【株式市場特集】利ザヤ拡大や運用環境の好転を享受する銀行・保険株などの金融株が浮上
- 2021/11/29 09:55
- 特集
米長期金利が再び上昇すると仮定すれば、「株券を枕に越年」の候補株に利ザヤ拡大、運用環境も好転を享受する銀行株、保険株などの金融株が浮上するはずである。すでに3月期決算会社の金融株には、9月中間期業績の発表時に3月通期業績の上方修正に踏み切った銘柄も続出している。今週の当特集では、業績を修正済みの金融株を地銀株も含めて取り上げることとした。「オミクロン型」の感染動向を横目で睨みつつ、為替相場と米国の長期金利の動向をウオッチしていれば、アプローチのタイミングも、「株券を枕に越年」か「引かれ玉を枕に越年」かも自ずと明らかになりそうである。
■メガバンク株には増配と1000億円~1500億円の自己株式取得がオン
金融株でまず注目は、揃って今3月期業績を上方修正したメガバンク株だろう。三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306>(東1)は、上方修正で純利益が7期ぶりに過去最高を更新し、合わせて年間28円への増配、1500億円の自己株式取得、3億株の自己株式消却を発表した。同じく三井住友フィナンシャルグループ<8316>(東1)も業績上方修正、増配、1000億円の自己株式取得を発表し、システム障害問題で経営トップが詰め腹を切らされたみずほフィナンシャルグループ<8411>(東1)も、これに先立って今期純利益を上方修正し配当も増配した。株価そのものは、ハイテク株との綱引きや米長期金利の上昇・低下に連動して限定的な反応にとどまっているが、PERは6倍~7倍、PBRは0.4倍、年間配当利回りは4%~5%と大きく割り負けており、前週末に長期金利の急低下に直撃されて急落した米国の大手銀行株にツレ安して週明けに売り先行となるなら、安値対応は一考余地がある。
金融主力株では、損保・生保の保険株も、やはり業績の上方修正に増配、自己株式取得などがオンする好材料を発表済みである。損保株ではSOMPOホールディングス<8630>(東1)が業績上方修正と自己株式取得・消却、MS&ADインシュアランスグループホールディングス<8725>(東1)が自己株式取得と増配、東京海上ホールディングス<8766>(東1)が業績上方修正と増配、生保株では第一生命ホールディングス<8750>(東1)が業績上方修正と増配、T&Dホールディングス<8795>(東1)が業績上方修正と増配などとなっている。株価反応は、東京海上HDが歓迎高で年初来高値まで買い進まれたほかは限定的にとどまっており、PERは1ケタ台、PBRは0.5倍などと割り負けているだけに追随高の展開も想定される。
■本業好転の地銀株は東証1部の低PBRランキングでも上位にランク
地銀株は、今年10月から11月上旬に掛けて今3月期9月中間期業績を上方修正する銘柄が続出し、そのなかから9月中間期決算発表時に今3月期通期業績を上方修正する銘柄が出ている。中間期業績の上方修正は、多くが与信関連費用の改善を要因としているが、通期業績の上方修正は、これに加えて資金運用収益の改善、役務取引等収益の増加などを要因としており本業の好転が中心となっている。
地銀株で通期業績の上方修正と増配や自己株式取得などの複数の好材料を発表した銘柄をコード番号順にあげると西日本フィナンシャルホールディングス<7189>(東1)、群馬銀行<8334>(東1)、岩手銀行<8345>(東1)、大垣共立銀行<8361>(東1)、滋賀銀行<8366>(東1)、百五銀行<8368>(東1)、阿波銀行<8388>(東1)、名古屋銀行<8522>(東1)、京葉銀行<8544>(東1)などとなる。PBR評価は、岩手銀銀行が、0・14倍で東証1部低PBRランキングの第10位にランクされているのを筆頭にすべてトップ100位にランクインするなど割り負け顕著となっている。PER評価も3倍台から9倍台となっているだけに「株券を枕に越年」して果報を待つところだろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)