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クレスコは上値試す、22年3月期増収増益・増配予想
- 2021/10/18 08:19
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
クレスコ<4674>(東1)は、ビジネス系ソフトウェア開発や組込型ソフトウェア開発のITサービスを主力として、顧客のDXを実現するデジタルソリューションも強化している。22年3月期は新型コロナ影響が和らいで顧客のIT投資が順調に回復し、生産性向上も寄与して増収増益予・増配予想としている。収益拡大基調だろう。株価は9月の年初来高値圏から地合い悪化も影響して反落したが、利益確定売りが一巡して切り返しの動きを強めている。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。なお11月5日に22年3月期第2四半期決算発表を予定している。
■ITサービスを主力としてデジタルソリューションも強化
ビジネス系ソフトウェア開発や組込型ソフトウェア開発のITサービスを主力として、顧客のDXを実現するデジタルソリューションも強化している。22年3月期からセグメント区分を、ITサービス(エンタープライズ、金融、製造の各分野のコンサルティング・開発・保守の総合サービス)と、デジタルソリューション(自社製品Creage、インテリジェントフォルダなど、顧客のDXを実現する製品・サービスからなるソリューション群)に変更した。
なお21年3月期のセグメント別構成比は、売上高がソフトウェア開発事業83%(金融・保険分野30%、公共・サービス分野21%、流通・その他分野32%)、組込型ソフトウェア開発事業17%(通信システム分野1%、カーエレクトロニクス分野7%、情報家電等・その他分野8%)、その他事業(商品・製品販売等)0%、営業利益構成比(連結調整前)はソフトウェア開発事業76%、組込型ソフトウェア開発事業24%、その他▲0%だった。
収益面では案件別の採算性が影響し、企業のIT投資関連のため年度末にあたる第4四半期の構成比が高くなる特性がある。配当方針は、連結経常利益をもとに特別損益を零とした場合に算出される親会社株主帰属当期純利益の30%相当を目途に、継続的に実現することを目指すとしている。
21年3月には、経済産業省の健康経営優良法人認定制度に基づく「健康経営優良法人2021」に選定された。21年6月には、新型コロナウイルス感染症に係る支援(1億円の寄付)が評価されて日本赤十字社から「金色有功章」の楯を拝受した。
■質的・量的成長目指す
中期成長に向けた基本戦略として、M&Aも積極活用して、サービス品質強化による質的成長、リソース・技術戦略強化を推進している。また中期経営計画では24年3月期の目標値に、売上高500億円、営業利益50億円、ROE15%以上を掲げている。
20年9月には社内デジタル変革(DX)を加速させるため「ニューノーマルな働き方」に舵を切ると発表した。テレワーク体制を強化して社員の生産性向上を目指すとともに、本社や開発センターのオフィススペースの最適化、在宅勤務手当新設や通勤手当見直しなどにより、コスト削減も推進する。
M&A戦略では、20年2月に北海道大学公認AIベンチャーの調和技研と資本業務提携、20年4月にシステムインテグレーターのエニシアスを子会社化、21年7月には組込型ソフトウェア開発に強みを持つOECを子会社化した。
オリジナル製品・サービスでは、IoTのKEYAKI、AIのMinervae、クラウドのCreageを3大ブランドと定義し、ソフトウェア開発・システム開発の需要喚起を推進している。21年7月にはCreageをマイクロソフトのAzure対応にバージョンアップした。
21年8月には、東京都教育委員会および一般財団法人東京学校支援機構(TEPRO)と協定を締結して都内の公立小中学校のデジタル活用支援に参画した。また、画像処理AI学習データ作成時のアノテーション(データに対して関連する情報を付加すること)作業負荷を軽減する手法の特許を取得した。
21年9月には、子会社のクリエイティブジャパンが、大学・高専・研究所での研究・開発用として、低価格の「ELTRESアドオンIoT開発キット」の提供を開始した。コロナ過で厳しい研究・教育環境への貢献でIoT普及を推進する。
■22年3月期増収増益・増配予想
22年3月期の連結業績予想は売上高が21年3月期比6.8%増の424億円、営業利益が10.5%増の38億50百万円、経常利益が2.4%増の42億円、親会社株主帰属当期純利益が8.2%増の28億50百万円としている。配当予想は2円増配の40円(第2四半期末20円、期末20円)である。
第1四半期は、売上高が前年同期比5.0%増の98億70百万円で、営業利益が87.4%増の7億99百万円、経常利益が4.2%増の8億83百万円、親会社株主帰属四半期純利益が26.5%増の7億02百万円だった。
受注が堅調に推移し、営業利益は生産性向上や不採算プロジェクト解消も寄与して大幅増益だった。経常利益は前期計上のデリバティブ評価益が剥落して小幅増益、四半期純利益は投資有価証券売却益を計上して大幅増益だった。受注高は35.3%増の116億44百万円だった。
ITサービス(セグメント区分変更で前年比は組み替え後)は売上高が3.2%増の94億84百万円、営業利益が52.7%増の11億36百万円だった。エンタープライズが4.6%増収、金融が3.4%増収、製造が0.5%増収と概ね堅調に推移し、生産性向上や不採算プロジェクト解消も寄与して大幅増益だった。デジタルソリューションは売上高が77.4%増の3億86百万円、営業利益が88.9%減の1百万円だった。クラウド関連が増加したが、事業推進に向けた人材投資で減益だった。
通期は新型コロナ影響が和らいで顧客のIT投資が順調に回復し、生産性向上も寄与して増収増益予・増配予想としている。第1四半期の進捗率は売上高23.3%、営業利益20.8%、経常利益21.0%だが、顧客の予算執行時期の関係で下期の構成比が高い特性がある。これを勘案すれば順調な進捗率であり、収益拡大基調だろう。
■株価は上値試す
株価は9月の年初来高値圏から地合い悪化も影響して反落したが、利益確定売りが一巡して切り返しの動きを強めている。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。10月15日の終値は2063円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS135円59銭で算出)は約15倍、今期予想配当利回り(会社予想の40円で算出)は約1.9%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS926円96銭で算出)は約2.2倍、時価総額は約474億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)