ソフトクリエイトホールディングスは20年10月高値目指す、積極的な事業展開で収益拡大基調

ソフトクリエイトホールディングス<3371>(東1)はECソリューション事業およびITソリューション事業を展開している。22年3月期はクラウドサービスの大幅伸長などで2桁増益予想としている。さらに上振れの可能性がありそうだ。DX化など事業環境は良好であり、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は9月の年初来高値圏から反落して上げ一服の形となったが、利益確定売り一巡して切り返しの動きを強めている。20年10月の上場来高値を目指す展開を期待したい。なお11月2日に22年3月期第2四半期決算発表を予定している。

■ECソリューション事業とITソリューション事業を展開

ITソリューションサービスを展開する持株会社である。セグメント区分(22年3月期から変更)は、ECソリューション事業およびITソリューション事業としている。

ECソリューション事業は、ECサイト構築、デジタルマーケティング、ECクラウドサービスを展開している。子会社ecbeingのECサイト構築ソフトecbeingの販売・保守・ホスティングサービスが主力である。

ECサイト構築ソフトecbeingは、ECサイト構築からマーケティング支援やデータ分析までワンストップで対応していることが強みだ。中~大規模顧客向けが主力で、国内ECサイト累計構築実績は21年3月期末時点で1400サイトを突破している。市場シェアは13年連続1位(出典:富士キメラ総研社の富士マーケティングレポート ECサイト構築パッケージソリューション市場占有率調査)である。

ITソリューション事業は、ITクラウドサービス、セキュリティ・インフラ構築サービス、パッケージ、IT機器販売を展開している。

自社開発のSCクラウド、不正アクセス端末検知・遮断システムL2Blocker、子会社エイトレッド<3969>が展開するワークフローシステム(パッケージ型のAgileWorks、クラウド型のX-point Cloud)、子会社ソフトクリエイトのシステムインテグレーション・IT機器販売を主力としている。

21年3月期のセグメント別売上高(収益認識基準第29号適用前)は、ECソリューション事業が116.9億円(ECサイト構築ecbeingが67.3億円、デジタルマーケティングが43.4億円、ECクラウドサービスが6.1億円)、ITソリューション事業が125.5億円(ITクラウドサービスが13.2億円、セキュリティ・インフラ構築サービスが38.1億円、パッケージが17.4億円、IT機器販売が56.5億円)だった。

■クラウドサービスの拡大を推進

成長戦略としてクラウドサービスの拡大を推進している。クラウドサービスの売上高は18年3月期8.2億円、19年3月期11.9億円、20年3月期15.3億円、21年3月期19.3億円(ECクラウドサービスが6.1億円、ITクラウドサービスが13.2億円)と拡大基調である。

さらに新サービス(メルカート、ビジュモ、レビコ、サイトミライズ、ゼクスタントなど)の拡販にも注力している。なお22年3月期第1四半期時点の合計導入社数は、ECクラウドサービス分野のメルカートが84社、ビジュモが335社、レビコが48社、サイトミライズが106社、ゼクスタントが30社、ITクラウドサービス分野のSCクラウドが454社、X-point Cloudが847社、L2Blockerが181社となっている。

21年6月には、インスタグラムの写真を自社サイトに活用するビジュモのソリューションが、トヨタ自動車公式サイトに採用された。

■22年3月期2桁増益予想、さらに上振れの可能性

22年3月期の連結業績予想(収益認識に関する会計基準第29号適用のため売上高の前期比増減率は非記載、利益に影響なし)は、売上高が192億円、営業利益が21年3月期比10.0%増の35億50百万円、経常利益が10.1%増の35億75百万円、親会社株主帰属当期純利益が10.0%増の20億円としている。配当予想は21年3月期と同額の30円(第2四半期末15円、期末15円)である。

売上高の計画は収益認識基準適用前ベースでは270億円としている。21年3月期実績の242億38百万円との比較で11.4%増収となる。特にクラウドサービスが大幅伸長し、人件費・採用費・広告宣伝費の増加を吸収して、実質的に2桁増収増益の計画としている。

セグメント別売上高(収益認識基準適用後)の計画は、ECソリューション事業が108億円(ECサイト構築ecbeingが70億円、デジタルマーケティングが30億円、ECクラウドサービスが8億円)、ITソリューション事業が86億円(ITクラウドサービスが16億円、セキュリティ・インフラ構築サービスが43億円、パッケージが18億円、IT機器販売が9億円)としている。なお会計基準変更の影響は特にIT機器販売において見掛け上の減収要因となる。

第1四半期は売上高が49億26百万円、営業利益が前年同期比33.4%増の9億01百万円、経常利益が28.0%増の9億51百万円、親会社株主帰属四半期純利益が28.7%増の5億64百万円だった。

収益認識基準適用に伴って見掛け上は減収(収益認識基準適用前の前年同期実績は57億74百万円)の形だが、旺盛なIT投資需要も背景として実質的に増収増益だった。クラウドサービスの大幅伸長などで期初計画(売上高45.1億円、経常利益8.4億円)を上回った。

セグメント別売上高は、ECソリューション事業が27.5億円(ECサイト構築ecbeingが18.1億円、デジタルマーケティングが7.3億円、ECクラウドサービスが2.1億円)で、ITソリューション事業が21.7億円(ITクラウドサービスが3.9億円、セキュリティ・インフラ構築サービスが10.5億円、パッケージが4.1億円、IT機器販売が3.2億円)だった。いずれも計画を上回った。

通期予想を据え置いたが、第1四半期の進捗率は売上高が25.7%、営業利益が25.4%、経常利益が26.6%、当期純利益が28.2%と順調である。クラウドサービスの大幅伸長などで通期予想は上振れの可能性がありそうだ。DX化など事業環境は良好であり、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株主優待制度は3月末と9月末の年2回

株主優待制度は毎年3月31日および9月30日現在の1単元(100株)以上保有株主に対して実施している。優待内容は保有株式数および保有期間に応じてオリジナルQUOカードを贈呈する。

■株価は20年10月高値目指す

なお22年4月4日移行予定の新市場区分については、上場維持基準への適合状況に関する第一次判定結果としてプライム市場適合を確認し、取締役会においてプライム市場選択を決議した。所定のスケジュールに従って申請手続を進める。

株価は9月の年初来高値圏から反落して上げ一服の形となったが、利益確定売り一巡して切り返しの動きを強めている。自律調整を交えながら20年10月の上場来高値を目指す展開を期待したい。10月14日の終値は3265円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS150円51銭で算出)は約22倍、今期予想配当利回り(会社予想の30円で算出)は約0.9%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS958円00銭で算出)は約3.4倍、時価総額は約450億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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