【どう見るこの株】NexToneは上値試す、22年3月期大幅増収増益予想

 NexTone<7094>(東マ)は楽曲著作権者と利用者との間に立ち、著作権管理・利用促進を行う著作権エージェントである。22年3月期管理楽曲・取扱原盤数の増加で大幅増収増益予想としている。音楽・動画配信事業の拡大も背景に収益拡大基調だろう。株価は11月の上場来高値圏から利益確定売りで一旦反落したが、素早く切り返しの動きを強めている。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。

■著作権管理・利用促進を行う著作権エージェント

 楽曲著作権者と利用者との間に立ち、著作権管理・利用促進を行う著作権エージェントである。音楽著作権は4つの支分権と9つの利用形態で形成されているが、このうち演奏権等を除く全ての領域(録音権等、出版権等、貸与権)を管理している。JASRAC(一般社団法人日本音楽著作権協会)に対抗する唯一の民間企業である。

 著作権等管理事業(著作権管理=著作権者から委託を受けた音楽著作物の利用許諾や著作物使用料の徴収・分配、デジタルコンテンツディストリビューション=DD=国内外の音楽配信プラットフォームに向けた音楽・映像コンテンツの供給)を主力として、キャスティング事業(アーティスト稼働やライブへのユーザー招待など楽曲タイアップに関わる音楽コンテンツの権利処理等を通じたコンテンツ利用促進コーディネート、家庭向けライブ配信コーディネートなど)、その他事業(著作権・原盤等の権利処理システムやコンテンツ配信関連システムなどの開発)も展開している。

 21年3月期売上高構成比は、著作権等管理事業が88%(著作権管理が12%、DDが76%)、キャスティング事業が11%、その他事業が1%だった。DD業務は800社超の取引実績を誇り、業界屈指のディストリビューターとしての地位を確立している。

 利用者から使用料を徴収してコンテンツホルダー他に分配するストック型ビジネスである。なお収益特性として、著作権管理業務においては、利用時期と売上計上時期に1四半期分のタイムラグ(例:4~6月利用分は6月末締めで8月下旬に入金・売上計上)が発生する

 21年4月には新規事業としてYouTubeにおける音楽カバー動画の収益向上施策「CRIP」の本格運用を開始した。21年6月にはDD業務において新ブランド「ArtLed」を本格始動した。21年9月には著作権管理委託契約社向けに著作権使用料分析システム「croass」をリリースした。21年11月にはDD業務においてYouTubeの推奨配信会社パートナーとなった。

■22年3月期大幅増収増益予想

 22年3月期連結業績予想(収益認識基準適用だが損益への影響軽微)は、売上高が21年3月期比30.2%増の79億70百万円、営業利益が35.3%増の7億30百万円、経常利益が35.2%増の7億30百万円、そして親会社株主帰属当期純利益が22.0%増の4億60百万円としている。

 第2四半期累計は売上高が前年同期比30.4%増の34億47百万円、営業利益が37.4%増の2億98百万円、経常利益が37.9%増の2億99百万円、親会社株主帰属四半期純利益が39.1%増の2億06百万円だった。一部事業においてコロナ禍の影響が継続したが、音楽・動画配信事業の拡大も背景に、管理楽曲・取扱原盤数が順調に増加して大幅増収増益だった。

 著作権管理事業は売上高が29.6%増の32億79百万円で営業利益が23.6%増の5億79百万円、キャスティング事業は売上高が85.8%増の1億25百万円で営業利益が8.2倍の21百万円だった。取扱高は21.9%増の70億60百万円、管理楽曲数は29.3%増の25万181曲、取扱原盤数は19.2%増の83万6557原盤となった。

 通期予想は据え置いている。管理楽曲数28%増を前提として、著作権等管理事業が32.0%増収、キャスティング事業が7.0%増収の計画としている。著作権等管理事業は管理楽曲・取扱原盤数の増加で、著作権管理・DDともに大幅伸長を見込む。キャスティング事業はイベント中止をある程度織り込み、代替利用としての家庭向けライブ配信サポートなど新規案件を積極展開する。コスト面では人件費やシステム関連費用が増加するが、増収効果で吸収して大幅増益の計画としている。

 第2四半期累計の進捗率は売上高が43.2%、営業利益が40.8%、経常利益が41.0%、親会社株主帰属当期純利益が44.8%とやや低水準の形だが、期初時点で下期偏重の計画としていることを勘案すれば順調な水準であり、収益拡大基調だろう。

■株価は上値試す

 株価(21年2月1日付で株式3分割)は11月の上場来高値圏から利益確定売りで一旦反落したが、素早く切り返しの動きを強めている。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。12月24日の終値は4810円、時価総額は約464億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. 【先人の教えを格言で解説!】 (犬丸正寛=株式評論家・平成28年:2016年)没・享年72歳。生前に…
  2. ■2024年度上半期163件で過去最多更新  人手不足による倒産が急増している。帝国データバンクの…
  3. ■新たなモビリティ社会実現に向けた取り組み加速  トヨタ自動車<7203>(東証プライム)は10月…
2024年11月
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
252627282930  

ピックアップ記事

  1. ■化粧品大手は業績下方修正も、電鉄各社は上方修正で活況  トランプ次期大統領の影響を受けない純内需…
  2. どう見るこの相場
    ■金利敏感株の次は円安メリット株?!インバウンド関連株に「トランプ・トレード」ローテーション  米…
  3. ■金利上昇追い風に地銀株が躍進、政策期待も後押し  金利上昇の影響を受けて銀行株、特に地方銀行株の…
  4. ■トリプルセット行、ダブルセット行も相次ぐ地銀銀株は決算プレイで「トランプトレード」へキャッチアップ…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る