【アナリスト水田雅展の銘柄分析】キーウェアソリューションズは大勢戻り歩調、収益改善基調を評価

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 キーウェアソリューションズ<3799>(東2)はシステム受託開発やシステムインテグレーションを展開している。株価はやや乱高下する場面もあるが大勢は上値下値を切り上げる戻り歩調の展開だ。16年3月期は大幅増益・復元配予想であり、マイナンバー制度関連やサイバーセキュリティ関連のシステム開発需要も期待される。収益改善基調を評価して続伸展開だろう。

■NEC向け主力にシステム開発事業やSI事業を展開

 16年3月期からセグメント区分を変更し、公共システムやネットワークシステムなどのシステム開発事業、SI(システムインテグレーション)事業、プラットフォーム事業、その他事業(運用・保守、機器販売、フロンティア事業など)を展開している。

 主要顧客は、筆頭株主であるNEC<6701>グループ向けが約4割を占め、NTT<9432>グループ、JR東日本<9020>グループ、三菱商事<8058>グループ、日本ヒューレット・パッカードなどが続いている。

 ERP(統合業務パッケージ)関連やセキュリティ関連を一段と強化するとともに、NECと連携して医療分野や流通・サービス業分野にも事業領域を広げ、さらに農業ICT化分野にも参入している。

 15年1月には経済産業省「平成26年度健康寿命延伸産業創出推進事業」の「職場における健康投資に関する効果指標および投資環境整備(健康データのオープン化・小規模事業所)」に、職域健康投資コンソーシアムとして参画した。また総務省「新たなワークスタイルの実現に資するテレワークモデルの実証」プロジェクトにモデル企業として選ばれ、15年1月から実証を開始している。

 15年3月には、自治体向けに農作物の品質・生産性向上や栽培技能の継承を支援する農業ICTサービス「OGAL(オーガル)」シリーズの提供を開始した。圃場に設置した各種センサーから収集した環境情報を遠隔からリアルタイムでモニタリングできるクラウド型サービスで、14年6月に宮城県亘理町いちごファームが導入して研究利用が開始されている。

 また慶応義塾大学SFC研究所が農業ICTの普及と農業情報標準化に向けて設立したアグリプラットフォームコンソーシアムに参画した。政府が取り組む農業分野IT施策方針「農業情報創成・流通促進戦略」などを踏まえて、産学連携により国の農業IT施策の実地検証を行うとしている。

■16年3月期は大幅増益で復元配予想

 なお15年3月期の四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期(4月~6月)33億34百万円、第2四半期(7月~9月)39億19百万円、第3四半期(10月~12月)40億67百万円、第4四半期(1月~3月)50億62百万円で、営業利益は第1四半期3億24百万円の赤字、第2四半期1億95百万円の赤字、第3四半期70百万円の黒字、第4四半期4億51百万円の黒字だった。第4四半期の構成比が高い収益構造だが、不採算案件の収束で営業損益は改善基調だ。

 今期(16年3月期)の連結業績予想(5月12日公表)は、売上高が前期比8.0%増の177億円、営業利益が5億円(前期は2百万円)、経常利益が4億20百万円(同65百万円)、純利益が3億70百万円(同78百万円の赤字)としている。配当予想は年間10円(期末一括)の復元配で、予想配当性向は22.5%となる。

 不採算案件の一巡、マイナンバー制度(社会保障・税番号制度)関連のシステム開発需要、および販管費の抑制などの効果で収益が大幅に改善する見込みだ。さらに国・地方を通じた行政情報システムの改革、20年東京夏季五輪に向けたITインフラ投資需要なども寄与して受注拡大が期待される。

■18年3月期営業利益10億円目標の中期計画スタート

 16年3月期を初年度とする新中期経営計画では長期基本方針を、既存事業の収益性向上と安定化、ポートフォリオの多様化、経営基盤の整備・改革としている。

 既存事業のシステム開発事業では収益性の高い案件へのリソースシフト、SI事業ではSAPビジネスの拡大やコンサルティングファームとの連携推進などによるERP事業の売上・利益の拡大、またフロンティア事業(新規事業)ではスマートアグリやヘルスケア・医療分野でのビジネスチャンス創出を推進する。

 経営目標値としては18年3月期売上高190億円、営業利益10億円、売上高営業利益率5.3%を掲げた。プロジェクト横断機能のさらなる強化や、マイナンバー制度から派遣するビジネスの取り込みも推進する方針であり、中期的に収益拡大が期待される。

■株価は戻り歩調

 株価の動きを見ると、やや乱高下する場面もあるが大勢として上値下値を切り上げる戻り歩調の展開だ。急伸した6月高値777円から利益確定売りで一旦反落したが、650円近辺から切り返して7月7日の年初来高値914円まで上伸した。マイナンバー制度関連やサイバーセキュリティ関連も材料視されているようだ。

 7月8日の終値797円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS44円47銭で算出)は18倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間10円で算出)は1.3%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS702円85銭で算出)は1.1倍近辺である。

 日足チャートで見ると25日移動平均線、週足チャートで見ると13週移動平均線がサポートラインとなって着実に上値下値を切り上げている。16年3月期は大幅増益・復元配予想であり、マイナンバー制度関連やサイバーセキュリティ関連のシステム開発需要も期待される。収益改善基調を評価して続伸展開だろう。

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