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ジェイテックは上値試す、23年3月期収益回復期待
- 2021/12/8 08:26
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
ジェイテック<2479>(JQ)は技術者派遣の「技術商社」を標榜し、技術職知財リース事業を主力としている。22年3月期はコロナ禍の影響で新卒テクノロジストの稼働開始が想定以上に後倒しになったため営業赤字見込みだが、コロナ禍の影響は徐々に和らぐことが予想される。積極的な人材採用も奏功して23年3月期の収益回復を期待したい。株価は動意づいてモミ合いから上放れ、年初来高値を更新する場面があった。その後は急反落して乱高下の形となったが、素早く切り返しの動きを強めている。上値を試す展開を期待したい。
■技術者派遣の「技術職知財リース事業」が主力
製造業の開発・設計部門に技術者を派遣する「技術職知財リース事業」を主力として、子会社のジェイテックアドバンストテクノロジは一般派遣およびエンジニア派遣事業を展開している。子会社はジェイテックアドバンストテクノロジである。
専門教育による知識を基盤として、新たな付加価値を顧客に提供する社員を「テクノロジスト」と呼称し、一般的なエンジニアと区別している。そして「技術商社」を標榜し、テクノロジストが保有する知恵を提供(リース)することで顧客とともに新たな価値を創造する「技術職知財リース事業」としている。
上場企業および優良中堅企業160社以上と幅広く取引があり、機械設計開発、電気・電子設計開発、ソフトウェア開発、建築設計の4分野を柱として、業種別にも幅広く展開していることが特徴だ。
21年3月期の連結ベースの業種別売上高構成比は、自動車関連が18%、産業用機器関連が22%、電子・電気機器関連が10%、半導体・集積回路関連が6%、情報処理関連が13%、建築関連が21%だった。
21年3月期の売上上位顧客企業は、ヤマハ、デンソーテン、アイシン・ソフトウェア、本田技術研究所、SUBARU、リコージャパン、三菱電機メカトロニクス、ヤマハ発動機、LIXIL、東レエンジニアリングだった。
なお、21年3月期の単体ベースの期末テクノロジスト数は183名(20年3月期末は201名)で、平均稼働率は97.9%(同98.9%)、平均月間稼働時間は173.8時間/人(同177.9時間/人)、派遣型知財リース平均単価は4491円(同4309円)だった。
積極的な人材採用で、21年4月1日付の連結ベースのテクノロジスト数は483名(21年3月期末387名、21年4月入社100名)となっている。
■テクノロジスト700名体制の早期達成目指す
中期経営計画(22年3月期~24年3月期)では、最終年度24年3月期の業績目標値を、売上高43億80百万円、営業利益1億88百万円、経常利益1億69百万円、親会社株主帰属当期純利益99百万円としている。
新型コロナ影響が22年3月末まで継続すると仮定するが、テクノロジスト需要は底堅く推移すると見込み、テクノロジスト700名体制の早期達成に向けた人材採用・教育を強化し、強固な収益基盤を構築する。さらに新規事業への積極投資やM&Aも推進する方針としている。
なお、コロナ禍で22年3月期の新卒テクノロジストの稼働開始が後倒しになったため22年3月期目標値を下方修正したが、テクノロジストの教育・研修を重点的に行い、22年3月末時点で以降2ヶ年の計画達成に向けた稼働人員などの必要条件が揃う見込みのため、23年3月期および24年3月期の目標値については据え置いている。
21年9月には事業拡大と採用強化に向けた北海道地方の拠点として札幌営業所を開設した。21年11月には東海エリアでの採用強化に向けて浜松営業所を移転・増床した。
株主還元については、安定的かつ継続的な配当を基本として、配当性向20%の実現を目指すとしている。
■22年3月期営業赤字予想
22年3月期の連結業績予想(10月29日に売上高と営業利益を下方修正、雇用調整助成金収入の計上などで経常利益と親会社株主帰属当期純利益を小幅上方修正)は、売上高が21年3月期比7.4%増の29億77百万円、営業利益が1億69百万円の赤字(21年3月期は56百万円の赤字)、経常利益が41.6%減の46百万円、親会社株主帰属当期純利益が53.1%減の19百万円としている。配当予想は据え置いて21年3月期と同額の1円(期末一括)としている。
第2四半期累計は売上高が前年同期比4.4%増の14億27百万円、営業利益が1億30百万円の赤字(前年同期は39百万円の赤字)、経常利益が6百万円(同0百万円)、そして親会社株主帰属四半期純利益が1百万円の赤字(同4百万円の赤字)だった。なお収益認識基準適用の影響額として売上高が4百万円増加、売上総利益、営業利益、経常利益、税金等調整前四半期純利益がそれぞれ2百万円減少している。影響は軽微である。
技術職知財リース事業のテクノロジストの労働工数増加や平均単価上昇などで増収だが、想定以上にコロナ禍の影響を受けて新卒テクノロジストの稼働開始が後倒しになったため売上高が計画を下回り、営業利益は赤字拡大した。なお営業外収益に雇用調整助成金収入93百万円を計上した。
技術職知財リース事業は、売上高が5.3%増の14億10百万円だったが、新卒テクノロジスト稼働開始の後倒し、研修中の未稼働新卒テクノロジストの人件費負担・教育費用などで営業利益が60.1%減の57百万円だった。一般派遣およびエンジニア派遣事業は、売上高が38.6%減の17百万円で、営業利益が10百万円の赤字(前年同期は6百万円の赤字)収だった。コロナ禍で住宅展示場等におけるプラカード案内業務が休止状態となった。
なお四半期別に見ると、第1四半期は売上高が7億01百万円で営業利益が80百万円の赤字、第2四半期は売上高が7億26百万円で営業利益が50百万円の赤字だった。
通期はコロナ禍の影響で新卒テクノロジストの稼働開始が想定以上に後倒しとなったため、売上高と営業利益を下方修正した。従来予想に対して売上高は4億58百万円、営業利益は1億79百万円、それぞれ下回る見込みだ。なお雇用調整助成金収入などで経常利益は18百万円、親会社株主帰属当期純利益は13百万円、それぞれ従来予想を上回る。
22年3月期は従来の営業黒字転換予想から一転して営業赤字拡大見込みとなったが、コロナ禍の影響は徐々に和らぐことが予想される。積極的な人材採用も奏功して23年3月期の収益回復を期待したい。
■株価は上値試す
株価は動意づいてモミ合いから上放れ、年初来高値を更新する場面があった。その後は急反落して乱高下の形となったが、素早く切り返しの動きを強めている。上値を試す展開を期待したい。12月7日の終値は211円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS2円40銭で算出)は約88倍、今期予想配当利回り(会社予想の1円で算出)は約0.5%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS112円54銭で算出)は約1.9倍、時価総額は約18億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)