【どう見るこの株】クシムは底打ち感、ブロックチェーンサービス事業に成長戦略シフト

 クシム<2345>(東2)は長期構想に「日本を代表するブロックチェーンサービスカンパニー」構想を掲げ、ブロックチェーンサービス事業を新たな中核事業とする成長戦略にシフトする。22年10月期の連結業績予想は未定だが、新たな成長戦略で収益拡大を期待したい。株価は地合い悪化も影響して、21年12月に上場来安値を更新する場面があったが、その後は切り返して底打ち感を強めている。出直りを期待したい。

■ブロックチェーンサービスカンパニー構想

 20年5月1日付で旧アイスタディから現クシムに商号変更した。従来はeラーニングコンテンツ制作などのEラーニング事業、IT技術者紹介・派遣などのアカデミー事業、システム受託開発や投融資などのインキュベーション事業を主力としてきたが、2030年までの長期構想として「日本を代表するブロックチェーンサービスカンパニー」構想を掲げ、事業ポートフォリオの再編やM&Aの積極活用でブロックチェーンサービス事業を新たな中核事業とする成長戦略にシフトする。

 21年9月にはFLOCから、ブロックチェーン技術者育成カリキュラムおよび講義に係るコンテンツ等の固定資産を取得した。また22年3月2日付(予定)で、ブロックチェーン技術や暗号理論を用いたシステム受託開発などを展開するスタートアップ企業のチューリンガムと、その子会社でブロックチェーンゲーム開発などを展開するSEVENTAGEを子会社化する。

 セグメント区分は22年10月期から、ブロックチェーンサービス事業(ブロックチェーン技術の基礎研究および教育コンテンツ開発・販売など)、システムエンジニアリング事業(法人向け学習管理システム、各種研修講座・eラーニングコンテンツ、IT技術者紹介・派遣、SESおよびシステム受託開発など)、インキュベーション事業(投融資など)に変更した。

 ブロックチェーンサービス事業は、チューリンガムおよびSEVENTAGEとの経営統合でユニークなビジネスモデルを形成するとともに、NFTやメタバースといったブロックチェーン技術と親和性のある分野にもチャレンジする。システムエンジニアリングについては、下請ポジションのSESから脱却し、ゼロ次開発や自社プロダクト開発など高マージンのプロジェクトを受注できるポジションにシフトする。

■22年10月期連結業績予想は未定

 22年10月期の連結業績予想は合理的な算定が困難なため未定としている。なお20年10月期からの中期経営計画では、22年10月期の目標を売上高30億円以上、営業利益率15%以上、当期純利益率10%以上、時価総額230億円~300億円規模を掲げている。新たな成長戦略で収益拡大を期待したい。

■株価は底打ち感

 22年4月4日移行予定の新市場区分については、21年12月20日開催の取締役会においてスタンダード市場選択申請を決議した。所定のスケジュールに基づいて手続を進める。

 株価は地合い悪化も影響して、21年12月に上場来安値を更新する場面があったが、その後は切り返して底打ち感を強めている。出直りを期待したい。12月30日の終値は356円、時価総額は約29億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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