加賀電子は22年3月期利益・配当予想を上方修正、さらに再上振れの可能性

(決算速報)
 加賀電子<8154>(東1)は11月4日の取引時間終了後に22年3月期第2四半期累計連結業績を発表した。電子部品需要が回復して計画を上回る大幅営業・経常増益だった。そして通期利益・配当予想を上方修正した。さらに再上振れの可能性もありそうだ。収益拡大基調を期待したい。なお加賀EFI(旧富士通エレクトロニクス)の完全子会社化(22年1月予定)に関して、残り15%分の株式取得方法を株式交換に変更する。株価は年初来高値を更新して17年10月の高値に接近している。好業績を評価して上値を試す展開を期待したい。

■22年3月期2Q累計大幅営業・経常増益で通期利益・配当予想を上方修正

 22年3月期第2四半期累計連結業績(収益認識基準適用)は、売上高が前年同期比18.1%増の2230億09百万円、営業利益が87.2%増の83億円、経常利益が94.8%増の84億52百万円だった。親会社株主帰属四半期純利益は前期計上の負ののれん発生益が剥落して47.8%減の56億24百万円だった。なお収益認識基準適用の影響で売上高が23億58百万円減少したが、利益への影響は軽微である。

 電子部品事業は売上高が23.9%増の1944億06百万円で、営業利益(調整前)が131.1%増の71億23百万円だった。半導体や電子部品の需給逼迫が続く中、独立系商社としての強みを活かし、広範な業界からの旺盛な需要に対応した。EMSビジネスも車載関連や産業機械関連などが好調だった。M&Aで子会社化した加賀EFIとエクセルも大幅営業黒字に転換した。

 情報機器事業は、パソコン販売におけるリモートワーク需要の一巡、電子部品不足による製品供給難、設備設置ビジネスにおける工程延伸などで、売上高が19.3%減の187億13百万円、営業利益が21.6%減の9億10百万円だった。ソフトウェア事業は売上高が2.9%減の12億37百万円で、営業利益が1億09百万円の赤字(前年同期は86百万円の黒字)だった。開発費が増加した。その他事業は売上高が15.3%増の86億51百万円で、営業利益が3億20百万円(同36百万円)だった。パソコンリサイクルビジネスが好調だった。

 なお四半期別に見ると、第1四半期は売上高が1059億49百万円で営業利益が44億52百万円、第2四半期は売上高が1170億60百万円で営業利益が38億48百万円だった。

 通期は利益予想を上方修正し、売上高が21年3月期比11.3%増の4700億円、営業利益が30.8%増の150億円、経常利益が29.0%増の145億円、親会社株主帰属当期純利益が21.1%減の90億円とした。従来予想に対して営業利益を20億円、経常利益を25億円、親会社株主帰属当期純利益を10億円、それぞれ上方修正した。配当予想は第2四半期末5円、期末5円、合計10円上方修正して、21年3月期比では10円増配の90円(第2四半期末45円、期末45円)とした。

 電子部品やEMSの需要が回復基調であり、売上総利益率の改善や経費の縮減・抑制も寄与して、従来予想に対して営業・経常増益幅が拡大する見込みだ。親会社株主帰属当期純利益は前期計上の負ののれん発生益が剥落して減益だが、従来予想に対して減益幅が縮小する。

 修正後の通期予想に対する第2四半期累計の進捗率は売上高が47.4%、営業利益が55.3%、経常利益が58.3%、親会社株主帰属当期純利益が62.5%と順調である。第3四半期以降に、電子部品需給逼迫による機会損失リスクや、物流費高騰の影響などを見込んでいるが、さらに再上振れの可能性もありそうだ。収益拡大基調を期待したい。

■株価は上値試す

 株価は年初来高値を更新して17年10月の高値に接近している。好業績を評価して上値を試す展開を期待したい。11月4日の終値は3385円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS336円84銭で算出)は約10倍、時価総額は約972億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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