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アイフリークモバイルは収益改善基調、NFTコンテンツ分野も注力
- 2022/1/24 09:45
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
アイフリークモバイル<3845>(JQ、新市場区分スタンダード)は、電子絵本アプリや知育アプリなどのコンテンツ事業、および人材派遣のコンテンツクリエイターサービス(CCS)事業を展開し、次世代ブロックチェーン技術を活用したNFT(非代替性トークン)コンテンツ分野も注力している。22年3月期は親子向けアプリのアップデート効果などで営業黒字転換予想としている。収益改善基調を期待したい。株価は地合い悪化も影響して昨年来安値を更新し、従来のモミ合いレンジから下放れの形となったが、調整一巡して出直りを期待したい。なお2月14日に22年3月期第3四半期決算発表を予定している。
携帯電話・スマートフォン向けコンテンツ企画・開発・配信のコンテンツ事業、WEBコンテンツ制作・システム受託開発および人材派遣のコンテンツクリエイターサービス(CCS)事業を展開している。
21年3月期の売上高構成比はコンテンツ事業9%、CCS事業91%、営業利益構成比(調整前)はコンテンツ事業59%、CCS事業41%だった。
コンテンツ事業は、デジタル素材「デココレ」を主力として、電子絵本アプリや知育アプリ「あそびタッチ」などの親子向けサービス、オリジナル絵文字やグループチャットを搭載したウォレットアプリ「Challet」も展開している。絵本アプリ「森のえほん館」は500冊以上の作品を収録し、累計130万ダウンロードを記録している。
デジタルコンテンツについては、クリエイター支援WEBサイト「CREPOS」によって約1万人の外部登録クリエイターを組織化し、20万点以上のデジタル資産を有している。
CCS事業では、21年1月に孫会社ファンレボの全株式を譲渡、21年2月に子会社アイフリークGAMESを吸収合併、21年6月に子会社リアリゼーションを吸収合併し、CCS事業の運営体制を効率化した。
■NFTコンテンツ分野も注力
成長戦略はCCS事業を基盤にコンテンツ事業の収益化を目指す方針としている。重点施策として、コンテンツ事業におけるユーザー数の拡大、20万点以上のデジタルコンテンツ資産の有効活用、CCS事業における人材確保、専門領域に特化したエンジニアチームの育成、協業先の開拓などを推進する。さらに次世代ブロックチェーン技術を活用したNFT(非代替性トークン)コンテンツ分野も注力している。
20年9月にはミャンマーの新興通信事業者GALAXIA社と、ミャンマーにおけるモバイルコンテンツサービス分野およびシステムインテグレーション分野で業務提携した。20年10月にはRPA導入コンサルティングサービスのITSO社と業務提携、20年11月にはITエンジニア育成EdTechサービスのヒートウェーブと業務提携、20年12月にはAI CROSS社とセールスパートナー契約を締結した。
21年10月には、UUUM<3990>の子会社で次世代ブロックチェーン技術を活用したデジタルトレーディングカード専門のNFTマーケットプレイス「HABET(ハビット)」を運営するFORO社と、戦略的業務提携契約を締結した。CREPOSクリエイターへのNFT販売支援や、新たなNFTコンテンツの開発・販売などを共同で推進する。
そして21年11月には、FORO社が運営するNFTマーケットプレイス「HABET」を活用し、クリエイター向けNFT出品支援プログラム「CREPOS NFT 支援プログラム第1弾」を本格始動した。
21年12月には、ブロックチェーンに関するコンサルティング事業や暗号資産交換業向けウォレットシステム開発などを展開するHashPortと、NFTマーケットプレイス「CREPOS NFTマーケット」の開設、およびNFT分野における新たな取り組み開始に関する契約を締結した。クリエイターのNFTアートをメタバース上で展示・販売する新サービスなども検討する方針だ。
■22年3月期営業黒字転換予想で収益改善基調
22年3月期連結業績予想(収益認識基準適用だが損益への影響軽微)は、売上高が21年3月期比5.4%減の29億24百万円、営業利益が1億16百万円の黒字(21年3月期は1億51百万円の赤字)、経常利益が1億64百万円の黒字(同13百万円の黒字)、親会社株主帰属当期純利益が1億14百万円の黒字(同73百万円の赤字)としている。
第2四半期累計は、売上高が前年同期比18.6%減の12億99百万円、営業利益が72百万円の黒字(前年同期は1億15百万円の赤字)、経常利益が1億36百万円の黒字(同50百万円の赤字)、親会社株主帰属四半期純利益が1億33百万円の黒字(同44百万円の赤字)だった。
コロナ禍の影響などで全体として減収だが、コンテンツ事業の堅調推移やCCS事業の稼働率上昇などで各利益は黒字転換した。なお営業外収益に助成金収入44百万円を計上(前年同期は32百万円計上)した。収益認識基準適用の影響額は、売上高が1百万円増加したが、利益への影響はなかった。
コンテンツ事業は売上高が1.3%増の1億36百万円で、営業利益(全社費用等調整前)が74.2%増の37百万円だった。絵本アプリのタイアップ企画や知育アプリのアップデートなど、親子向けコンテンツに注力して堅調に推移した。
CCS事業は売上高が20.4%減の11億62百万円で、営業利益が1億55百万円(同0百万円の赤字)だった。コロナ禍で需要が停滞したが、クリエイターの稼働率維持・向上に注力し、運営体制・業務効率化の推進(6月1日付で子会社のリアリゼーションを吸収合併)による販管費圧縮などで損益改善した。
なお四半期別に見ると、第1四半期は売上高が6億58百万円で営業利益が31百万円、第2四半期は売上高が6億41百万円で営業利益が41百万円だった。
通期予想は据え置いている。今期の黒字化達成を目指し、さらに次期以降の成長に向けた収益基盤構築のステージと位置付けて、コンテンツ事業では絵本アプリな親子向け教育・知育コンテンツのアップデート、利用者拡大やシナジー創出を目的とした協業先の開拓、CCS事業では専門領域に特化したエンジニアチームの育成、収益性と成長性の確保に向けた協業先の開拓、新規事業の推進を強化する方針だ。
第2四半期累計の進捗率は売上高が44.4%、営業利益が62.1%、経常利益が82.9%、親会社株主帰属当期純利益が116.7%と順調だった。通期ベースでも収益改善基調を期待したい。
■株価は調整一巡
株価はメタバース関連として急動意・急反落した後、地合い悪化も影響して昨年来安値を更新し、従来のモミ合いレンジから下放れの形となったが、調整一巡して出直りを期待したい。1月21日の終値は134円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS6円52銭で算出)は約21倍、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS24円08銭で算出)は約5.6倍、時価総額は約23億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)