トレジャー・ファクトリーは反発の動き、22年2月期大幅増収増益予想

トレジャー・ファクトリー<3093>(東1)はリユースショップを複数業態で展開している。22年2月期はコロナ禍の影響緩和も寄与して大幅増収増益予想としている。収益拡大を期待したい。新市場区分への移行に関しては、12月15日にプライム市場選択を申請し、上場維持基準の適合に向けた計画書を作成・開示した。さらに、24年2月期までを対象期間としていた中期経営計画を、25年2月期までを対象とする中期経営計画に更新して開示した。株価は地合い悪化の影響を受ける場面があったが、調整一巡して反発の動きを強めている。出直りを期待したい。なお1月12日に22年2月期第3四半期決算発表を予定している。

■リユースショップを複数業態で展開

 総合リユース業態トレジャー・ファクトリーや服飾専門リユース業態トレファクスタイルを主力として、リユースショップを複数業態(22年2月期第2四半期末時点で実店舗10業態、およびECサイト)で首都圏直営店中心に全国展開している。

 周辺事業・新規事業として、BtoBのライブネットオークション事業、引越・買取サービスのトレファク引越事業、不動産売買・仲介関連(家丸ごと買取サービス)のトレファク不動産事業、終活・生前整理サービスのレガシー事業、ドレスやブラックフォーマルをレンタルするECレンタル事業「Cariru」なども積極推進している。生活に密着したリユースの総合プラットフォーム構築を目指す方針だ。

 19年1月にはシステム開発のデジタルクエストを子会社化、20年2月にはAIアプリのXZ(クローゼット)運営のSTANDING OVATIONと資本業務提携、20年10月には総合不動産会社のビーロットと業務提携、静岡県内でリユースショップ直営店12店舗を展開するピックアップジャパンを子会社化した。

 海外はタイ(16年3月進出)のバンコクで3店舗を展開している。21年4月には台湾に現地法人を設立した。

 21年10月末時点の店舗数は、グループ合計216店舗(タイの3店舗を含むトレジャー・ファクトリー73店舗、トレファクスタイル59店舗、トレファクスポーツ6店舗、ユーズレット8店舗、トレファクマーケット1店舗、ブランドコレクト5店舗、および子会社のカインドオル36店舗、ゴルフキッズ15店舗、ピックアップ13店舗)となった。このうち直営店は184店舗である。

 収益面では引越シーズンにあたる第1四半期(3月~5月)の利益率が高く、第2四半期(6月~8月)の構成比が小さい季節特性がある。

■新規出店やM&Aで成長加速

 中期経営計画につては22年2月期~24年2月期を対象期間としていたが、12月15日に25年2月期までを対象期間とする中期経営計画に変更し、新たな目標値には25年2月期売上高310億円、経常利益15.8億円、経常利益率5.1%、親会社株主帰属当期純利益10.5億円を掲げた。

 SDGsを推進するとともに、更なる成長が見込まれるリユース市場において、グループ一体となって年平均売上成長率10%の継続と利益の安定成長を目指す方針としている。リユース事業を中核として、既存店の成長は概ね前年並みを想定し、成長加速戦略として新規出店、新規事業、海外事業、M&Aの4つの分野に投資を継続しながら、収益拡大、収益率向上、ガバナンス整備を進める。

 リユース事業の成長では、グループ全体で複数業態を組み合わせて年間20~30店ペースの出店を継続し、リユースのネットワークを拡大する。さらに多店舗体制構築に向けた採用・教育の強化、更なる新業態開発、グループのリユース会社の収益改善を推進する。新規事業への投資では、物流拠点拡張によるBtoBオークション事業の本格展開、買取と引越をセットで行う独自の買取引越事業の成長加速、レンタル事業への継続投資を推進する。海外事業では、タイ事業(21年11月期に単年度黒字化)の利益体制の構築と新規出店、および台湾への進出を推進する。M&Aでは、既存事業とのシナジー効果や新たな収益事業につながるM&Aを積極的に検討する。DX投資では、自社システム部門およびシステム子会社の開発力を活用し、業務効率化、査定効率化、新たな買取機会・販売機会創出などを推進する。

 22年2月期は過去最多となる年間15店~20店の出店を計画し、21年11月末時点では14店舗(上期3~8月計9店舗、下期9月~11月計5店舗)の出店を完了している。総合リユース業態トレジャー・ファクトリーは関東・関西・中部にバランス良く出店している。服飾専門リユース業態トレファクスタイルはモールなどの大型商業施設からの誘致が増加しており、21年10月には名古屋市に新設されたイオンモールNagoya Noritake Gardenに名古屋則武新町店をオープンした。また初の買取専門店(東京都・買取センター広尾店、東京都・表参道2号店)もオープンし、高額アイテムの仕入を強化している。

 リアル×WEBによる深化では、自社ECサイトの出品数増加に伴ってEC売上比率が上昇基調(22年2月期第2四半期累計は13.3%で前年比0.8ポイント上昇)である。また自社オークション(BtoBのライブネットオークション事業)を店頭、ECに続く第3の販売チャネルに育成する方針だ。

 なお12月15日には、連結子会社デジタルクエストのシステム開発受託事業を、会社分割で新設する連結子会社トレファクテクノロジーズ(22年2月14日設立予定)に承継させると発表した。メディアコンテンツ事業が残るデジタルクエストについては、外部第三者への株式売却を検討する。

■22年2月期大幅増収増益予想、下期は事業環境好転

 22年2月期連結業績予想は売上高が21年2月期比20.8%増の226億36百万円、営業利益が7.5倍の8億04百万円、経常利益が4.7倍の8億18百万円、親会社株主帰属当期純利益が5億37百万円(21年2月期は1億34百万円の赤字)としている。配当予想は6円増配の16円(第2四半期末8円、期末8円)である。

 期後半に向けてコロナ禍の影響が徐々に和らぐと想定し、過去最高水準の新規出店(年間15店舗~20店舗の計画)による新規エリアへの展開と大商圏への出店、EC販売の拡大、第3の販売チャネルとしての自社オークションの拡大を推進する。さらにDXへの取り組みを強化して、ユーザビリティーの向上、査定システムの機能向上、EC出品作業の効率化なども推進する。

 コスト面では、大量出店に備えた採用増に伴う人件費増加など、成長投資を継続して費用が増加(新規出店、ITやWebの強化、海外展開などで1億円超の支出を計画)するが、増収効果や効率化で吸収する見込みとしている。

 第2四半期累計は売上高が前年同期比28.2%増の107億36百万円、営業利益が1億55百万円の黒字(前年同期は2億63百万円の赤字)、経常利益が1億81百万円の黒字(同2億22百万円の赤字)、親会社株主帰属四半期純利益が45百万円の黒字(同2億66百万円の赤字)だった。売上高、営業利益、経常利益は従来予想を上回って着地した。

 売上面では、第2四半期に新型コロナウイルス感染症再拡大に伴う緊急事態宣言や気温低下の影響を受けたが、累計ベースでは新規出店9店舗、既存店の売上増、ピックアップジャパンの連結(20年10月子会社化)などで大幅増収となった。単体ベースの既存店売上は111.3%(3月が109.1%、4月が159.0%、5月が124.7%、6月が98.6%、7月が97.5%、8月が93.7%)だった。

 利益面では、新規出店関連費用が増加したが、既存店の利益率改善なども寄与して各利益は黒字転換した。なお株式報酬費用64百万円を計上した影響を除くと経常利益は2億45百万円だった。特別損失には子会社ののれんに係る減損損失56百万円を計上した。

 四半期別に見ると、第1四半期は売上高56億68百万円で営業利益3億43百万円、第2四半期は売上高50億68百万円で営業利益1億88百万円の赤字だった。第2四半期は新型コロナウイルス感染症再拡大に伴う緊急事態宣言の影響を受けた。

 通期予想は据え置いている。第3四半期以降に7店舗の新規出店を予定し、既存店売上も堅調に推移して成長投資に伴う費用の増加を吸収する見込みだ。第2四半期累計の進捗率は売上高47.4%、営業利益19.3%と低水準だが、下期は冬物衣料による単価上昇や、緊急事態宣言解除による事業環境好転などを見込んでいる。収益拡大を期待したい。

 なお月次売上(単体直営店の店舗売上、前年比速報値)を見ると、21年11月は全店が112.4%、既存店が104.3%だった。既存店売上は3ヶ月連続の前年比プラスだった。前年よりも休日が1日少なかったが、気温の低下に伴って冬物衣料が好調に推移し、ブランド品も復調傾向となった。新規出店は1店舗だった。

■株主優待制度は2月末の株主対象

 株主優待制度は毎年2月末時点の1単元(100株)以上保有株主を対象として実施(詳細は会社HP参照)している。

■株価は反発の動き

 22年4月4日移行予定の新市場区分については、上場維持基準への適合状況に関する一次判定結果で流通株式時価総額がプライム市場の上場維持基準を充たしていなかったため、21年12月15日にプライム市場選択申請するとともに、上場維持基準の適合に向けた計画書を作成・開示した。中期経営計画(対象期間を25年2月期までに変更)で掲げた各種取組を推進し、業績目標達成、株主還元拡充、コーポレートガバナンス充実などによって継続的に企業価値の向上を図り、25年2月期末までにプライム市場上場維持基準への適合を目指すとしている。

 株価は地合い悪化の影響を受ける場面があったが、調整一巡して反発の動きを強めている。出直りを期待したい。12月29日の終値は951円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS47円50銭で算出)は約20倍、今期予想配当利回り(会社予想の16円で算出)は約1.7%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS382円08銭で算出)は約2.5倍、時価総額は約110億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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