エスプールは戻り試す、22年11月期も大幅増収増益で連続増配予想

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 エスプール<2471>(東1、新市場区分プライム)は、障がい者雇用支援やコールセンター向け派遣などの人材サービス事業を主力として、新たな収益柱構築に向けた新規事業にも積極展開している。21年11月期は主力事業が好調に推移して大幅増収増益・増配だった。そして22年11月期も大幅増収増益で連続増配予想としている。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。4月4日移行予定の新市場区分についてはプライム市場に移行する。株価は地合い悪化の影響で水準を切り下げたが、調整一巡して反発の動きを強めている。戻りを試す展開を期待したい。

■人材サービス事業を展開

 ビジネスソリューション事業(障がい者雇用支援サービス、ロジスティクスアウトソーシング、セールスサポート、採用支援、新規事業)、および人材ソリューション事業(コールセンター向け派遣、販売・営業スタッフ派遣、人材紹介)を展開している。さらに新たな収益柱構築に向けた新規事業として、環境経営支援サービスおよび広域行政BPOサービスを開始している。エスプール本体で新規事業開発を行い、事業規模や収益化に応じて、子会社として分社化する戦略としている。

 20年11月期のセグメント別(調整前)構成比は、売上高がビジネスソリューション事業31%、人材ソリューション事業69%、営業利益がビジネスソリューション事業53%、人材ソリューション事業47%だった。

 21年3月には経済産業省と日本健康会議が認定する健康経営優良法人2021(ホワイト500)に2年連続で選定された。21年10月には子会社のエスプールリンクが、女性の活躍推進に関する取り組みが優れている企業に対して厚生労働大臣が認定する「えるぼし」の最高位となる「3段階目」を取得した。グループにおける「えるぼし」取得はエスプール、エスプールヒューマンソリューションズ、エスプールプラスに続く4社目となった。

■ビジネスソリューションは障がい者雇用支援が主力

 ビジネスソリューション事業は、障がい者雇用支援サービスを主力として、ロジスティクスアウトソーシングサービス(EC通販発送代行サービス、物流センター運営代行)、対面型会員獲得・販売促進のセールスサポートサービス、アルバイト・パート求人応募受付代行の採用支援サービス「OMUSUBI」なども展開している。

 障がい者雇用支援サービスの「わーくはぴねす農園」は、障がい者雇用を希望する企業に対して農園を貸し出し、企業が主に知的障がい者を直接雇用する。障がい者の職業的自立および社会参加の支援を通じてノーマライゼーション社会の実現に貢献する事業である。

 20年8月には東京都板橋区に初の屋内型農園を開設した。従来型の農園はビニールハウス型で概ね3000坪を超える敷地を必要としていたが、台風など自然災害の影響を踏まえ、屋外作業に適さない方にも就労機会を提供することを目的として屋内型を開設した。屋内型は倉庫や建物の活用を前提としているため立地面において柔軟性が高い。

 21年10月期は7施設(屋外4施設、屋内3施設)を新規開設し、21年11月期末時点の施設数は30施設、顧客数は417社、管理区画数は4951区画、就業者数は2475名となった。関西エリア(大阪府枚方市と摂津市)にも進出した。

 さらに、障がい者の個性やキャリアを活かした雇用環境を構築し、それぞれのフィールドで活躍するパラスペシャリストの支援に取り組んでいる。21年12月には障がいのある芸術家(パラアーティスト)が制作活動を行う組織「COLORS」の発足を発表した。障がい者の個性を活かしたキャリア支援は「パラアスリート」に続き2事例目となる。

 ロジスティクスアウトソーシングでは、巣ごもり消費を背景としてEC通販発送代行サービスが拡大している。21年12月に浦安センターを開設し、品川センター、つくばセンターとの3センター体制とした。なお21年夏を目途に、つくばセンターの拡大移転を予定している。

 なおネット通販発送代行サービスを展開する子会社のエスプールロジスティクスは21年8月、環境省が策定する日本独自の環境マネジメントシステム「エコアクション21」の認証を取得した。21年9月には越境ECサービス支援のアジアンブリッジと資本業務提携した。ASEAN諸国への越境ECサービスを通じて既存顧客との取引拡大や新規顧客の獲得を推進する。

 採用支援サービスのOMUSUBIは飲食・小売業を中心に求人応募受付業務を行っている。20年3月には採用支援サービスのZENKIGENに出資、健康経営支援サービスのメンタルヘルステクノロジーズに出資、20年5月にはZENKIGEN、ワークスタイルテック、およびイレブンと4社合同で、企業間が期間限定で従業員をシェアし合うプラットフォーム「超企業 従業員プラットフォーム」を開設した。

 20年9月には適性診断サービス「Talentgram」を開始、20年11月にはWEB面接代行サービス「Faceview」を開始、21年2月にはオンライン接客サービス開発・提供に向けてピアズと業務提携、サービス業を中心に人材の過不足解消を目的とした人材紹介サービスを開始、21年5月にはアルバイト・パートの入退職手続代行サービスを開始した。

 プロフェッショナル人材バンク(顧問派遣サービス)では21年12月に、企業とプロ人材をマッチングするスマートフォンアプリ「PivottA(ピボッタ)」β版の提供を発表した。

■人材ソリューション事業はコールセンター派遣が主力

 人材ソリューション事業はコールセンター業務の派遣を主力として、販売支援業務や介護系業務の派遣・紹介なども展開している。

■新規事業

 新規事業としては、環境経営支援サービス、広域行政BPOサービスなどを開始している。

 環境経営支援サービスについては、市場拡大が期待できる環境ビジネス分野での新たな収益柱の構築を目指し、20年6月にエコノス<3136>からカーボンオフセット事業を展開するブルードットグリーンの株式を取得して子会社化した。CO2排出量算定支援から、CDP(カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト)関連の排出量削減コンサルティング、クレジット仲介支援までワンストップサービスの展開を推進する。

 広域行政BPOサービス(21年12月にBPO事業を新設の子会社エスプールグローカルに承継)については、人口10万人以下の地方都市を中心に隣接する複数の自治体業務を受託する地方自治体向けシェアード型BPOサービスを全国展開する。シェアード型BPOセンターは北海道北見市、秋田県大仙市、青森県弘前市に続き、22年2月には香川県三豊市に4拠点目、および大分県中津市に5拠点目の開設を予定している。中期的には全国30拠点体制の早期実現を目指す。

 21年10月には宮崎県日南市およびココホレジャパン(岡山県岡山市)と3者包括連携協定を締結し、日南市内の後継者不在事業者の調査、移住者とのマッチング、事業再生支援等による後継者課題解決に取り組むと発表した。第一弾として、ココホレジャパンが運営するプラットフォームを活用した「宮崎県日南市継業バンク」を開設して地域の維持活性化を図る。

■25年11月期営業利益50億円目標

 中期経営計画(ローリング形式で21年1月公表、好調な障がい者雇用支援サービスの売上を増額、既存事業の計画を保守的に見直し)では、目標値に25年11月期売上高410億円(人材アウトソーシングサービス252億円、障がい者雇用支援サービス81億円、その他既存サービス43億40百万円、新規事業35億円、内部取引▲1億40百万円)、営業利益50億円、連結配当性向30%以上、高水準のROE維持を掲げている。

 基本戦略として、既存事業の深掘りによるオーガニック成長、新たな事業領域における成長機会の獲得、ESGを軸とした経営基盤の強化を推進する。

 オーガニック成長としては、人材派遣サービスではコールセンター派遣におけるトップシェアの獲得、新たな派遣領域の発掘、障がい者雇用支援サービスでは農園サービスにおける圧倒的NO.1の確立、障がい者の個性に合わせた多様な働き方メニューの開発、ロジスティクスアウトソーシングではEC通販を軸とした事業拡大、日本発のゼロ・エミッションを実現した自社センターの開設、採用支援サービスのOMUSUBIではアルバイト・パート採用支援業務でのトップシェア獲得、採用から定着化までの総合的サービスの提供を推進する。

 新たな事業領域における成長機会の獲得としては、ベンチャー投資も活用して、CO2削減を中心とする環境ビジネス領域、企業の「持たざる経営」へのシフトを支援するBPOビジネス領域への展開を加速する方針だ。

■21年11月期大幅増収増益、22年11月期も大幅増収増益予想

 21年11月期の連結業績は、売上高が20年11月期比18.3%増の248億62百万円、営業利益が19.7%増の26億68百万円、経常利益が19.9%増の26億73百万円、親会社株主帰属当期純利益が19.0%増の18億81百万円だった。主力事業が好調に推移して計画を上回る大幅増収増益だった。配当は20年11月期比2円70銭増配の6円(期末一括)とした。

 ビジネスソリューション事業は売上高が32.1%増の76億96百万円で営業利益が31.0%増の21億21百万円だった。障がい者雇用支援(売上高は37%増の45億77百万円)が牽引した。企業ニーズが高水準に推移し、7施設(屋外4施設、屋内3施設)を開設し、期末時点の累計施設数は30施設となった。設備販売は計画の1035区画を大きく上回る1188区画となり、過去最高(936区画)を大幅に更新した。顧客数は417社、管理区画数は4951区画となった。ロジスティクス分野(売上高は8%増の12億61百万円)はEC通販発送代行が牽引し、利益率の低い顧客の入れ替えなど収益改善策を実施しながらも増収を確保した。採用支援「OMUSUBI」(売上高は9%増の6億16百万円)は、求人需要回復に対して外国人留学生や大学生の求職者数減少が影響したが、面接代行など他サービスで吸収して増収だった。

 人材ソリューション事業は売上高が13.0%増の172億34百万円で営業利益が8.7%増の19億10百万円だった。販売支援(売上高は23%減の16億70百万円)はコロナ禍の影響で回復が遅れたが、コールセンター業務(売上高は19%増の145億07百万円)が、従来のグループ型派遣の好調に加えて、自社コールセンター3施設開設に伴う受託案件の増加や、新型コロナ関連のスポット案件の増加なども寄与して順調に伸長した。

 なお新規事業の売上高は、環境経営支援サービス(ブルードットグリーン)が2億58百万円、広域行政BPOサービスが1億30百万円だった。環境経営支援サービスはCDP(カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト)の回答支援案件が大幅に増加した。広域行政BPOサービスは事業開始3ヶ月で3地域から受注した。

 四半期別に見ると、第1四半期は売上高が54億10百万円で営業利益が3億87百万円、第2四半期は売上高が62億31百万円で営業利益が7億96百万円、第3四半期は売上高が63億90百万円で営業利益が7億47百万円、第4四半期は売上高が68億31百万円で営業利益が7億36百万円だった。第1四半期は障がい者雇用支援の新規施設開園費用が先行したが、第2四半期以降は新規施設の販売が寄与している。

 22年11月期連結業績(収益認識基準適用だが損益への影響軽微)予想は、売上高が21年11月期比15.7%増の287億70百万円、営業利益が19.9%増の32億円、経常利益が18.8%増の31億76百万円、親会社株主帰属当期純利益が13.4%増の21億33百万円としている。配当予想は21年11月期比2円増配の8円(期末一括)としている。

 セグメント別計画は、ビジネスソリューション事業の売上高が25.4%増の96億50百万円(うち障がい者雇用支援が20%増の55億円、ロジスティクス分野が13%増の14億27百万円、採用支援「OMUSUBI」が4%増の6億41百万円)で営業利益が22.2%増の25億92百万円、人材ソリューション事業の売上高が11.6%増の192億40百万円(うちコールセンター業務が13%増の164億50百万円、販売支援が10%増の18億30百万円)で営業利益が11.9%増の21億37百万円としている。

 障がい者雇用支援の新規開設は8農園(屋外5、屋内3)で、設備販売は1250区画(上期550区画~650区画、下期600区画~700区画)としている。神奈川県(横浜市)に初進出する。採用支援「OMUSUBI」は求職者数の回復見通しが不透明なため保守的な計画とした。新規事業の売上高の計画は、広域行政BPOサービスが6億65百万円、環境経営支援サービス(ブルードットグリーン)が3億84百万円としている。体制強化や新規顧客獲得を推進する。広域行政BPOサービスは新規開設5拠点(累計10拠点)を目標としている。

 主力事業が好調に推移して、売上高は10期連続、営業利益は7期連続で過去最高更新を目指すとしている。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株価は調整一巡

 21年6月には、ESGのグローバル基準を満たす日本企業を対象とした株価指数FTSE Blossom Japan Index構成銘柄(228社)に初選定された。

 株価は地合い悪化の影響で水準を切り下げたが、調整一巡して反発の動きを強めている。戻りを試す展開を期待したい。1月25日の終値は1102円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS27円01銭で算出)は約41倍、今期予想配当利回り(会社予想の8円で算出)は約0.7%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS76円94銭で算出)は約14倍、時価総額は約871億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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