【株式市場特集】3つのイベント「市場区分再編・ブースター接種・好業績」などの銘柄を厳しくスクリーニング
- 2021/12/27 09:59
- 特集
来年に注目したいのは、3つのイベントである。第一は、東証が1月11日に市場区分再編の各市場の上場銘柄を公表するが、この関連株である。次は、「オミクロン型」の感染拡大に対して前倒しされる3回目のワクチン接種「ブースター接種」の関連株となる。最後は、1月末から本格化する3月期決算会社の第3四半期(3Q)決算発表で業績の上方修正が予想される好業績銘柄で、すでに今期業績を2回以上も上方修正した銘柄は、その可能性が高い。フライング・リスクを警戒しつつ、厳しく銘柄スクリーニングするのが、残り4営業日の仕事納め、年末年始の正月休み中の宿題になる。
■「死に体」評価の東証の市場区分再編ではなお4銘柄に希少性
東証の市場区分再編は、すでに株価材料として「死に体」とされている。確かに市場再編を前に親子上場を解消する資本政策発動で高騰した銘柄はあった。しかし最上位市場のプレミアム(P)市場の上場基準に不適合で、適合計画書を提出して経過措置としてP市場上場を選択した東証1部銘柄も、東証1部銘柄で敢えてスタンダード(S)市場を選択した銘柄も、数が多過ぎて希少性が乏しい。また新興市場株でも、P市場へ格上げの下馬評にのぼった候補株が相次いでS市場を選択し、サプライズがなかったためだ。ただそのなかで、新興市場からP市場を目指す銘柄は東証の上場銘柄公表で見直される可能性がある。
例えばFast Fitness Japan<7092>(東1)は、今年11月16日に東証マザーズ市場から本則市場への変更申請をしてP市場選択も公表した。株価は、限定的な反応にとどまり年初来安値2360円まで売られたが、実際の12月20日の東証1部上場で2924円までリバウンドした。ユーザベース<3966>(東マ)、メルカリ<4385>(東マ)、メドレー<4480>(東マ)の3社は、来年4月の市場再編スタート時はグロース(G)市場上場となるが、P市場上場を準備するとしている。またロードスターキャピタル<3482>(東マ)は、東証1部への市場変更申請とともにP市場上場を目指すとしており、関連株にノミネートされる。
■ブースター接種前倒しでは管理システム関連株は秋相場再現も
ブースター接種は、ワクチン接種そのものが経口治療薬が相次いで緊急使用許可を取得したなかでややカゲが薄くなるかもしれない。しかしファイザー、モデルナのワクチンは、「オミクロン型」にも有効との臨床結果が報告され、実際に地方自治体が、準備体制を急ぐなかで今年8月~9月の感染拡大の「第5波」のなかで年初来高値を取った関連株に見直し買いが入る可能性がある。注目は、自治体向けの接種専用の管理システムの好調推移で業績を上方修正した電算<3640>(東1)、全研本社<7371>(東マ)、接種向けに看護師などの人材を派遣したMRT<6034>(東マ)、キャリア<6198>(東マ)、大規模ワクチン接種の会場を設営したユーユーレンティア<7081>(JQS)などで、秋相場を再現する可能性がある。
■3回目の上方修正期待の割安株は景気敏感株の一角で存在感
今3月期業績をすでに2回以上も上方修正した銘柄は、数多い。だからといって3Q決算発表時にさらに業績を上方修正するか未知数でリスクがある。リスク軽減策として投資採算的に割安な銘柄に絞り込む必要がある。可能性のあるトップ20銘柄をスクリーニングすると次の通りとなる。川崎汽船<9107>(東1)、日本郵船<9101>(東1)、商船三井<9104>(東1)、トランスジェニック<2342>(東マ)、日本製鉄<5401>(東1)、阪和興業<8078>(東1)、玉井商船<9127>(東2)、NSユナイテッド海運<9110>(東1)、神鋼商事<8075>(東1)、大紀アルミニウム工業所<5702>(東1)、神戸製鋼所<5406>(東1)、中山製鋼所<5408>(東1)、東京製鉄<5423>(東1)、三井化学<4183>(東1)、日本コークス工業<3315>(東1)、三井倉庫ホールディングス<9302>(東1)、住友商事<8053>(東1)、ヤマダコーポレーション<6392>(東2)、藤倉コンポジット<5121>(東1)、富士石油<5017>(東1)である。最割安の川崎汽船のPERは1倍台、20位の富士石油でもPER評価は5倍台にしか過ぎない。
海運大手3社は、コンテナ船運賃の高騰を背景にすでに今期業績を2回どころか3回も上方修正しており、3Q決算発表時の動向が注目となるが、ユナイテッド海運や玉井商船も、不定期船運賃の高騰で業績を2回上方修正しており、海運市況高騰が広範囲に及んでいることを示唆している。トップ20銘柄は、素材関連、資源関連の景気敏感銘柄が大多数となっており、FRBのインフレ抑制策、「オミクロン型」の感染拡大と綱引きするなか、景気の方向性を探り業績期待を高めることになりそうだ。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)