■中外製薬は「テロメライシン」の全ての権利を返還、3日続落模様
オンコリスバイオファーマ(オンコリスバイオF)<4588>(東マ)は10月22日の前場、730円(36円高)まで上げた後も堅調に推移し、前日までの2日連続ストップ安から反発相場となった。10月19日の取引終了後、がんに対するウイルス療法「テロメライシン」に関する中外製薬<4519>(東1)へのライセンス解消を発表。翌日から2日連続大幅安となったが、22日前場は出来高も急増したため、底入れ期待が出ている。一方、中外製薬は日々小幅だが3日続落模様となっている。
中外製薬とオンコリスバイオFは10月19日の17時、がんに対するウイルス療法である「OBP-301(テロメライシン:suratadenoturev)」を対象とするライセンス契約を2022年10月までに解消すると発表した。これにより、「中外製薬が保有するOBP-301に関する全ての権利はオンコリスに返還され」「今後、両社間において本契約に基づくマイルストンの支払及び受領は発生しない」(中外製薬の発表リリース)こととなった。
両社の発表を総合すると、「テロメライシン」に関する両社のライセンス契約は19年4月に結ばれた。中外製薬は国内開発を進めてきたが、今後、両社の協業によって開発を進めることが本剤の製品価値最大化につながらないという判断に至った。
オンコリスバイオFが担当し外部委託していた「テロメライシン」の治験薬供給や製法開発に予想外に時間を要したため、中外製薬は承認申請時期を22年から24年に変更した。また、中外製薬は、当初日本国内で4つの臨床試験を実施する計画だったが、「食道がん対象の化学放射線療法併用Phase1試験」及び「頭頸部がん対象のアテゾリズマブ及び化学放射線療法併用Phase1試験」を中止する判断を行った。
契約解消の要因については、「テロメライシン」の有効性・安全性の問題によるものではなく、進行中の国内の臨床試験については、当面は中外製薬が継続して実施し、その後両社合意の上でオンコリスに引き継いでいく予定。現在、中外製薬は「食道がん対象の放射線併用Phase2試験」及び「肝細胞がん対象のアテゾリズマブ及びベバシズマブ併Phase1試験」の2つの臨床試験に、「テロメライシン」関連のリソースを集約させ、臨床試験を進めている。(HC)(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)