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マルマエは高値更新の展開、21年10月度の受注残高が前年比148.9%増で22年8月期は上振れの可能性
- 2021/11/22 08:49
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
マルマエ<6264>(東1)は半導体・FPD製造装置向け真空部品などの精密切削加工を展開している。受注が好調に推移して22年8月期大幅増収増益・過去最高更新予想としている。11月19日に発表した21年10月度の受注残高は前月比7.5%増、前年同月比148.9%増と好調だった。22年8月期はさらに上振れの可能性が高く、収益拡大基調だろう。株価は急伸して上場来高値更新の展開となった。目先的には利益確定売りが優勢になる可能性もあるが、自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。
■半導体・FPD製造装置向けの精密切削加工およびEBWを展開
半導体・FPD(フラットパネルディスプレー)製造装置に使用される真空部品や電極などの精密切削加工、および電子ビーム溶接(EBW)を展開している。
作業補助・介護ロボットの開発(鹿児島大学と共同研究)では、18年7月第二種医療機器製造販売業の許可を取得し、医療機器製造業の登録を行った。
■ESG経営を推進
中期事業計画の数値目標は22年8月期売上高70億円、営業利益20億円、資産ベースROIC18%、負債ベースROIC14%、配当性向30%以上、年間最低配当額10円(最終損益が赤字となる場合は見直し)を掲げている。設備投資の計画(CFベース)は増産投資および自社使用目的の太陽光発電投資を中心に、20年8月期3.4億円、21年8月期9.1億円、22年8月期10億円としている。
売上拡大戦略として半導体分野では、市場成長も背景として既存顧客からの受注品種拡大、デバイスメーカーの稼働向上に伴う消耗品の受注拡大を見込み、新規顧客獲得も推進する。既存顧客の売上に関しては20年8月期から22年8月期で約26%成長を目指す。新規顧客の売上に関しては2社からの受注を獲得(1社目は20年8月期量産開始、2社目は試作品提供開始)しており、20年8月期の1.2億円から22年8月期には12億円(1社目8億円、2社目4億円)を目標とする。
FPD分野の売上は20年8月期の10.6億円から、22年8月期に16億円を目指す。市場環境として21年8月期は市場縮小、22年8月期に高精細化投資で再拡大を想定し、EBWを活用した新規顧客獲得や、同業他社の撤退などによる市場シェア拡大を見込んでいる。
その他分野ではEBWに続く新技術習得による新分野開拓、リハビリ機器の研究開発などを推進する。
また中長期的な取り組みとしてESG経営を推進する。再生可能エネルギー活用によるCO2削減を推進するため、30年8月期に年間使用量50%以上を太陽光で自社発電する計画(30年8月期までに合計424百万円を設備投資)としている。さらに、職場環境向上の取り組みではワークライフバランスを整え、女性が継続して働ける職場づくりを目指す方針だ。
■21年10月度の受注残高は前年比148.9%増で過去最高
月次受注残高(速報値ベース)を見ると21年10月度は半導体分野が14億86百万円(前月比6.3%増、前年同月比132.7%増)、FPD分野が6億20百万円(前月比16.4%増、前年同月比252.3%増)、その他分野が43百万円、合計が21億51百万円(前月比7.5%増、前年同月比148.9%増)となった。
合計ベースの受注残高は25ヶ月連続で前年同月比プラスとなった。出荷検収が好調に推移するなか、受注が出荷検収を大幅に上回り、受注残高は過去最高を更新する形で推移している。
今後の動向として、半導体分野はシェア拡大も寄与して好調な受注が継続し、FPD分野も中小型OLEDや液晶製造用消耗品を中心に受注好調が継続する見込みとしている。その他分野では太陽電池製造装置向けの引き合いがあり、受注に向けて活動するとしている。
■22年8月期大幅増収増益・過去最高更新予想、さらに上振れの可能性
22年8月期の業績(非連結、収益認識基準適用のため前期比増減率非記載だが影響軽微)予想は売上高が72億円、営業利益が18億円、経常利益が17億80百万円、当期純利益が12億45百万円としている。収益認識基準適用前の21年8月期実績との単純比較で見ると、売上高は34.1%増収、営業利益は49.1%増益、経常利益は48.3%増益、当期純利益は38.0%増益となる。配当予想は21年8月期比12円増配の36円(第2四半期末18円、期末18円)としている。
受注が好調に推移して大幅増収増益・過去最高更新予想としている。分野別売上高の計画は半導体分野が40.0%増の59億08百万円、FPD分野が27.7%増の10億70百万円、その他分野が32.1%増の2億22百万円としている。
市場シェア拡大に向けた設備投資(当面は合計月産7億円の生産キャパシティ実現に向けて注力)や、採用投資(採用増に加えて労働分配率も向上方針)を積極的に実行するため、中期経営計画の22年8月期営業利益目標値20億円に対して若干未達の予想としているが、保守的な印象が強い。受注好調を勘案すれば、さらに上振れの可能性が高く、収益拡大基調だろう。
■株主優待制度は毎年8月末時点で6ヶ月以上保有株主対象
株主優待制度は、毎年8月末日現在6ヶ月以上継続1単元(100株)以上保有株主を対象として、クオカードを贈呈(詳細は会社HP参照)する。
■株価は高値更新の展開
22年4月4日移行予定の新市場区分については、新市場区分における上場維持基準への適合状況に関する一次判定結果でプライム市場適合を確認し、21年9月7日開催の取締役会においてプライム市場選択申請を決議した。
株価は急伸して上場来高値更新の展開となった。目先的には利益確定売りが優勢になる可能性もあるが、収益拡大基調を評価して、自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。11月19日の終値は3225円、今期予想PER(会社予想のEPS97円30銭で算出)は約33倍、今期予想配当利回り(会社予想の36円で算出)は約1.1%、前期実績PBR(前期実績のBPS494円20銭で算出)は約6.5倍、時価総額は約421億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)