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ネオジャパンは下値固め完了、DXの流れも背景として収益拡大基調
- 2021/11/24 08:32
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
ネオジャパン<3921>(東1)は自社開発グループウェアのクラウドサービスを主力としている。22年1月期は販管費増加などで小幅増益にとどまる予想としているが、クラウドサービスが好調に推移して上振れが濃厚だろう。さらにDX化の流れも背景として中長期的に収益拡大基調だろう。株価は反発力の鈍い展開だが下値固め完了感を強めている。成長力を評価して出直りを期待したい。なお12月13日に22年1月期第3四半期決算発表を予定している。
■自社開発グループウェアのクラウドサービスが主力
ビジネス・ITコミュニケーションツール開発企業である。自社開発グループウェアdesknet‘s NEOのクラウドサービス(月額課金収入)を主力として、大企業向け中心のプロダクト(パッケージソフト販売のライセンス収入およびサポートサービス収入)も展開している。19年8月にはシステム開発のPro-Spireを子会社化した。
海外展開は19年6月米国子会社DELCUIを設立、19年12月マレーシアに合弁会社NEOREKA ASIAを設立、21年2月タイに子会社Neo Thai Asiaを設立した。当面は投資が先行する見込みだが、ASEAN全域においてグループウェアdesknet‘s NEOブランドの確立を目指す。
21年1月期(連結調整前)の売上構成比は、グループウェアのソフトウェア事業が65%(クラウドサービスが39%、プロダクトが24%、技術開発が1%)、子会社Pro-Spireのシステム開発サービス事業が35%、海外事業が0%、営業利益構成比はソフトウェア事業が84%、システム開発サービス事業が18%、海外事業が▲1%だった。
21年3月には、経済産業省と日本健康会議が進める健康経営優良法人認定制度で「健康経営優良法人2021(大規模法人部門)」に2年連続で選定された。また、横浜商工会議所が開設したデジタル化相談窓口に協力会社として参加した。デジタル化支援コンソーシアム協力事業者として、中小企業のDX推進をサポートする。
■グループウェアdesknet‘s NEOは使いやすさが強み
グループウェアdesknet‘s NEOは、ローカライゼーション(日本語、日本の商習慣やビジネス習慣など)に対応した27の基本機能を備え、多機能・使いやすさ・高品質・低価格を強みとしている。21年9月には新バージョン6.1をリリースした。ペーパーレス会議を実現する新機能SmartViewerを標準搭載した。
業種・業態・規模を問わず幅広く企業・官公庁・自治体に採用され、1000以上の自治体・政府機関・都道府県庁の3分の1以上に導入されている。また21年7月には、カー用品専門店チェーンのイエローハット<9882>に、グループが運営する全国740店舗の従業員・スタッフをつなぐ情報共有基盤として、グループウェアdesknet‘s NEO大規模パッケージ版(3000ライセンス)が採用された。
グループウェアdesknet‘s NEOのユーザー数(累計販売ライセンス数とクラウド利用ユーザー数の合計)は21年7月末時点で21年1月末比115千人増加の4341千人、このうちクラウド版ユーザー数は43千人増加の426千人となった。中長期的には累計ユーザー数1000万ユーザーを目指すとしている。
■製品ラインアップ拡充で市場シェア拡大を推進
中期成長戦略として、グループウェアdesknet‘s NEOを核とするエンタープライズ向け製品の市場シェア拡大、シナジーが見込めるアライアンスへの戦略投資、マレーシアの合弁会社を拠点とするクラウドサービスの東南アジア市場開拓などを推進している。
製品ラインアップの拡充では、カスタムメイド型業務アプリ作成ツールAppSuite、新しいコミュニケーションツールとしてのビジネスチャットChatLuckを提供し、グループウェアdesknet‘s NEOとの連携も強化している。AppSuiteのユーザー数は21年7月末時点で21年1月末比26千人増加の134千人、ChatLuckのユーザー数は41千人増加の173千人となった。
なおアイティクラウド社が運営するIT製品比較・レビューサイト「ITreview」主催の「ITreview Grid Awaed 2021 Fall」では、desknet‘s NEOがグループウェア部門とワークフロー部門の2部門で11期連続受賞、ChatLuckがビジネスチャット部門で5期連続受賞した。
21年6月には、アイネット<9600>が提供する教育現場でのDX推進のための学校保護者間あんしん連絡サービスChatLuck SCを開発提供した。ビジネスチャットChatLuckをベースとして開発した。2社の共同事業として全国の国公立小中学校に販売する。
21年8月にはDX推進のスピードアップや製品開発のプロセス強化などを目的としてプロセス改革部を新設した。21年4月に新設したカスタマーサクセス部と連携してユーザーの長期的な成功にコミットする。
■22年1月期小幅増益予想だが上振れ濃厚
22年1月期の連結業績予想は、売上高が21年1月期比7.4%増の57億17百万円、営業利益が3.0%増の9億48百万円、経常利益が3.3%増の9億80百万円、親会社株主帰属当期純利益が0.3%増の6億79百万円としている。配当予想は1円増配の12円(期末一括)である。
第2四半期累計は売上高が前年同期比8.4%増の28億42百万円、営業利益が12.6%増の6億41百万円、経常利益が23.5%増の7億23百万円、親会社株主帰属四半期純利益が24.1%増の4億17百万円だった。増収効果で販管費増加などを吸収して大幅増益だった。なお営業外収益に保険解約返戻金60百万円を計上した。
主力のソフトウェア事業は、売上高が9.4%増の18億60百万円、営業利益が30.0%増の6億14百万円だった。クラウドサービスが14.4%増収(うち主力のグループウェアdesknet‘s NEOクラウドが19.2%増収)と好調に推移して牽引した。プロダクトは2.5%増収だった。クラウドサービスへの移行で縮小傾向を見込んでいるが、想定よりも堅調に推移した。
四半期別に見ると、第1四半期は売上高13億62百万円で営業利益2億75百万円、第2四半期は売上高14億80百万円で営業利益3億66百万円だった。
通期予想は据え置いている。売上面は、主力のクラウドサービス(15%程度の増収計画)が引き続き好調に推移するが、クラウドサービスへの移行でスモールライセンスの減少を見込んでいる。利益面は人件費や研究開発費の増加に加えて、海外事業展開本格化に伴う販管費の増加を見込んでいるため、小幅増益にとどまる予想としている。
ただし第2四半期累計の進捗率は売上高が49.7%、営業利益が67.6%、経常利益が73.8%、当期純利益が72.6%と高水準だった。クラウドサービスが好調に推移して通期予想は上振れが濃厚だろう。さらにDX化の流れも背景として中長期的に収益拡大基調だろう。
■株主優待は1月末と7月末の年2回
株主優待は年2回、1月末と7月末の株主を対象として、保有株式数に応じてQUOカードを贈呈(詳細は会社HP参照)している。
■株価は下値固め完了
22年4月4日移行予定の新市場区分については、上場維持基準への適合状況に関する一次判定結果でプライム市場適合を確認し、21年9月14日開催の取締役会においてプライム市場選択を決議した。そして10月20日には、東京証券取引所に対してプライム市場選択の申請手続を行った。
株価は反発力の鈍い展開で年初来安値圏だが下値固め完了感を強めている。成長力を評価して出直りを期待したい。11月22日の終値は1373円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS45円62銭で算出)は約30倍、今期予想配当利回り(会社予想の12円で算出)は約0.9%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS296円83銭で算出)は約4.6倍、時価総額は約205億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)