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アールシーコアは調整一巡、23年3月期収益改善期待
- 2021/11/26 08:23
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
アールシーコア<7837>(JQ)は、自然材をふんだんに使ったログハウスのオリジナルブランド「BESS」を展開している。22年3月期は原材料価格高騰の影響で利益・配当予想を下方修正したが、前期比では黒字転換を維持する見込みだ。受注棟数はコロナ禍以前の水準に回復しているため、23年3月期の収益改善を期待したい。株価はモミ合いから下放れの形となって水準を切り下げたが、調整一巡して出直りを期待したい。
■ログハウスのオリジナルブランド「BESS」を展開
<「住む」より「楽しむ」>をスローガンとして暮らし文化の創造を目指し、自然材をふんだんに使った個性的な木の家であるログハウスのオリジナルブランド「BESS」の販売を、国内直販部門、連結子会社BESSパートナーズ(BP)社、および国内販社で展開している。
21年3月期セグメント別(調整前)売上構成比は直販部門が31%、販社部門が33%、BP社が35%、営業利益構成比は直販部門が56%、販社部門が42%、BP社が2%だった。FCを中心とした事業展開で高資本効率を実現している。
東京都・代官山のBESS スクエア、神奈川・藤沢市のBESS 藤沢、東京都・昭島市のLOGWAY BESS多摩の3ヶ所を直営拠点としている。なお21年4月に東京・代官山のLOGWAY旗艦店を「BESS MAGMA LOGWAY、NIPPON」としてリニューアルオープンした。21年9月には東京・代官山「BESS MAGMA」の文化発信基地としての新たな取り組みで、学生有志と共同で新卒採用向けプロモーションビデオを制作した。
収益は直販部門とBP社の「BESS」売上、販社からのロイヤリティ収入および販社へのキット部材売上などである。四半期収益は物件引き渡し件数・時期などで変動しやすい特性がある。
■収益構造改革を推進
新中期経営計画ではスローガンに「曲がり真直ぐ、BESSの道」を掲げている。また重点施策としては、LOGWAY戦略のベストサイクル追求、新時代の暮らし方「梺(ふもと)ぐらし」の本格化、ブランドパートナー型FC制度の確立、長寿企業を目指す収益構造改革を推進している。なお目標値についてはコロナ禍による事業環境の変化を考慮し、23年3月期の売上高を従来の240億円から200億円に、営業利益率を8%から5%に変更した。
21年3月には、運転資金および設備投資(東京・代官山のBESS本店リニューアル)への充当を目的として、シンジケーション方式によるコミットメントライン契約およびタームローン契約を締結した。
成長に向けた新規事業としては、19年から「梺ぐらし開発」としてFuMoTo事業用地や梺ぐらし用地の取得を進めている。また新IMAGO事業として、21年10月から車輪付きログ小屋商品の可動式トレーラーハウス「走るログ小屋 IMAGO」を発売した。23年3月期には1000台の販売を目指す方針だ。
■22年3月期2Q累計赤字縮小、通期利益・配当を下方修正だが黒字維持
22年3月期連結業績予想(収益認識基準適用だが影響軽微、木材価格高騰の影響で11月12日に利益を下方修正)は、売上高が21年3月期比4.5%増の165億円で、営業利益が80百万円(21年3月期は2億52百万円の赤字)、経常利益が30百万円(同3億57百万円の赤字)、親会社株主帰属当期純利益が30百万円(同5億34百万円の赤字)としている。
配当予想(11月12日に期末10円下方修正)は21年3月期比5円増配の25円(第2四半期末15円、期末10円)としている。配当予想を従来予想から大幅に下方修正したため、内規に基づいて当期の役員賞与は不支給とする。
第2四半期累計は売上高が前年同期比7.9%増の82億23百万円、営業利益が64百万円の赤字(前年同期は3億79百万円の赤字)、経常利益が81百万円の赤字(同3億92百万円の赤字)、親会社株主帰属四半期純利益が21百万円の赤字(同3億31百万円の赤字)だった。なお収益認識基準適用で売上高が9百万円増加、利益が2百万円増加したが影響軽微だった。
営業システム改善効果、21年4月に名称変更してリニューアルオープンした東京・代官山の旗艦店「BESS MAGAMA」によるブランド発信強化などで、受注が増加(全社ベース受注高は14%増の84億54百万円、期末受注残高は132億80百万円)し、BESSパートナーズ(BP社)における業務効率改善効果も寄与して赤字縮小した。全国のLOGWAY(展示場)への来場者数はコロナ禍の影響で前年同期比4%減だったが、受注棟数は452棟(前年同期比で21%増、一昨年同期比で2%増)となり、コロナ禍以前の水準に回復した。
セグメント別(調整前)に見ると、直販部門は期首受注残高の順調な売上進捗により、売上高が15.1%増の27億10百万円で営業利益が44.5%増の3億08百万円だった。受注金額は8.2%増の24億36百万円だった。
販社部門は売上高が3.4%減の36億05百万円だが、前期の貸倒引当金計上の反動増で営業利益が3.4倍の2億34百万円だった。受注金額は4.0%増の21億49百万円だった。
BP社は事業効率性の高い経営への体質改善により、売上高が23.1%増の32億19百万円となり、営業利益は1億20百万円(前年同期は30百万円の赤字)と黒字転換した。受注金額は23.8%増の38億68百万円だった。
なお四半期別に見ると、第1四半期は売上高が38億48百万円で営業利益が89百万円の赤字、第2四半期は売上高が43億75百万円で営業利益が25百万円の黒字だった。
通期予想は売上高を据え置いたが、利益を下方修正した。受注は回復基調だが、木材の価格高騰・調達難(ウッドショック)による部材納期・工期の長期化が利益を圧迫する見込みだ。ただし黒字転換(21年3月期は赤字)を維持する見込みだ。
東京・代官山「BESS MAGAMA」を中心に、LOGWAY(展示場)における体感型単独展示場の強みを活かして受注強化を推進する。受注棟数は47%増の1070棟、受注高は27%増の173億円の計画としている。ウッドショック対策としては、契約精度向上などによる早期着工推進で売上回転率の向上を目指すほか、材種の見直しや調達ルートの複数化などによるコストアップ抑制、販売価格の改定や対販社(FC)取引条件の改定などを推進する方針だ。
22年3月期利益予想を下方修正したが、受注棟数はコロナ禍以前の水準に回復しているため、23年3月期の収益改善を期待したい。
■株主優待は3月末と9月末の株主対象
利益配分については、DOE(純資産配当率)を重視した長期的視点での安定配当を行うことを基本とし、当面はDOEを7%程度まで高めることを目標としている。株主優待制度は毎年3月末および9月末時点の株主を対象として実施(詳細は会社HP参照)している。
■株価は調整一巡
22年4月4日移行予定の新市場区分については、新市場区分における上場維持基準への適合状況に関する一次判定結果でスタンダード市場適合を確認し、21年11月12日開催の取締役会においてスタンダード市場選択申請を決議した。所定のスケジュールに従って手続を進める。
株価はモミ合いから下放れの形となって水準を切り下げたが、調整一巡して出直りを期待したい。11月25日の終値は807円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS7円15銭で算出)は約113倍、今期予想配当利回り(会社予想の25円で算出)は約3.1%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS682円85銭で算出)は約1.2倍、時価総額は約37億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)