ネオジャパンは売られ過ぎ感、22年1月期大幅増収増益予想で再上振れ余地

 ネオジャパン<3921>(東1、新市場区分プライム)は自社開発グループウェアのクラウドサービスを主力としている。22年1月期は上方修正して大幅増収増益予想としている。クラウドサービスが好調に推移してさらに再上振れ余地がありそうだ。DXの流れも背景として収益拡大基調だろう。なお4月4日移行予定の新市場区分についてはプライム市場となった。株価は地合い悪化も影響して昨年来安値を更新したが売られ過ぎ感を強めている。調整一巡して出直りを期待したい。

■自社開発グループウェアのクラウドサービスが主力

 ビジネス・ITコミュニケーションツール開発企業である。自社開発グループウェアdesknet‘s NEOのクラウドサービス(月額課金収入)を主力として、大企業向け中心のプロダクト(パッケージソフト販売のライセンス収入およびサポートサービス収入)も展開している。19年8月にはシステム開発のPro-Spireを子会社化した。

 海外展開は19年6月米国子会社DELCUIを設立、19年12月マレーシアに合弁会社NEOREKA ASIAを設立、21年2月タイに子会社Neo Thai Asiaを設立した。当面は投資が先行する見込みだが、ASEAN全域においてグループウェアdesknet‘s NEOブランドの確立を目指す。

 21年1月期(連結調整前)の売上構成比は、グループウェアのソフトウェア事業が65%(クラウドサービスが39%、プロダクトが24%、技術開発が1%)、子会社Pro-Spireのシステム開発サービス事業が35%、海外事業が0%、営業利益構成比はソフトウェア事業が84%、システム開発サービス事業が18%、海外事業が▲1%だった。

 21年3月には、経済産業省と日本健康会議が進める健康経営優良法人認定制度で「健康経営優良法人2021(大規模法人部門)」に2年連続で選定された。また、横浜商工会議所が開設したデジタル化相談窓口に協力会社として参加した。デジタル化支援コンソーシアム協力事業者として、中小企業のDX推進をサポートする。

■グループウェアdesknet‘s NEOは使いやすさが強み

 グループウェアdesknet‘s NEOは、ローカライゼーション(日本語、日本の商習慣やビジネス習慣など)に対応した27の基本機能を備え、多機能・使いやすさ・高品質・低価格を強みとしている。21年9月には新バージョン6.1をリリースした。ペーパーレス会議を実現する新機能SmartViewerを標準搭載した。

 業種・業態・規模を問わず幅広く企業・官公庁・自治体に採用され、1000以上の自治体・政府機関・都道府県庁の3分の1以上に導入されている。また21年7月には、カー用品専門店チェーンのイエローハット<9882>に、グループが運営する全国740店舗の従業員・スタッフをつなぐ情報共有基盤として、グループウェアdesknet‘s NEO大規模パッケージ版(3000ライセンス)が採用された。

 グループウェアdesknet‘s NEOの累計ユーザー数(クラウド版契約ユーザー数とパッケージ版販売ユーザー数の合計)は21年10末時点で455.2万ユーザーとなっている。中長期的には累計ユーザー数1000万ユーザーを目指すとしている。

 なおアイティクラウド社が運営するIT製品比較・レビューサイト「ITreview」の「ITreview Grid Awaed 2022 Winter」では、desknet‘s NEOがグループウェア部門とワークフロー部門の2部門でLeaderを受賞、ChatLuckがビジネスチャット部門でHigh Performerを受賞した。

■製品ラインアップ拡充で市場シェア拡大を推進

 中期成長戦略として、グループウェアdesknet‘s NEOを核とするエンタープライズ向け製品の市場シェア拡大、シナジーが見込めるアライアンスへの戦略投資、マレーシアの合弁会社を拠点とするクラウドサービスの東南アジア市場開拓などを推進している。

 製品ラインアップの拡充では、カスタムメイド型業務アプリ作成ツールAppSuite、新しいコミュニケーションツールとしてのビジネスチャットChatLuckを提供し、グループウェアdesknet‘s NEOとの連携も強化している。21年7月末時点のユーザー数はAppSuiteが13.4万人、ChatLuck17.3万人となっている。21年12月にはビジネスチャットChatLuck新バージョン4.5の提供を開始した。外部システムとの連携をさらに強化した。

 21年6月には、アイネット<9600>が提供する教育現場でのDX推進のための学校保護者間あんしん連絡サービスChatLuck SCを開発提供した。ビジネスチャットChatLuckをベースとして開発した。2社の共同事業として全国の国公立小中学校に販売する。

 21年8月にはDX推進のスピードアップや製品開発のプロセス強化などを目的としてプロセス改革部を新設した。21年4月に新設したカスタマーサクセス部と連携してユーザーの長期的な成功にコミットする。

 21年12月には、茨城県つくば市のワクチン配送におけるDX化実現のために、アプリケーション「つくば市新型コロナワクチン配送システム」および「ワクチン数量管理表」を開発提供した。

■22年1月期大幅増収増益予想、さらに再上振れ余地

 22年1月期連結業績予想(12月13日に上方修正)は売上高が21年1月期比11.0%増の59億10百万円、営業利益が28.6%増の11億83百万円、経常利益が35.7%増の12億87百万円、親会社株主帰属当期純利益が27.6%増の8億64百万円としている。配当予想(12月13日に期末2円上方修正)は、21年1月期比3円増配の14円(期末一括)としている。

 第3四半期累計は売上高が前年同期比11.5%増の43億78百万円、営業利益が20.4%増の9億91百万円、経常利益が30.2%増の10億88百万円、親会社株主帰属四半期純利益が43.8%増の7億41百万円だった。クラウドサービスが好調に推移して増収・大幅増益だった。なお営業外収益に保険解約返戻金61百万円を計上した。

 主力のソフトウェア事業は売上高が13.7%増の28億86百万円、営業利益が32.5%増の9億24百万円だった。売上面はクラウドサービスが利用ユーザー数増加で14.2%増の17億68百万円(うちグループウェアdesknet‘s NEOクラウドが17.6%増の14億80百万円)と好調に推移した。プロダクトは12.6%増の10億68百万円だった。ライセンス売上は中小規模ユーザー向けがクラウドサービスへの移行で13.3%減収だが、大規模ユーザー向けが4.8%増収と堅調に推移し、プロダクト(サポートサービス、カスタマイズ、その他役務作業等)が12.6%増収と順調だった。

 システム開発サービス事業は売上高が8.0%増の15億15百万円、営業利益が25.4%減の1億01百万円だった。需要が堅調に推移して増収だが、人件費の増加で減益だった。海外事業(21年1月期第3四半期から追加したセグメント)は、売上高が18百万円で営業利益が34百万円の赤字だった。

 なお四半期別に見ると、第1四半期は売上高が13億62百万円で営業利益が2億75百万円、第2四半期は売上高が14億80百万円で営業利益が3億66百万円、第3四半期は売上高が15億36百万円で営業利益が3億50百万円だった。

 通期は従来予想に対して、売上高を1億92百万円、営業利益を2億35百万円、経常利益を3億06百万円、親会社株主帰属当期純利益を1億84百万円、それぞれ上方修正した。売上面ではソフトウェア事業、システム開発サービス事業が好調に推移し、利益面では当初計画した広告宣伝費等の経費予算が一部未消化となることも寄与する、

 修正後の通期予想に対する第3四半期累計の進捗率は売上高が74.1%、営業利益が83.8%、経常利益が84.5%、親会社株主帰属当期純利益が85.8%と高水準であり、通期予想はさらに再上振れ余地がありそうだ。DXの流れも背景として収益拡大基調だろう。

■株主優待は1月末と7月末の年2回

 株主優待は年2回、1月末と7月末の株主を対象として、保有株式数に応じてQUOカードを贈呈(詳細は会社HP参照)している。

■株価は売られ過ぎ感

 株価は地合い悪化も影響して昨年来安値を更新したが売られ過ぎ感を強めている。調整一巡して出直りを期待したい。1月24日の終値は1119円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS58円02銭で算出)は約19倍、今期予想配当利回り(会社予想の14円で算出)は約1.3%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS296円83銭で算出)は約3.8倍、時価総額は約167億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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