生化学工業は22年3月期2Q累計大幅増収増益、通期上振れの可能性

(決算速報)
 生化学工業<4548>(東1)は11月9日の取引時間終了後に22年3月期第2四半期累計連結業績を発表した。新型コロナ影響からの回復や受取ロイヤリティーの増加などで大幅増収増益となり、各利益は通期予想を超過達成した。通期予想を据え置いたが上振れの可能性がありそうだ。収益拡大を期待したい。なお新市場区分に関してプライム市場選択・申請を発表した。株価は年初来安値圏だが、好業績を評価して戻りを試す展開を期待したい。

■22年3月期2Q累計大幅増収増益、通期上振れの可能性

 22年3月期第2四半期累計の連結業績(収益認識基準適用で前年も遡及適用、利益への影響なし、受取ロイヤリティーの表示区分を従来の営業外収益から売上高に変更)は、売上高が前年同期比54.6%増の205億30百万円、営業利益が7.7倍の60億38百万円、経常利益が5.9倍の63億93百万円、親会社株主帰属四半期純利益が5.2倍の50億19百万円だった。

 新型コロナ影響からの回復、M&A効果、受取ロイヤリティーの増加、関節機能改善剤ジョイクルの販売開始などで大幅増収増益だった。国内で薬価引き下げの影響があり、米国で実施中の腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI―6603追加臨床試験進展で研究開発費(7.5%増の38億02百万円)が増加したが、増収効果などで吸収した。

 医薬品事業は売上高が61.7%増の161億36百万円で、営業利益が12.5倍の49億34百万円だった。売上高の内訳は、国内が新型コロナ影響からの回復、シェア上昇、関節機能改善剤ジョイクル販売開始(21年5月)などで14.2%増の68億05百万円、海外医薬品が米国における新型コロナ影響からの回復や販売提携先による競合品からの切り替え施策、中国向けアルツの処方促進活動積極化などで49.5%増の44億49百万円、医薬品原体・医薬品受託製造がダルトン社(21年2月期第2四半期から連結)も寄与して40.3%増の13億30百万円だった。さらに受取ロイヤリティー35億50百万円を計上(前年同期は90百万円)した。

 LAL事業は売上高が33.2%増の43億94百万円で、営業利益が2.8倍の11億04百万円だった。海外子会社においてエンドトキシン測定用試薬、グルカン測定体外診断用医薬品、受託試験サービスが増加した。

 四半期別に見ると、第1四半期は売上高が117億84百万円で営業利益が44億46百万円、第2四半期は売上高が87億46百万円で営業利益が15億92百万円だった。第1四半期に受取ロイヤリティー35億50百万円を計上した。

 通期予想は据え置いて、売上高が21年3月期比16.1%増の322億円、営業利益が2.0倍の45億50百万円、経常利益が53.7%増の46億50百万円としている。親会社株主帰属当期純利益は、前期の法人税等調整額のマイナス計上の反動で14.4%減の36億50百万円としている。配当予想は6円増配の30円(第2四半期末15円、期末15円)である。

 第2四半期累計の各利益は通期予想を超過達成しているが、ロイヤリティーの受領や海外医薬品の前倒し出荷など売上増加要因が集中したためであり、第3四半期以降にSI―6603追加臨床試験進展に伴って研究開発費の増加が見込まれることや、6月1日に発出した安全性速報(ブルーレター)によるジョイクルの販売への影響を考慮したとしている。ただし保守的だろう。需要が回復基調であり、通期予想は上振れの可能性がありそうだ。収益拡大を期待したい。

■株価は戻り試す

 株価は年初来安値圏だが、好業績を評価して戻りを試す展開を期待したい。11月9日の終値は1002円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS64円83銭で算出)は約15倍、時価総額は約569億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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