器メーカー、米国子会社の自社開発製造が主力
人工関節製品、骨接合材料、脊椎固定器具など整形外科分野を主力とする医療機器メーカーである。商社機能と開発主導型メーカー機能を融合した事業展開で、米国子会社オーソデベロップメント(ODEV)社製品を主力としている。
21年3月期売上構成比は、日本が66%(人工関節26%、骨接合材料22%、脊椎固定器具15%、人工骨1%、その他1%)、米国が34%(人工関節34%、脊椎固定器具0%)で、自社製品比率は79.9%(20年3月期は83.1%)だった。営業利益構成比(調整前)は日本が63%、米国が37%だった。21年3月期は特に米国において新型コロナ影響を受けたため、米国の構成比が低下した。
収益面の特性として、医療機器償還価格の影響や為替変動の影響を受けるほか、整形外科医療機器の販売は下期が繁忙期となる傾向があるため、業績も下期の構成比が高い特性があるとしている。
■新中期経営計画「MODE2023」
中期経営計画MODE2023では、目標値に24年3月期売上高220億円(日本90億円、米国・オーストラリア132億円)、営業利益35億円、経常利益34億円、親会社株主帰属当期純利益23億円、ROE(自己資本利益率)10.0%、ROIC(投下資本利益率)9.0%を掲げている。想定為替レートは1ドル=108円である。また10年後の目指す姿として、日本内資企業で売上高首位、世界整形外科市場で15位以内を目指すとしている。
中期重点施策として海外ビジネスの拡大、開発・調達力の強化、人材・組織の専門性強化、デジタル化を推進する。そして利益の伴った持続的な成長を実現するとしている。
海外ビジネスの拡大は、米国では販売体制強化と人工関節分野新製品導入による2桁成長を目指す。中国では合弁会社設立によるODEV社製品の輸入販売拡大と中国現地生産品の製造・販売開始を目指す。オーストラリアではODEV社製人工関節製品の販売を開始し、症例実績積み上げを推進する。
開発・調達力の強化は、ODEV社との日米共同開発による適応症例拡大に向けたインプラント開発、および新素材インプラントや手術支援システムなど外部調達によるビジネス拡大を目指す。
21年3月にはODEV社が中国WASTONと、中国現地生産品の製造・販売を目的とした合弁会社を設立した。21年5月にはODEV社が米国THINK社と共同で、米ODEV社の人工関節製品を用いた人工関節全置換手術を、THINK社の手術支援ロボットシステムを用いて行うことができるようにした。
21年8月にはフランスのFH Industrie社製のArrow人工肩関節(全人工肩関節システム)を日本に導入して販売開始した。21年9月には人口膝関節新製品「BKS Coneシステム」の薬事承認取得を発表した。
■22年3月期大幅営業・経常増益予想、さらに上振れの可能性
22年3月期連結業績(収益認識に関する企業会計基準第29号適用後)予想は、売上高が21年3月期比11.7%増の187億円、営業利益が24.5%増の27億円、経常利益が24.7%増の26億50百万円、そして親会社株主帰属当期純利益が8.1%増の18億円としている。配当予想は1円増配の12円(期末一括)である。
新型コロナ影響が和らいで2桁増収、大幅営業・経常増益予想としている。売上高は日本が6.7%増収(人工関節が8.9%増収、骨接合材料が3.9%増収、脊椎固定器具が7.0%増収、人工骨・他が5.6%増収)、米国が26.4%増収(人工関節が26.2%増収、骨接合材料・他が85.6%増収)の計画としている。自社製品売上比率は82.4%(21年3月期は79.9%)の計画である。
売上面では、新型コロナウイルスや日本の診療報酬改定などのマイナス影響があるが、日本が自社新製品を中心に好調に推移し、前期に新型コロナウイルスの大きな影響を受けた米国市場において下期の症例数回復を見込んでいる。コスト面では積極的な人材投資や営業活動回復などで人件費や営業費が増加するが、増収効果や自社製品比率上昇による原価率改善効果などで吸収する見込みだ。
第1四半期は、売上高が前年同期比33.1%増の45億37百万円、営業利益が2.3倍の5億54百万円、経常利益が2.3倍の5億42百万円、親会社株主帰属四半期純利益が2.7倍の3億63百万円だった。
新型コロナ影響が和らぎ、日本、米国とも症例数が回復基調となって大幅増収増益だった。セグメント別には日本が13.4%増収で76.4%増益、米国が33.9%増収で98.8%増益だった。
第1四半期が好調に推移したため第2四半期累計予想を上方修正し、売上高が前年同期比16.1%増の90億円、営業利益が15.3%増の9億50百万円、経常利益が14.1%増の9億20百万円、親会社株主帰属四半期純利益が55.8%増の8億20百万円としている。なお第2四半期の特別利益に米国子会社の債務免除益を計上予定である。
通期予想を据え置いているが、新型コロナ影響が和らいで日本、米国とも症例数が回復基調であり、第2四半期累計の上方修正を勘案すれば、通期予想も上振れの可能性が高いだろう。収益拡大基調を期待したい。
■株価は上値試す
株価は地合い悪化も影響して戻り高値圏でモミ合う形だが、調整一巡して上値を試す展開を期待したい。10月5日の終値は2198円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS68円22銭で算出)は約32倍、今期予想配当利回り(会社予想の12円で算出)は約0.5%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS706円07銭で算出)は約3.1倍、時価総額は約582億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)