【注目銘柄】愛知銀行は業績再上方修正・再増配、経営統合を手掛かりに突っ込み買い一法

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 愛知銀行<8527>(東1)は、休場明けの米国株安を受け日経平均株価が、790円安と急続落し昨年8月以来の5カ月ぶりに安値となったことから、今年1月18日の取引時間中に昨年来高値4950円まで買い進まれていた同社株にも、目先の利益を確定する売り物が増勢となっている。ただし同行は、昨年12月28日に今2022年3月期業績と配当の2回目の上方修正を発表しており、PER、配当利回りは割安で、とくに配当利回り5.51%は、東証第1部配当利回りランキングの第22位にランクインしていることからこの安値場面は、突っ込み買いも一法となりそうだ。また同行は、昨年12月10日に中京銀行<8530>(東1)との経営統合の基本合意を発表しており、統合観測報道以来の株価上昇率が、中京銀行を下回っていることも比較感が働き、側面支援材料となる可能性もある。

■純利益は15年ぶりに過去最高を更新し配当は年間280円に増配

 同行の今3月期業績は、昨年7月29日に上方修正されたが、その修正値をさらに上方修正した。経常利益を7月修正値より41億円、純利益を28億円それぞれ引き上げ、経常利益は135億円(前期比2.23倍)、純利益は95億円(同2.20倍)と大幅続伸を見込み、純利益は、2007年3月期の過去最高81億1100万円を15年ぶりに更新する。貸出金利息や有価証券配当金などの資金利益、手数料収入などの役務収益が、予想を上回ったことで再上方修正した。配当は、昨年7月に期初予想の年間100円を180円(前期実績120円)引き上げたが、さらに260円に再配当する。

 なお中京銀行との経営統合は、同じ愛知県を地盤とする地方銀行として統合により規模を拡大して低金利環境下で競争力を高めて融資シェアを拡大するとともに、基幹系システムの統一や重複する支店の統廃合を進め経営の効率化を図ることを目的としている。経営統合は、今年10月3日をメドに共同株式移転方式により、銀行持株会社を設立する予定で、株式移転比率は、今年5月の最終合意時に公表するとしており、市場株価だけでなくデューデリジェンス(資産査定)の結果などで決定する。両行の株価は、経営統合の観測報道以来、中京銀行は昨年来高値まで51%上昇したが、愛知銀行の上昇率は39%にとどまっている。

■業績増額・増配のたびに1000円高、600円高もPERはなお5倍

 株価は、昨年7月の業績上方修正・増配で3800円高値まで1000円高し、その後の3500円台固めから経営統合報道で3850円と買い直され、2回目の業績上方修正・増配でまた昨年来高値4950円まで約600円高した。PERは5.39倍と割安で、昨年来高値奪回から次の上値フシとして2018年2月高値5890円が意識されよう。(日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集長・浅妻昭治)

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