DNAチップ研究所は昨年秋高値後の調整進む、秋活躍の習性で待ち伏せ買いも

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チャート6 DNAチップ研究所<2397>(東マ)はDNAチップ技術の事業化を目指すバイオベンチャー企業。株価は昨年11月に急伸、1430円をつけたが単発高で終り、それ以降は800円を挟んだモミ合いで推移している。7日は2円安の767円。秋に動く習性から仕込んで待つのもよいだろう。16年3月期は赤字幅が縮小する見込み。

 将来の個人化医療や未病社会の実現を見据えた遺伝子発現プロファイル収集・統計受託解析など、DNAチップ(DNAマイクロアレイ)技術の事業化を目指す研究開発企業である。

 研究受託事業(大学病院・研究機関や製薬・食品メーカー向けDNAチップ関連の受託実験・解析・統計処理サービス、および診断サービスなど)を主力として、商品販売事業も展開している。

 時々刻々と変化する体調変化や加齢とともに起こる免疫変化などを遺伝子検査するRNAチェック(血液細胞遺伝子発現マーカー検査)に強みを持ち、中期成長に向けて次世代シークエンス受託解析サービスなど研究受託メニューを充実させるとともに、RNAチェックによる遺伝子解析検査サービス、独自開発パッケージソフトウェアによる診断サービス、健康モニタリングサービスなどの診断関連事業を収益柱に育成する方針だ。

 診断関連事業では、新規サービスの「リウマチェック」(関節リウマチ薬剤効果予測検査)による多剤効果予測検査サービス、世界初の遺伝子発現による生体年齢の評価方法「免疫年齢」サービス、肺がん患者を対象に血液を用いてEGFR遺伝子の変異を検出する「EGFRチェック」サービスを強化する。

 商品販売事業では高校・大学生教育用DNAチップ教材「ハイブリ先生」、乳癌再発リスクを予測する乳癌予後予測キット「MammaPrint」(導入商品)、問診パッケージソフト「iRIS:関節リウマチ問診システム」、DNA鑑定向け硬組織(歯牙・骨)からのDNA抽出キット「Tbone EX Kit」などの販売を強化している。

■大腸がん、悪性神経膠腫などマーカー開発

 戦略商品に関しては中長期的に一般健康診断への採用拡大を目指し、大腸がん・悪性神経膠腫の術後予後予測、免疫年齢・肥満・うつ病・疲労・アルツハイマーなどの診断関連マーカーの開発・事業化、医薬品開発と一体化した診断マーカー開発(コンパニオン診断薬開発支援)、再生医療支援事業(培養細胞の安全性評価系)なども強化して業容を拡大する。14年3月には「神経膠腫予後予測方法、およびそれに用いるキット」に関する国内特許を取得した。

 14年11月に第三者割当増資および新株予約権発行で、エンジニアリングプラスチック事業のエンプラス<6961>と資本業務提携した。バイオ事業における業界ネットワークの補完、新製品開発能力の強化、海外インフラの利用などでシナジー効果を目指すとしている。

 15年1月には、関節リウマチ患者の血液中の遺伝子発現解析から疾患活動性と高い相関性を示すバイオマーカーを発見し、学校法人慶應義塾および学校法人埼玉医科大学と共同出願で国内特許を取得(15年5月公表)した。本特許を活用して、関節リウマチの薬剤効果の予測研究を含め研究開発(RNAチェック技術開発)の加速と診断メニューの拡充を進める。

 15年2月には、末梢血のRNA発現を調べることにより個人の生体年齢を評価する受託サービス「免疫年齢」を開始した。加齢遺伝子(年齢とともに発現量が変化する遺伝子)から選んだ約90種類の遺伝子の発現量をマイクロアレイ法によって測定し、独自開発した回帰式を用いて生体年齢を算出することに成功した。世界初の遺伝子発現による生体年齢の評価方法である。この検査で体調変化の客観的評価ができるようになるため、健康食品、機能性食品、サプリメント、運動などアンチエイジング(抗加齢)や健康への取り組みの評価に利用することを目指す。

 15年3月には、愛媛大学および北海道大学とともにJST研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP)に採択された共同研究で、脳腫瘍の一種であるグリオーマ(神経膠腫)の機能を抑制するマイクロRNAを発見した。本研究は癌の根治療法を生み出すと期待されている。

 今期(16年3月期)は売上高が前期比23.1%増の4億40百万円、営業利益が48百万円の赤字(前期は99百万円の赤字)、経常利益が48百万円の赤字(同1億19百万円の赤字)、純利益が49百万円の赤字(同1億35百万円の赤字)としている。

 中期的な業績改善推進プランとして「研究開発から事業化への加速」を掲げている。新規研究受託メニュー(がん領域を中心としたエクソソーム受託サービスや健康支援事業など)の開発・強化、診断支援サービス(リウマチェックやRNAチェックなど)の開発・拡充推進、エンプラスとの資本業務提携効果(バイオ事業における業界ネットワークの補完、新製品開発能力の強化、海外インフラの活用など)などで中期成長が期待される。

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