【どう見るこの相場】次のインフレ・財政再建ステージに備えるなら「3R」関連株の株価耐性にアプローチ

どう見るこの相場

 「船成金」の次は「鉱山成金」の出番となるはずだ。当コラムの今年3月29日付けと5月10日付けでお伝えした「遠い戦争」シナリオ通りに推移するとすればである。1914年(大正3年)に勃発した欧州大陸を戦場とした第一次世界大戦は、非交戦国の遠い日本に「漁夫の利」の大戦景気をもたらし大正バブルが発生し、一山当てた船主らが大宴会を張り、豪邸を建てた逸話が伝えられている。海運会社や非鉄や石炭の山持ち会社は戦争特需に沸き、海運会社のなかには、世界的な船舶不足で運賃が高騰し11割配当を実施した会社まで出たと業界史が教えている。

 この大正バブルは、コメの価格を急騰させて米騒動を惹起して買い占めのフェイクニュースが出た総合商社トップの鈴木商店の本店焼き打ち事件にまで発展するとともに、当時の金本位制下での金輸出解禁(金解禁)により緊縮財政へ政策転換され、行き着いた先は、米国で発生した「世界恐慌」に巻き込まれて陥った「昭和恐慌」であった。

 この「遠い戦争」シナリオ通りに推移しているとしたら、足元の2021年はどこまでこのステージが進んでいるのか?今回も、新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的な感染爆発)の影響による世界的な巣ごもり消費を背景に、コンテナ船の荷動きが活発化してコンテナ不足で運賃が高騰し、国内大手海運3社の業績は、上方修正に次ぐ上方修正となり配当を大幅増配し、株価も、年初来4.7倍も大化けを演じて上場来高値の1万1000円台に乗せるほどのブームとなった。

 さらに原油価格や商品先物価格も上昇し、石油や非鉄の鉱山会社の株価も動意急である。しかも、これに加えてパンデミックによるサプライチェーン問題による部品供給不足や労働力不足も加わって卸売物価、消費者物価とも上昇してコストプッシュ型のインフレ懸念が高まっている。このためFRB(米連邦準備制度理事会)のテーパリング(量的緩和の縮小)の前倒し実施を先取りして長期金利が上昇し、日本では、財務省の現役次官が、雑誌に与野党の経済対策論争を「バラマキ予合戦」と批判し財政再建を訴える異例の論文を発表して議論を呼んでいる。

 前週末15日の米国市場では、ニューヨク工業株30種平均(NYダウ)が、主要企業の好決算と経済指標の好転による景気減速懸念の後退で382ドル高と続伸して史上最高値まであと330ドル余に迫り、週明け18日の東京市場も追随の動きが有力である。しかし一方で、原油先物(WTI)価格は、7年ぶりの高値となり長期金利も反発しており、先行きはまだ予断を許してくれない要素も残る。

 ということで、仮に「遠い戦争」シナリオが進行中としたら、選択すべき投資スタンスは様々だろうが、今週の当コラムでは、その一つの投資対象として浮上するはずの「3R」関連銘柄に注目することにした。「3R」とは、リユース(R)、リデュース(R)、リサイクル(R)である。コストアップを価格転嫁する商品・サービス価格の上昇や部品・人手不足による減産、商品供給の遅れ、資源価格の高騰に対して「3R」関連製品・サービスの省資源特性や短納期での入手のし易さ、相対的な価格有利性が浮き彫りとなるとみられるからだ。

 現に日経平均株価が、2万8000円台の攻防と強弱感が分かれた市場環境下で、各市場の日々の値上がり率ランキングにしばしば「3R」関連株が顔を出すなどのその兆候も垣間見られた。衆議院が解散され10月31日の投開票日に向け総選挙がたけなわとなるなか、やってくるかもしれないインフレ・財政再建ステージへ備え、株価耐性のある「3R」関連株にアプローチするのも一法となる可能性がある。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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