【株式市場特集】高配当銘柄に注目、個別事情を精査すると最適銘柄が浮上

ビジネス

 今週の当特集は、高配当銘柄に注目することとした。もちろん配当利回りは、確定利回りではない。足元の今期配当が高配当でも、次期配当が業績次第で減配となるケースだって数多い。インカムゲインが、先行きインカムロス、あるいはキャピタルロスに逆回転する可能性もあり、高配当銘柄の個別事情を精査するのは不可欠だ。高配当利回りランキングの上位にランクされた銘柄からスクリーニングすれば、「指し投」の資産防衛策の最適銘柄が浮上することになる。

■トップ10銘柄から来期の個別事情を精査してスクリーニング

 前週末10日現在の全市場ベースの高配当利回りランキングのトップ10にランクされるのは、配当利回り13.8%で第1位の明和産業<8103>(東1)以下、次の通りとなる。商船三井<9104>(東1)、日本郵船<9101>(東1)、ベリテ<9904>(東2)、乾汽船<9308>(東1)、浅沼組<1852>(東1)、ミズホメディー<4595>(東2)、西松建設<1820>(東1)、NEW ART HOLDINGS<7638>(JQS)、ディア・ライフ<3245>(東1)と続き、第10位のディア・ライフの配当利回り6.40%でも、東証1部全銘柄平均の1.96%を大きく上回る。

 このうち大手海運3社は、コンテナ船貨物の活況・運賃上昇で今3月期業績を3回も上方修正しその度に増配し、株価が、今年9月につけた上場来高値から22%~28%も調整した水準でもみ合っていることが背景となっている。この株価調整は、コンテナ船市況そのものが来年2月の中国で春節(旧正月)でピークアウトすると観測されているためで、高配当継続に疑問符が付いている。しかし米国の物価上昇が、人手不足やサプライチェーン(物流網)混乱を背景にしているだけに長引く可能性もあり、この綱引き動向は要注目である。来2022年3月期配当を382円(今期予想363円)、来々期配当を395円と予想している浅沼組や、「モノいう株主」の出口戦略用の増配とみられている西松建設などのケースもあるが、このほかトップ10位以下となるが上位を占めるメガバンク株、大手商社株も浮上しよう。

■所有期間利回り感覚で権利付き最終日接近の12月期決算銘柄もマーク

 債券投資の所有期間利回り的感覚では、今年12月28日に配当権利付きの最終売買日となる12月期決算会社の高配当銘柄も、ポートフォリオの組み入れ候補株となる。高配当利回りランキングのトップ10は、ミズホメディー<4595>(東2)の6.79%を筆頭にJT<日本たばこ産業、2914>(東1)、ハウスフリーダム<8996>(福Q)、ビー・ピー・カストロール<5015>(東1)、ノーリツ<5943>(東1)、中野冷機<6411>(JQS)、日本エスコン<8892>(東1)、日本和装ホールディングス<2499>(東2)、日本カーボン<5302>(東1)と続き、第10位の住友ゴム<5110>(東1)の配当利回りは4.53%となる。

 このうちミズホメディーは、今期配当の大幅増配を予定しているが、足元ではPCR検査の公的医療保険価格が引き下げられ株価が急落したことがトップ要因となっており、この業績感応度を見極める必要がある。このほかのランキング上位銘柄は、業績上方修正と配当の増配がシンクロしており、高配当継続を期待させる。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. 【先人の教えを格言で解説!】 (犬丸正寛=株式評論家・平成28年:2016年)没・享年72歳。生前に…
  2. ■2024年度上半期163件で過去最多更新  人手不足による倒産が急増している。帝国データバンクの…
  3. ■新たなモビリティ社会実現に向けた取り組み加速  トヨタ自動車<7203>(東証プライム)は10月…
2024年11月
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
252627282930  

ピックアップ記事

  1. ■化粧品大手は業績下方修正も、電鉄各社は上方修正で活況  トランプ次期大統領の影響を受けない純内需…
  2. どう見るこの相場
    ■金利敏感株の次は円安メリット株?!インバウンド関連株に「トランプ・トレード」ローテーション  米…
  3. ■金利上昇追い風に地銀株が躍進、政策期待も後押し  金利上昇の影響を受けて銀行株、特に地方銀行株の…
  4. ■トリプルセット行、ダブルセット行も相次ぐ地銀銀株は決算プレイで「トランプトレード」へキャッチアップ…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る