【どう見るこの株】ソケッツは底値圏、23年3月期に事業拡大期を目指す
- 2022/1/11 10:26
- どう見るこの株
ソケッツ<3634>(東2)は独自の「感性メタデータ」を活用したデータ関連サービスを展開している。22年3月期は先行投資期で赤字予想だが、23年3月期に事業拡大期を目指すとしている。中長期的に収益拡大を期待したい。新市場区分に関しては21年12月15日付でスタンダード市場を選択申請し、新市場区分の上場維持基準の適合に向けた計画書を作成・開示している。23年度中にスタンダード市場の上場維持基準を充たすため各種取組を推進する。株価は地合い悪化も影響して軟調展開だが、ほぼ底値圏だろう。売り一巡して出直りを期待したい。
■独自の「感性メタデータ」を活用したデータ関連サービスを展開
独自の「感性メタデータ」を活用したデータ関連サービスを展開している。音楽・映像・書籍・テレビ・イベントなどのエンターテインメント分野、および非エンターテインメント分野の一般商材などに関して独自のデータベースを開発し、データ提供サービス、レコメンドサービス、パーソナライズサービス、検索サービス、アナリティクス(データ分析)サービスとして提供している。
効率性・安全性・生産性などを追及する一般的なAI(人工知能)とは異なり、独自の「人間の複雑な感性や感情を理解するAI」の開発から「心を豊かにするAI」に発展させ、エンターテインメント・テクノロジーをマーケティングに応用することを目指している。21年11月には感性メタデータ生成サービス「emoα」の提供を開始した。また22年春には共感をつなぐインターネット広告サービスをリリース予定としている。
主要販売先は通信事業者・サービスプロバイダなどのサービス事業者である。サービス事業者はデータベースを活用してサービス利用者の好みを理解し、その嗜好性に合った商品・サービスの「おすすめ情報」を提供することが可能になる。
21年3月期の主要取引先の売上構成比はLINE MUSICが20.5%、楽天グループが12.9%、レコチョク(レコチョクを通じてNTTドコモに提供)が11.9%、KDDIが10.8%だった。さらにヤフー、Hulu運営のHJホールディングス、ABEMA運営のサイバーエージェント、資生堂ジャパンなどにも提供している。収益は月額従量制・固定制のライセンス収入、および開発・運用収入である。
■22年3月期は先行投資、23年3月期に事業拡大期目指す
22年3月期の業績(非連結)予想は、売上高が21年3月期比0.6%増の10億円、営業利益が85百万円の赤字(21年3月期は15百万円の赤字)、経常利益が85百万円の赤字(同15百万円の赤字)、当期純利益が88百万円の赤字(同51百万円の赤字)としている。
第2四半期累計は、売上高が前年同期比8.3%減の4億15百万円、営業利益が62百万円の赤字(前年同期は54百万円の赤字)、経常利益が62百万円の赤字(同54百万円の赤字)、そして当期純利益が36百万円の赤字(同55百万円の赤字)だった。
新規営業進捗遅れなどで減収となり、研究開発・データ開発などの先行投資で赤字だった。ただしライセンス売上比率の上昇(4.6ポイント上昇の70.9%)や、開発・運用の効率化などで粗利率は2.3ポイント上昇して44.2%となった。データライセンス提供先件数は2件増加して36件となった。
通期予想は据え置いている。先行投資期として積極的な研究開発・データ開発を継続するため赤字予想だが、22年3月期中に単月黒字化し、23年3月期に事業拡大期を目指すとしている。中長期的に収益拡大を期待したい。
■株価は底値圏
新市場区分に関しては、一次判定結果で流通株式時価総額がスタンダード市場の上場維持基準を充たしていないため、21年12月15日付でスタンダード市場を選択申請するとともに、新市場区分の上場維持基準の適合に向けた計画書を作成・開示している。23年度中にスタンダード市場の上場維持基準を充たすため、業績向上による企業価値の向上や流通株式数・株主数の増加などに向けた各種取組を推進する。
株価は地合い悪化も影響して軟調展開だが、ほぼ底値圏だろう。売り一巡して出直りを期待したい。1月7日の終値は733円、時価総額は約18億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)