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ピックルスコーポレーションは売られ過ぎ感、22年2月期は上振れ濃厚
- 2022/1/20 08:34
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
ピックルスコーポレーション<2925>(東1)は漬物・キムチ製品の最大手である。主力の「ご飯がススム キムチ」のブランド力が向上し、キムチ製品や惣菜製品の拡大、EC・外食・小売領域への展開を推進している。22年2月期第3四半期累計は巣ごもり需要が落ち着いたため微減収だが、原料の野菜価格が安定的に推移して大幅増益だった。通期予想を据え置いたが上振れが濃厚だろう。さらに、積極的な事業展開で23年2月期も収益拡大基調を期待したい。株価は決算発表を機に急落して一気に昨年来安値を更新する展開となったが、売られ過ぎ感を強めている。目先的な売りが一巡して出直りを期待したい。
■漬物製品の最大手で「ご飯がススム キムチ」ブランド力向上
漬物・キムチ製品の最大手である。主力の「ご飯がススム キムチ」シリーズのブランド力が向上し、キムチ製品や惣菜製品の開発強化と新製品の積極投入、西日本エリアへの販売拡大、量販店惣菜売場・ドラッグストア・配食事業など販売先の拡大、新たな販売チャネルとしてのEC・外食・小売領域への展開を推進している。
21年2月期の品目別売上構成比は製品65.2%(浅漬・キムチ43.3%、惣菜20.1%、ふる漬1.7%)および商品(漬物、調味料、その他)34.8%だった。販路別売上構成比は量販店・問屋等74.8%、コンビニ17.3%、外食・その他7.9%だった。セブン&アイ・ホールディングス<3382>など大手量販店・コンビニが主要取引先である。
収益面の特性としては、天候不順などによる野菜(特に胡瓜と白菜)価格の影響を受ける傾向がある。
■ECやBtoC領域など新たな販売チャネルにも展開
成長戦略として、惣菜・その他分野の商品開発強化、西日本地区への販売エリア拡大、量販店惣菜売場や配食事業などへの販売先拡大、ECやBtoC領域など新規事業推進を掲げている。
新たな販売チャネルへの展開としては18年4月、ピーネ12乳酸菌活用した商品のECサイト「ピーネオンラインショップ」と、国産・化学調味料不使用にこだわった漬物のECサイト「八幡屋オンラインショップ」を開設した。19年4月にはピーネ関連製品を製造する新工場が完成した。
またグループ商品を活用してBtoC領域の外食・小売事業に参入し、20年10月には運営子会社OHが埼玉県飯能市に複合型観光施設として、発酵のテーマパーク「OH!!!~発酵、健康、食の魔法!!!~」を開業した。日本の伝統的な食文化「発酵」を発信していく。
中期経営目標値としては、24年2月期売上高480億円(浅漬・キムチ214億20百万円、惣菜97億円、ふる漬5億80百万円、商品163億円)、営業利益31億円、経常利益31億90百万円、親会社株主帰属当期純利益19億80百万円を掲げている。
製品開発の強化(キムチ製品、惣菜、ドライ商品、調味料)、販売エリアの拡大(特に西日本エリアの拡大)、販売先の拡大(ドラッグストア、量販店、配食事業など)、新規事業(ECサイト、ピーネコーポレーション、BtoC事業など)を推進する。設備投資は中京工場増床、設備更新・工場新築などで22年2月期からの3年間で合計58億円を計画している。
20年9月には地球環境に配慮し、浅漬用に植物由来原料の容器を導入して軽量化と省資源化を図ると発表した。21年1月には浅漬製品のブランドリニューアルを発表した。パッケージデザインを刷新するとともに、包装パッケージに使用するインキを植物性バイオマスインキに順次切り替えて環境負荷低減も推進する。
1月18日には、主力の「ご飯がススム キムチ」シリーズの「ご飯がススム辛口キムチ」と「ご飯がススムカクテキ」を、2月1日からリニューアル発売すると発表している。包装パッケージ印刷に使用するインキも植物性バイオマスインキに切り替える。
■22年2月期小幅増収増益予想だが上振れ濃厚
22年2月期の連結業績予想は売上高が21年2月期比1.0%増の465億円、営業利益が5.1%増の28億50百万円、経常利益が3.9%増の29億40百万円、親会社株主帰属当期純利益が3.7%増の19億円としている。配当予想は21年9月1日付株式2分割換算後で21年2月期と同額の17円50銭(期末一括)である。
売上高は販売先等の動向を勘案して微増収予想だが、巣ごもり消費や「OH!!!~発酵、健康、食の魔法!!!~」への取り組みなどで過去最高更新見込みとしている。
品目別売上高の計画は製品が1.3%増の304億円(浅漬・キムチが2.4%増の204億38百万円、惣菜が1.4%増の94億円、ふる漬が30.1%減の5億61百万円)、商品が0.6%増の161億円、販路別売上高の計画は量販店・問屋等が1.2%増の348億35百万円、コンビニが0.5%増の80億14百万円、外食・その他が1.1%増の36億50百万円としている。
利益面は物流費や人件費などの増加を増収効果や売上原価率改善で吸収して、過去最高更新見込みとしている。売上原価率は0.3ポイント低下の73.0%、販管費比率は0.1ポイント上昇の20.9%の計画である。
第3四半期累計は売上高が前年同期比0.8%減の349億20百万円、営業利益が17.1%増の26億87百万円、経常利益が16.7%増の27億82百万円、親会社株主帰属四半期純利益が18.5%増の19億15百万円だった。
売上面はコロナ禍に伴う巣ごもり需要が落ち着いたため反動減で微減収だが、原料の野菜価格が安定的に推移し、生産アイテムの集約など生産効率向上も寄与して大幅増益だった。
なお四半期別に見ると、第1四半期は売上高120億67百万円で営業利益13億26百万円、第2四半期は売上高123億56百万円で営業利益9億06百万円、第3四半期は売上高104億97百万円で営業利益4億55百万円だった。第3四半期はやや減速の形となった。
コロナ禍の影響など不透明感を考慮して通期予想を据え置いたが、第3四半期累計の進捗率は売上高が75.1%、営業利益が94.3%、経常利益が94.6%、親会社株主帰属当期純利益が100.8%と高水準である。通期利益予想は上振れが濃厚だろう。さらに、積極的な事業展開で23年2月期も収益拡大基調を期待したい。
■株主優待制度は毎年2月末の株主が対象
株主優待制度は毎年2月末時点の100株(1単元)以上保有株主を対象として、商品詰め合わせセットなど(数種類から1点選択、詳細は会社HP参照)を贈呈する。なお21年9月1日付け株式2分割後も100株(1単元)以上を対象として実施しているため、実質的に株主優待制度の大幅拡充となっている。
■株価は売られ過ぎ感
22年4月4日移行予定の新市場区分に関しては、新市場区分における上場維持基準への適合状況に関する一次判定結果でプライム市場適合を確認し、21年9月28日開催の取締役会においてプライム市場選択申請を決議した。
株価(21年9月1日付で株式2分割)は、第3四半期決算発表を機に急落して一気に昨年来安値を更新する展開となったが、売られ過ぎ感を強めている。目先的な売りが一巡して出直りを期待したい。1月19日の終値は1489円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS147円81銭で算出)は約10倍、今期予想配当利回り(会社予想の17円50銭で算出)は約1.2%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1137円69銭で算出)は約1.3倍、時価総額は約191億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)