【どう見るこの相場】中国株急落の影響

■日本投資家の中国株下落影響ほとんどない、ギリシャの中国カード引き下げ効果も

<Q>中国株が下げているようだが。

<A>代表的な上海総合指数でみると、去る、6月12日の年初来高値5166ポイントから7月8日の3507ポイントまで1カ月弱で約32%も下げている。

<Q>中国経済の減速は分かっていたはずだが、なぜ、今ごろになって下げるのか。

<A>その通りだ。中国のGDPはオリンピックと万博景気にわいた2008年当時は10%台の高い伸びとなり、連れて上海総合指数は2007年に6092ポイントの最高値をつけていた。その後のGDPは7%前後まで減速、上海総合指数も2013年に1950ポイントまで低下するなどGDPと共に調整だったが、突如、昨年から株価だけが急伸し、その反動が出ているという状況だ。

<Q>経済減速なのに、なぜ、株が上昇したのか。

<A>ひとことで言うなら不景気の株高ということだろう。商売は低調になるし不動産価格も大きく下がるという状況の中で、中国の投資家層は拡大し今や投資人口は約9000万人と共産党員を上回るほどといわれる。行き場のなくなったマネーが一斉に株式市場へ向かい、信用取引買いを交え株ブームとなっていた。信用買いの決済に迫られ投げ売りとなっている。昭和40年頃の日本とどこか似ているようだ。当時、日本は共同証券や保有組合をつくり株買いをやって下支えした。中国も似たような策をとろうとしている。

<Q>日本への影響はどうか。

<A>2つに分けて考える必要がある。1つは、日本の投資家が中国株を買っていたかどうかということだ。この点については、2008年の中国株ピークアウト後は見切り売りが先行させたことから最近はほとんど中国株を買っていなかったから影響はない。2つ目は、中国の資産家が株の値下がり打撃で日本への観光と爆買いが下火になる心配があるということだろう。インバウンド関連は注意が必要だろう。

<Q>中国とギリシャの関係はどうか。

<A>ギリシャは中国との接近カードをちらつかせながらEUとの交渉を有利に持って行こうとしているフシがあるが、中国は経済的にそれどころではなくなっている。このため、ギリシャは中国カードを引っ込めEUとの交渉で穏健となりギリシャ問題は短期的には一巡する可能性はありそうだ。中国株は急反発は難しそうだが、NYダウ、日経平均はギリシャ問題に目処がつけば急反発するだろう。

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■内蔵インヒールで自然な足長効果、フォーマルからビジネスまで対応  青山商事<8219>(東証プラ…
  2. ■デュアル周波数対応で通信の安定性を確保  世界的なDX進展を背景に京セラ<6971>(東証プライ…
  3. ■リアルタイム文字起こしと自動要約で議事録作成を効率化  シャープ<6753>(東証プライム)は2…
2025年4月
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
282930  

ピックアップ記事

  1. ■低PER・高配当利回り、不動産・銀行株が市場を牽引  3月の東京都区部消費者物価指数が前年比2.…
  2. ■新年度相場のサブテーマは「物価」?!  米国のトランプ大統領は、「壊し屋」と奉る以外にない。その…
  3. ■新年度相場の初動として注目される値上げ関連銘柄  4月予定の値上げは、原材料価格上昇や物流費増加…
  4. どう見るこの相場
    ■トランプ関税懸念も『総論弱気、各論強気』の市場展開  「トランプ・ディール(取引)」と「トランプ…
  5. ■名変更会社の局地戦相場の待ち伏せ買いも一考余地  今年4月1日以降、来年4月1日まで社名変更を予…
  6. ■あの銘柄が生まれ変わる!市場を揺るがす社名変更、次なる主役は?  「トランプ・トレード」が、「ト…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る