バルクホールディングスは22年3月期2Q累計赤字縮小、通期黒字化予想で収益改善基調

 バルクホールディングス<2467>(名セ)は、コンサルティング事業およびマーケティング事業を展開し、新規事業のサイバーセキュリティ分野を強化している。22年3月期第2四半期累計は大幅増収で赤字縮小した。計画比でも上振れて着地した。通期はサイバーセキュリティ分野が拡大して黒字化予想としている。収益改善基調だろう。株価は11月24日に急伸して年初来高値を更新する場面があった。その後は買いが続かずモミ合いレンジに回帰したが、収益改善基調を評価して戻りを試す展開を期待したい。

■セキュリティ事業とマーケティング事業を展開

 セキュリティ事業およびマーケティング事業を展開する純粋持株会社である。新規事業としてサイバーセキュリティトレーニングのサイバーセキュリティ分野を強化している。なお収益は第4四半期に偏重する傾向がある。

 セキュリティ事業は、情報セキュリティ規格コンサルティング(プライバシーマーク認定取得支援、ISO27001(ISMS)認証取得支援、および運用支援)分野、およびサイバーセキュリティ分野を展開している。

 マーケティング事業は、マーケティングリサーチ(大手メーカーの新製品開発時モニター調査)分野、およびセールスプロモーション(スーパーなど食品流通事業者のフリーペーパー、食品・飲料メーカーのSPツール・ノベルティの制作)分野を展開している。またアトラス・コンサルティングを持分法適用関連会社としている。

■サイバーセキュリティ分野を強化

 サイバーセキュリティ分野は18年1月にイスラエルのサイバージム社と共同で米国SCH社を設立して参入した。日本と米国において、サイバージムが開発した実践型サイバーセキュリティトレーニングアリーナを運営し、電力や金融など重要インフラストラクチャーセクターの民間企業・政府機関等に対して、サイバーセキュリティトレーニング等のサービスやソリューションを提供している

 18年7月米国ニューヨークにコマーシャルアリーナ(フルパッケージサービスを提供する大型トレーニング施設)のCyberGym NYCを開設、18年8月ハイブリッドアリーナ(小型トレーニング施設)のCyberGym Tokyoを開設、18年8月サイバージム社に出資、18年9月サイバーセキュリティコンサルティングの子会社CELを設立した。

 なおサイバージム社との共同事業の枠組みを見直して、21年3月に米国SCH社が米国でのセキュリティトレーニング事業展開のために保有するライセンス・設備(NYコマーシャルアリーナ)一式をサイバージム社に譲渡した。これによって米国SCH社の固定費が大幅に削減された。今後のグローバル戦略として、日本国内および近隣のアジア地域では当社グループ、米国ではサイバージム社が主導して展開する。

 国内のサイバーアリーナの展開は、19年8月CYBERGYM新宿アリーナ(運営主体はインターネット総合研究所)を開設、20年11月CYBERGYM八重洲アリーナ(クロスポイントソリューションとの合弁会社クロスポイントセキュリティジムが運営、持分法適用関連会社)を開設した。

 21年6月にはATマーケティングとサイバーアリーナにかかる提供・運用サポート・ライセンス契約を締結し、21年7月にCYBERGYM名古屋を開設した。なおCYBERGYM大阪については運営主体を変更し、DXHR社が主体となって運営会社サイバーコマンドを設立して21年7月に開設した。

 21年10月には子会社のサイバージムジャパン(CGJ)がアクトと協業し、札幌市内および福岡市内にサイバーセキュリティ教育施設を開設(22年3月予定)することについて基本合意した。

■22年3月期2Q累計赤字縮小、通期黒字化予想で収益改善基調

 22年3月期連結業績予想は、売上高が21年3月期比24.9%増の18億34百万円、営業利益が33百万円の黒字(21年3月期は3億04百万円の赤字)、経常利益が12百万円の黒字(同3億25百万円の赤字)、親会社株主帰属当期純利益が8百万円の黒字(同4億34百万円の赤字)としている。

 第2四半期累計は、売上高が前年同期比32.0%増の8億24百万円、営業利益が11百万円の赤字(前年同期は2億11百万円の赤字)、経常利益が15百万円の赤字(同2億36百万円の赤字)、親会社株主帰属四半期純利益が30百万円の赤字(同2億46百万円赤字)だった。

 営業赤字だったが、増収効果や海外サイバーセキュリティ事業(米国SCH社)の固定費削減効果などで、前年同期比では2億円の増益となり、計画に対しては32百万円上振れて着地した。営業外収益には解約金収入10百万円、為替差益7百万円、営業外費用には持分法投資損失14百万円、特別損失には固定資産減損損失5百万円を計上した。なお第2四半期末の自己資本比率は32.2%となり、21年3月期末に比べて12.2ポイント上昇した。

 セキュリティ事業は売上高が50.4%増の3億86百万円で、営業利益(全社費用調整前)が32百万円(前年同期は1億05百万円の赤字)だった。売上面では、セキュリティトレーニング部門において、第1四半期に大阪アリーナと名古屋アリーナを販売し、第2四半期も保守売上・サブスクリプション売上を積み上げた。セキュリティソリューション・コンサルティング部門では、AI脆弱性診断などのサイバーセキュリティ分野の売上が増加し、情報セキュリティ規格コンサルティングも堅調だった。利益面では増収効果に加えて、米国SCH社の固定費削減も寄与した。

 マーケティング事業は売上高が8.3%増の2億12百万円で、営業利益が56百万円の黒字(同32百万円の赤字)だった。マーケティングリサーチ部門で主要顧客の放送局を中心としたリサーチ業務が堅調に推移し、セールスプロモーション・広告代理部門では主要顧客の大手スーパーや大手食品メーカーからの受注が堅調に推移した。

 なお四半期別に見ると、第1四半期は売上高が4億27百万円で営業利益が27百万円の黒字、第2四半期は売上高が3億97百万円で営業利益が38百万円の赤字だった。

 通期予想は据え置いた。第2四半期累計は計画比で上振れたが、第4四半期偏重の収益特性を考慮した。ただし通期ベースでもサイバーセキュリティ分野が順調に拡大する見込みだ。21年10月にはアクトと札幌アリーナおよび福岡アリーナの開設・運営に係る基本合意を締結し、22年3月期中の開設を目指している。収益改善基調だろう。

■株価は戻り試す

 株価は11月24日に急伸して年初来高値を更新する場面があった。その後は買いが続かずモミ合いレンジに回帰したが、収益改善基調を評価して戻りを試す展開を期待したい。11月26日の終値は276円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS72銭で算出)は約383倍、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS11円72銭で算出)は約24倍、時価総額は約32億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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