ケンコーマヨネーズは調整一巡、22年3月期減益予想だが上振れの可能性

 ケンコーマヨネーズ<2915>(東1)は、マヨネーズ・ドレッシング分野からタマゴ加工品やサラダ・総菜分野へと事業領域を拡大している。19年に誕生した毎年8月24日「ドレッシングの日」のPRキャラクター「どれしい」に続き、10月19日にはマヨネーズのPRキャラクター「まよにぃ」誕生を発表している。22年3月期は原材料価格高騰などで減益予想としているが、新型コロナ影響緩和や価格改定効果などで通期予想は上振れの可能性がありそうだ。収益回復を期待したい。株価は反発力が鈍く年初来安値圏に回帰の形となったが、調整一巡して出直りを期待したい。なお11月12日に22年3月期第2四半期決算発表を予定している。

■マヨネーズ・ドレッシング類、ロングライフサラダの大手

 サラダ・総菜類、タマゴ加工品、マヨネーズ・ドレッシング類の調味料・加工食品事業、フレッシュ総菜(日配サラダ、総菜)の総菜関連事業等、その他(ショップ事業など)を展開している。ロングライフサラダは国内1位、マヨネーズ・ドレッシング類は国内2位の市場シェアである。ショップ事業のSalad Cafe(サラダカフェ)は百貨店などに出店し、主に女性をターゲットにした顧客拡大戦略を推進している。

 21年3月期の商材別売上高構成比はサラダ類44%、タマゴ類26%、マヨネーズ・ドレッシング類25%、その他6%、分野別売上高構成比は量販店28%、CVS27%、外食24%、パン13%、給食4%、その他4%だった。21年3月期は新型コロナ影響で量販店向けの構成比が上昇し、外食向けが低下した。

 収益面では、鶏卵や野菜などの原材料価格が変動要因となりやすく、プロダクトミックス、工場操業度、原燃料コストなどの影響を受ける。利益還元については連結ベースでの配当性向20%を意識し、配当の継続性に配慮しつつ、今後の成長と発展にあわせて安定配当水準を高めていくことを基本方針としている。

■事業領域拡大と生産能力増強を推進

 新中期経営計画KENKO Transformation Plan(21年度~23年度)では、目標値に24年3月期売上高800億円、経常利益40億円を掲げている。withコロナ・afterコロナという事業環境変化に対応し、基本方針として4つのテーマ(BtoBtoC、イノベーション、構造改革、グローバル)に取り組む。

 BtoBtoCでは消費者へのブランド認知度向上、使い切り・個食形態の商品開発、イノベーションではSDGsの観点を取り入れたメニュー・商品開発(賞味期限延長など)、サラダショップ展開の加速、生産面でのカーボンニュートラルの実現(静岡富士山工場を環境モデル工場と位置付け)、構造改革では基盤事業の成長に向けた取り組み(分野別事業戦略、新販路への取り組み)、グローバルでは海外拠点(北米販売拠点設立検討、インドネシアIKI社への支援拡大)や輸出販売の拡大などを推進する。

 なお21年7月には「食を通じて世の中に貢献する」という企業理念に基づいてサスティナビリティ方針を公開した。加工ロス削減による廃棄物削減などの目標を設定した。さらに、21年9月にニューヨークで開催予定の「国連食料システムサミット2021」への支持表明とコミットメント提出を発表した。

■22年3月期は原料価格高騰で減益予想だが上振れの可能性

 22年3月期連結業績予想は、売上高が21年3月期比6.9%増の732億円、営業利益が27.6%減の14億30百万円、経常利益が26.9%減の15億円、親会社株主帰属当期純利益が28.0%減の10億50百万円としている。配当予想は5円減配の15円(第2四半期末7円、期末8円)としている。

 セグメント別売上高の計画は、調味料・加工食品事業が7.1%増収(サラダ・総菜類が6.0%増収、タマゴ加工品が5.2%増収、マヨネーズ・ドレッシング類が10.3%増収)、総菜関連事業等が5.8%増収、その他(Salad Cafeなど)が10.9%増収としている。

 第1四半期は、売上高が前年同期比16.3%増の182億82百万円で、営業利益が4億03百万円(前年同期は55百万円の赤字)、経常利益が4億15百万円(同36百万円の赤字)、親会社株主帰属四半期純利益が2億74百万円(同53百万円の赤字)だった。

 新型コロナ影響が和らいで2桁増収となり、各利益は黒字転換した。売上面では、新型コロナウイルス感染症拡大防止のための飲食店休業・営業時間短縮に伴う売上減少要因があったが、前年同期に比べて影響が軽微にとどまった。中食やテイクアウト需要が伸長し、コンビニ向けも回復基調となった。利益面では、原料価格高騰の影響があったが、売上高増加に伴う工場稼働率の向上や経費削減などで吸収した。

 セグメント別には、調味料・加工食品事業は売上高が15.5%増の138億30百万円で経常利益が2億40百万円(前年同期は12百万円の赤字)、総菜関連事業等は売上高が18.4%増の42億50百万円で経常利益が5.7倍の2億49百万円だった。

 通期は、テイクアウト需要に対応した商品ラインナップの拡充、ドラッグストアなどの新販路拡大、マヨネーズ類の価格改定(21年7月から)、サラダ総合店Salad Cafeのブランド強化などで増収を見込むが、食用油や鶏卵など主要原料の価格高騰の影響で減益予想としている。なおロングライフサラダ類についても12月1日出荷分から価格改定を実施する。

 ただし保守的だろう。通期予想に対する第1四半期の進捗率は売上高25.0%、営業利益28.2%、経常利益27.7%、当期純利益26.1%と順調だった。新型コロナ影響緩和や価格改定効果などで通期予想は上振れの可能性がありそうだ。収益回復を期待したい。

■株主優待制度は毎年3月末の株主対象

 株主優待制度は毎年3月末日現在の株主を対象として、保有株式数に応じて当社商品を贈呈(詳細は会社HP参照)している。

■株価は調整一巡

 株価は反発力が鈍く年初来安値圏に回帰の形となったが、調整一巡して出直りを期待したい。10月25日の終値は1512円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS63円73銭で算出)は約24倍、今期予想配当利回り(会社予想の15円で算出)は約1.0%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS2159円46銭で算出)は約0.7倍、時価総額は約249億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■シスルナ経済圏構築に向け、グローバルなパートナーシップを強化  ispace(アイスペース)<9…
  2. 【先人の教えを格言で解説!】 (犬丸正寛=株式評論家・平成28年:2016年)没・享年72歳。生前に…
  3. ■物価高・人手不足が直撃、倒産件数29カ月連続で増加  帝国データバンクの調査によると、倒産件数が…
2024年11月
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
252627282930  

ピックアップ記事

  1. ■化粧品大手は業績下方修正も、電鉄各社は上方修正で活況  トランプ次期大統領の影響を受けない純内需…
  2. どう見るこの相場
    ■金利敏感株の次は円安メリット株?!インバウンド関連株に「トランプ・トレード」ローテーション  米…
  3. ■金利上昇追い風に地銀株が躍進、政策期待も後押し  金利上昇の影響を受けて銀行株、特に地方銀行株の…
  4. ■トリプルセット行、ダブルセット行も相次ぐ地銀銀株は決算プレイで「トランプトレード」へキャッチアップ…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る