【編集長の視点】エノモトはプレミアム不適合を業績上方修正でカバーも想定され突っ込み買い一法

編集長の視点

 エノモト<6928>(東1)は、前日8日に53円安の1767円と続落して引けた。日経平均株価が、安値引けで104円安と続落したうえに、今年10月29日に発表した来年4月から適用される東証の市場区分再編に際して最上位のプレミアム(P)市場の上場基準への不適合も重なって売り増勢となった。9日は59円高の1826円まで上げた。P市場不適合と同時に今2022年3月期業績の上方修正と増配も発表しており、今期純利益が、期初の減益予想から増益転換し連続して過去最高を更新することを手掛かりに突っ込み買いも一法となりそうだ。またP市場不適合についても、適合計画書を作成・提出して経過措置としてP上場を目指す意向であり、逆に投資価値アピールのキッカケになることも見込まれる。

■リードフレーム、コネクタ部品の受注環境が好調推移

 同社の今3月期業績は、期初予想より売り上げを35億円、営業利益を2億5000万円、経常利益を3億円、純利益を1億5000万円それぞれ引き上げ、売り上げ265億円(前期比15.2%増)、営業利益19億円(同21.5%増)、経常利益19億円(同21.7%増)、純利益15億円(同0.7%増)と増収増益率を伸ばす。リードフレームやコネクタ部品の受注環境が、昨年後半以降の自動車、モバイル端末向けに急激に回復し高水準をキ-プし、半導体や原材料不足の影響下でも好調に推移し、今期第2四半期(2021年4月~9月期)累計業績が、前年同期比31%増収、2.56倍営業増益、2.53倍経常増益、2.55倍純益増益とV字回復して着地し、想定を上回ったことから上方修正した。なお純利益は、前期に追加計上した繰延税金資産3億1200万円の一巡で期初に減益転換を見込んでいたが、カバーして前期に続く過去最高更新となる。年間配当は、期初予想の40円を50円(前期実績40円)に引き上げ連続増配を予定している。

 なおP市場上場については、流通株式数、流通株式比率、売買代金は上場基準をクリアし、流通株式時価総額のみ不適合となった。今年12月までに東証に適合計画書を提出して経過措置としてP市場上場を目指すことにしており、投資家広報(IR)の積極化などの企業価値のアピールなどが予想され、時価総額増加に結び付くことが想定される。今年1月に31億円を投資して着工した津軽工場(青森県五所川原市)の増築が、今年11月に竣工予定で最先端技術を誇る狭ピッチコネクタ部品などの生産能力増強になることなども、アピール・ポイントとなろう。

■25日線水準を固めPER7倍、PBR0.7倍の修正に再発進

 株価は、前期業績の上方修正で年初来高値2380円まで買い進まれ、今期純利益の減益転換予想や自動車業界で広がっていた減産が響いて8月に1480円安値まで調整し、売られ過ぎとして2050円高値までリバウンドした。その後、今期業績の上方修正と増配もP市場不適合がマイナス評価されて1706円安値まで急落して大陰線を引き、年初来高値から8月安値までの調整幅の3分の1戻しとなる25日移動平均線水準で売り買いが交錯している。PERは7倍台、PBRは0.71倍と売られ過ぎを示唆しており、25日線固めからまず半値戻しの2080円を目指そう。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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