ヒーハイストは反発の動き、22年3月期は再上振れの可能性

 ヒーハイスト<6433>(JQ)は直動機器を主力として、精密部品加工やユニット製品も展開している。小径リニアボールブッシュの世界トップメーカーである。22年3月期は半導体関連やレース関連を中心に需要が回復して大幅増収増益予想としている。需要が回復基調であり、さらに再上振れの可能性がありそうだ。収益拡大を期待したい。株価は上値を切り下げる形でやや軟調だったが、調整一巡して反発の動きを強めている。出直りを期待したい。

■小径リニアボールブッシュの世界トップメーカー

 20年7月1日付で商号をヒーハイスト精工からヒーハイストに変更した。独自の球面加工技術や鏡面加工技術をコア技術として、直動機器(リニアボールブッシュや球面軸受けなど)、精密部品加工(レース用部品や試作部品の受託加工など)、ユニット製品(液晶製造装置向けなど)を展開している。

 小径リニアボールブッシュの世界トップメーカーである。リニアボールブッシュは機械装置の稼働部に用いられる部品で、金属と金属の接触面を鋼球が転がりながら移動することで摩擦による影響を低減し、機械装置の寿命を延ばす役割を担っている。

 21年3月期の製品別売上構成比は直動機器55%、精密部品加工33%、ユニット製品11%だった。主要販売先はTHK<6481>および本田技研工業<7267>である。収益面では産業機械・電子部品・自動車関連の設備投資動向の影響を受けやすく、設備投資関連のため四半期業績が変動しやすい特性もある。

■生産能力向上と採算性向上を推進

 収益力向上および経営基盤強化に向けた重点方針として、生産能力向上とコストダウンによる採算性向上、QCDの徹底追求による顧客対応力の強化、顧客ニーズに適合した応用製品の開発と販売、主力製品リニアボールブッシュの競争力強化による拡販、提案型技術営業による新規顧客開拓、海外販売網の構築・強化、従業員の上昇志向と能力の向上を推進している。

■22年3月期大幅増収増益予想、さらに再上振れの可能性

 22年3月期の連結業績予想(8月10日に上方修正)は、売上高が21年3月期比16.6%増の26億22百万円、営業利益が2.8倍の2億46百万円、経常利益が2.6倍の2億45百万円、親会社株主帰属当期純利益が4.4倍の1億83百万円としている。配当予想は21年3月期と同額の1円(期末一括)としている。

 第1四半期は、売上高が前年同期比50.0%増の7億09百万円、営業利益が1億13百万円の黒字(前年同期は20百万円の赤字)、経常利益が1億20百万円の黒字(同22百万円の赤字)、親会社株主帰属四半期純利益が87百万円の黒字(同21百万円の赤字)だった。

 全体として需要回復で大幅増収となり、増収効果で黒字転換した。売上高は主力の直動機器が半導体関連を中心とする引き合い増加で64.7%増の4億57百万円、精密部品加工がレース用部品の増加で58.4%増の2億24百万円だった。ユニット製品は設備投資需要の低迷で48.2%減の28百万円だった。

 需要が回復基調となって第1四半期が想定を上回ったため、第2四半期累計および通期の予想を上方修正した。なお修正後の第2四半期累計の予想は、売上高が前年同期比52.7%増の13億66百万円、営業利益が1億74百万円の黒字(前年同期は88百万円の赤字)、経常利益が1億75百万円の黒字(同87百万円の赤字)、親会社株主帰属四半期純利益が1億34百万円の黒字(同61百万円の赤字)としている。

 修正後の通期予想に対する第1四半期の進捗率は売上高が27.0%、営業利益が45.9%である。引き続き保守的な印象が強い。需要が回復基調であり、通期予想に再上振れの可能性がありそうだ。収益拡大を期待したい。

■株価は反発の動き

 株価上値を切り下げる形でやや軟調だったが、調整一巡して反発の動きを強めている。出直りを期待したい。10月18日の終値は422円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS29円83銭で算出)は約14倍、今期予想配当利回り(会社予想の1円で算出)は約0.2%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS487円61銭で算出)は約0.9倍、時価総額は約27億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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