ASIAN STARは下値固め完了、21年12月期黒字転換予想で収益改善基調

 ASIAN STAR(エイシアンスター)<8946>(JQ)は国内と中国で不動産関連事業を展開している。成長に向けた新たな事業ドメインとして、医療・健康など「日本において高い付加価値を誇る事業分野のアジア展開のサポート」も推進する方針だ。21年12月期は大幅増収で黒字転換予想としている。M&Aも寄与して収益改善基調を期待したい。株価は水準を切り下げる形となったが下値固め完了感を強めている。調整一巡して出直りを期待したい。

■国内と中国で不動産事業を展開

 国内と中国で不動産関連事業を展開し、上海徳威企業および徳威国際(上海徳威企業の100%子会社)の2社と資本提携している。

 国内は過去に開発・販売した投資用マンション「グリフィンシリーズ」を中心とする不動産売買・賃貸仲介、賃貸管理(約3500戸)および横浜エリアでの戸建住宅販売を展開している。投資事業を行う子会社ASIAN STAR INVESTMENTSは19年6月に民泊施設運営代行のオールステイへの投資を実行した。

 中国では、ベルグラビアグループを買収して、サービスアパート運営管理(約530戸)事業、およびワンルームマンション賃貸(約370室)事業を展開している。20年12月には子会社の柏雅酒店管理(上海)が、上海においてサービスアパートメント運営管理(214室)を受託した。

 また子会社の柏雅香港が、資本提携先の中国・徳威企業の子会社である徳威不動産グループ3社(徳威不動産、U-HOME、特庫伊投資)を20年12月連結子会社化した。中国事業全般の事業管理および資金管理を柏雅香港に集約して中国事業の事業規模拡大を推進する。

 20年12月には中国・海南太禾控股集団と戦略提携した。海南省・紅旗国際健康産業タウンプロジェクトを推進する。

 21年2月には、中国・海南太禾控股集団の子会社である中国・海南太禾健康産業と合弁会社設立に向けた契約を締結した。中国・海南太禾控股集団との戦略提携の一環として、紅旗国際健康産業タウンへの日本企業の誘致、日本製先端医療機器・医薬品・サプリメントなどの中国への導入・販売支援等を事業目的とする。

■付加価値創造事業分野のアジア展開も推進

 中期経営計画では目標値に22年12月期売上高50億円、営業利益3億円、EBITDA4億円を掲げている。

 重点施策として、事業戦略では不動産サービス分野の規模拡大、付加価値創造事業分野のアジア展開、投資戦略では企業価値向上に資する戦略的M&Aおよび資本提携、ファンド組成による提携企業との共同投資を推進する。

 付加価値創造事業分野のアジア展開では、新たな事業ドメインとして医療・健康など「日本において高い付加価値を誇る事業分野のアジア展開のサポート」を推進する方針だ。21年9月には、健康コンサルティング会社の中国・広東泛華藍十字健康管理公司と、医療健康サービス分野における戦略提携で覚書を締結した。広東泛華藍十字健康管理公司の親会社である中国・泛華金融ホールディングスグループの顧客に対して、日本の高水準の医療健康サービスを提供する。

 また財務戦略では資本市場を活用した資金調達の検討、財務レバレッジを利用した不動産投資の実施、配当戦略では利益水準に応じた安定的配当の実施、トータル・シェアホルダー・リターン(TSR)等の指標の検討を実施する。

■21年12月期黒字転換予想で収益改善基調

 21年12月期連結業績予想は、売上高が20年12月期比76.2%増の34億46百万円、営業利益が90百万円の黒字(20年12月期は2億円の赤字)、経常利益が89百万円の黒字(同2億09百万円の赤字)、親会社株主帰属当期純利益が69百万円の黒字(同3億10百万円の赤字)としている。

 第2四半期累計は、売上高が前年同期比54.9%増の16億33百万円、営業利益が59百万円の黒字(前年同期は29百万円の赤字)、経常利益が65百万円の黒字(同30百万円の赤字)、親会社株主帰属四半期純利益が38百万円の黒字(同47百万円の赤字)だった。

 販売用不動産の前倒し売却、M&A効果(中国・上海徳威グループ3社を第1四半期から新規連結)などで大幅増収となり、販管費が計画を下回ったことも寄与して黒字転換した。

 セグメント別に見ると、不動産販売事業は売上高が74.6%増の8億25百万円で営業利益が43百万円(同8百万円の赤字)、不動産管理事業は売上高が44.2%増の2億85百万円で営業利益が14.8%増の68百万円、不動産賃貸事業は売上高が13.2%減の2億16百万円だが営業利益が21.5%増の37百万円、不動産仲介事業は売上高が2.5倍の3億04百万円で営業利益が96.8%増の84百万円、投資事業は売上高が2百万円で営業利益が1百万円だった。

 なお四半期別に見ると、第1四半期は売上高5億86百万円で営業利益0百万円の赤字、第2四半期は売上高10億47百万円で営業利益59百万円だった。

 通期予想は新型コロナ影響なども考慮して据え置いている。収益不動産の売却によって売上拡大を図り、新規連結の中国・上海徳威グループ3社が不動産仲介事業および不動産管理事業の収益に寄与する見込みだ。なお21年9月には、販売用動産の売却(埼玉県三郷市、物流事業用地、21年10月29日引渡・決済予定)を発表している。

 第2四半期累計の進捗率は売上高が47.4%、営業利益が65.9%、経常利益が74.0%、純利益が56.1%と順調である。M&Aも寄与して収益改善基調を期待したい。

■株価は下値固め完了

 22年4月4日移行予定の新市場区分については、新市場区分における上場維持基準への適合状況に関する一次判定結果でスタンダード市場適合を確認し、21年8月20日開催の取締役会でスタンダード市場選択を決議した。東京証券取引所が定めるスケジュールに基づき、所定の申請手続きを進める。

 株価は水準を切り下げる形となったが下値固め完了感を強めている。調整一巡して出直りを期待したい。10月27日の終値は84円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS3円83銭で算出)は約22倍、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS83円94銭で算出)は約1.0倍、時価総額は約16億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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