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JFEシステムズは上値試す、22年3月期増収増益予想
- 2021/11/30 08:44
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
JFEシステムズ<4832>(東2)はJFEグループの情報システム会社である。鉄鋼向けを主力として、一般顧客向け複合ソリューション事業も強化している。22年3月期は需要回復や生産性向上などで増収増益予想としている。鉄鋼向けを中心に需要が高水準に推移して収益拡大基調だろう。株価は10月の年初来高値圏から反落したが、利益確定売りが一巡して上値を試す展開を期待したい。
■JFEグループの情報システム会社
JFEグループの情報システム会社である。鉄鋼向け情報システム構築事業を主力として、ERPと自社開発ソリューションを組み合わせた一般顧客向け複合ソリューション事業、自社開発のプロダクト・ソリューション事業も強化している。
21年3月期の事業別売上高は、鉄鋼が20年3月期比16億円減の194億円、一般顧客が8億円減の151億円、基盤サービスが10億円増の65億円、子会社(JFEコムサービス、IAFC)が1億円減の55億円だった。収益面では情報システム関連のため、年度末にあたる第4四半期の構成比が高い特性がある。
ダイバーシティを推進し、女性の活躍推進の取り組みが優れた企業を厚生労働大臣が認定する「えるぼし」や、働き易い職場環境整備・意識啓発に取り組む企業を東京都が登録する「心のバリアフリーサポート企業」など、働き方・企業風土に関する各種認証を取得している。20年7月には厚生労働大臣から子育てサポート企業として「プラチナくるみん」認定を受けた。21年3月には健康経営優良法人2021(大規模法人部門)に4年連続で選定された。
■電子帳票パッケージは14年連続国内シェア1位
21年6月には、自社開発電子帳票保存ソリューションDataDeliveryとNTTデータ・イントラマートのintra―martの連携機能強化、日本マイクロソフトのCloud Platform Goldコンピテンシー認定取得を発表した。
21年7月にはDataDeliveryが、公益社団法人日本文書情報マネジメント協会(JIIMA)の認証する電子取引ソフト法的要件認証制度および電子書類ソフト法的要件認証制度の2つのJIIMA認証を同時取得した。
21年9月には、自社開発の電子帳票パッケージFiBridgeシリーズが、富士キメラ総研「ソフトウェアビジネス新市場2021年版」電子帳票パッケージ(運用・保尊システム)分野20年度市場占有率調査(販売パッケージベース)で、14年連続で国内製品シェア1位(数量シェア25.2%、金額シェア25.3%)を獲得したと発表している。利用企業数は4000社を超えている。
■ソリューション事業も拡大推進
コロナ禍で不透明な状況のため、次期中期経営計画の策定を1年先延ばし(23年3月~25年3月期の3ヶ年計画とする予定)し、22年3月期は次期中期経営計画に向けた準備期間と位置付けている。
基本戦略としては、高収益事業への構造転換で製鉄所システムリフレッシュ本格化に向けた体制確保、AIやIoTなど新技術を活用したソリューション事業の拡大、クラウドやセキュリティ関連など基盤サービス事業の拡大、基幹事業の強化で自動車向け体制充実や金融向け構造転換推進など製造・金融分野の顧客基盤強化、プロダクト事業(食品、電子帳票)強化によるニッチトップ確立を推進している。
21年4月には一般顧客部門に事業本部制を導入し、パッケージを主体に顧客の課題を解決する事業を集約したソリューション・プロダクト事業本部、オーダーメード開発を主体とする事業を集約したビジネスシステム事業本部とした。さらに、製造流通業界(JFEスチールグループ含む)向けのデジタルトランスフォーメーション推進部署としてDX推進部を新設した。
また21年4月には、食品業界のDX推進を支援する原料情報管理・原材料表示作製クラウドサービス「MerQurius(メルクリウス)クラウド」の提供を開始した。
21年8月にはOutSystemsジャパンと、日本市場におけるOutSystemsプラットフォームに関するパートナー契約を締結した。ローコード開発プラットフォームの導入を加速してDXを強力にサポートする。
21年10月にはSAP S/4HANA向けに自社開発したプロジェクト管理業務テンプレート「SIDEROS PS TEMPLATE for S/4HANA」の最新版の販売を開始した。
■22年3月期増収増益予想
22年3月期の連結業績予想(収益認識基準適用だが損益への影響は軽微、10月27日に上方修正)は、売上高が21年3月期比9.8%増の510億円、営業利益が12.9%増の52億70百万円、経常利益が12.8%増の53億円、親会社株主帰属当期純利益が13.4%増の35億円とした。売上高・利益とも過去最高更新予想としている。配当予想(10月27日に期末15円上方修正)は75円(期末一括)としている。21年4月1日付株式2分割換算後で21年3月期比15円増配となる。
第2四半期累計は売上高が前年同期比6.4%増の241億98百万円、営業利益が26.4%増の24億57百万円、経常利益が26.0%増の24億79百万円、親会社株主帰属四半期純利益が29.1%増の16億21百万円だった。
上期として過去最高だった。全体としてコロナ禍から需要が回復し、生産性向上なども寄与して想定超の増収・大幅増益だった。収益認識基準適用の影響額は売上高が子会社を中心に7億03百万円減少したが、営業利益への影響は27百万円減少と軽微だった。
部門別の売上高は、鉄鋼がJFEスチール向け刷新プロジェクトの進展で15億円増加の111億円、一般顧客が製造業・金融業向けの回復やソリューションの増加で5億円増加の78億円、基盤が1億円増加の33億円、子会社が会計基準変更の影響で6億円減少の20億円だった。
四半期別に見ると、第1四半期は売上高が119億15百万円で営業利益が10億42百万円、第2四半期は売上高が122億83百万円で営業利益が14億15百万円だった。
通期予想は従来予想に対して売上高を30億円、営業利益を5億10百万円、経常利益を5億円、親会社株主帰属当期純利益を4億円それぞれ上方修正した。売上高・利益とも過去最高更新予想としている。
修正後の部門別売上高計画は、鉄鋼がJFEスチール向け刷新プロジェクトの進展で38億円増加の232億円(従来予想比22億円上方修正)、一般顧客が製造業・金融業向けの回復やソリューションの増加で14億円増加の165億円(6億円上方修正)、基盤が基盤構築関連の外販増で3億円増加の68億円(3億円上方修正)、子会社が会計基準変更の影響で10億円減少の45億円(1億円下方修正)としている。
修正後の通期予想に対する第2四半期累計の進捗率は売上高が47.4%、営業利益が46.6%、経常利益が46.8%、純利益が46.3%と概ね順調であり、下期は売上高・利益とも更なる上積みを目指すとしている。JFEスチール向け刷新プロジェクトは26年頃まで継続する見込みであり、鉄鋼向けを中心に需要が高水準に推移して収益拡大基調だろう。
■株価は上値試す
株価は10月の年初来高値圏から反落したが、利益確定売りが一巡して上値を試す展開を期待したい。11月29日の終値は1850円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS222円86銭で算出)は約8倍、今期予想配当利回り(会社予想の75円で算出)は約4.1%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1298円06銭で算出)は約1.4倍、時価総額は291億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)