WOW WORLDは22年3月期通期予想を下方修正、23年3月期の収益拡大期待

(決算速報)
 WOW WORLD<2352、旧エイジアが21年7月1日付で社名変更>(東1、新市場区分プライム)は、1月31日の取引時間終了後に22年3月期第3四半期累計連結業績を発表した。EBITDA・営業・経常増益だったが、通期予想を下方修正した。売上高が従来予想を下回るため、各利益は従来の大幅増益予想から一転してEBITDAが横ばい、営業利益以下が減益予想とした。23年3月期の収益拡大を期待したい。株価は地合い悪化も影響して昨年来安値圏だ。目先的には下方修正を嫌気する動きが優勢になりそうだが、下値限定的だろう。

■22年3月期通期予想を下方修正

 22年3月期第3四半期累計連結業績は売上高が前年同期比28.6%増の21億08百万円、EBITDAが29.6%増の4億66百万円、営業利益が14.9%増の3億01百万円、経常利益が9.2%増の2億99百万円、親会社株主帰属四半期純利益が0.4%減の1億67百万円だった。なお収益認識基準適用の影響額として、売上高が76百万円増加、売上原価が17百万円増加、営業利益、経常利益、税金等調整前四半期純利益がそれぞれ59百万円増加している。

 全体として計画を下回ったが、前年同期比ではクラウドサービスWEBCAS SaaSスタンダード版の伸長や、コネクティの連結(21年3月期第3四半期から連結)などで増収、EBITDA・営業・経常増益だった。人件費の増加、のれん償却費の増加、カスタマーサクセス関連費用やIFRS準備費用の増加などを増収効果で吸収した。EBITDAマージンは22.1%で0.1ポイント上昇した。親会社株主帰属四半期純利益は実効税率が上昇して法人税等が増加したため微減益だった。

 主力のエンタープライズ・ソフトウェア事業(旧アプリケーション事業)の売上高は17.1%増の14億28百万円だった。オンプレミスの売上高は12.3%減少して2億49百万円だったが、既存のCRMの伸長(13.8%増の10億07百万円)に、コネクティのCMS(3.5倍の1億69百万円、前年は第3四半期のみ計上)も寄与して、クラウドサービスの売上高が25.9%増の11億76百万円と大幅伸長した。売上総利益率は5.5ポイント上昇して68.6%となった。

 デジタル・マーケティング運用支援事業(旧コンサルティング事業)の売上高は、2.1倍の5億86百万円だった。既存のCRMの伸長(6.0%増の1億84百万円)に、コネクティのCMS(3.7倍の4億01百万円、前年は第3四半期のみ計上)も寄与した。売上総利益率は2.1ポイント低下して23.9%となった。EC事業(子会社ままちゅ)の売上高は29.2%減の93百万円だった。コロナ禍の長期化でターゲット層の「お出掛け需要」が減少した。売上総利益率は1.1ポイント上昇して41.2%となった。

 四半期別に見ると、第1四半期は売上高6億77百万円、EBITDA1億47百万円、営業利益1億円、第2四半期は売上高7億11百万円、EBITDA1億70百万円、営業利益1億16百万円、第3四半期は売上高7億20百万円、EBITDA1億49百万円、営業利益85百万円だった。

 通期連結業期予想は下方修正して、売上高が21年3月期比20.5%増の28億40百万円、EBITDAが0.8%増の5億70百万円、営業利益が10.1%減の3億70百万円、経常利益が13.0%減の3億70百万円、親会社株主帰属当期純利益が16.9%減の1億85百万円とした。配当予想は据え置いて21年3月期比5円増配の30円(期末一括)としている。

 前期比では大幅増収だが、エンタープライズ・ソフトウェア事業のCRM、デジタル・マーケティング運用支援事業のCMS、およびEC事業の売上高が従来予想を下回る見込みだ。またコスト面で、グループ子会社での外注費や派遣社員の人件費が急増していることも考慮して、各利益は従来の大幅増益予想から一転してEBITDAを横ばい、営業利益以下を減益予想とした。なお特別損失にコネクティの移転に伴って固定資産除却損を計上する。

 修正後の売上高の計画は、エンタープライズ・ソフトウェア事業が12.4%増の18億89百万円(内訳はクラウドサービスが19.6%増の15億81百万円、オンプレミスが14.3%減の3億08百万円)、デジタル・マーケティング運用支援事業が63.4%増の8億22百万円、EC事業が24.4%減の1億25百万円とした。

 22年3月期は下方修正して営業利益以下が減益予想となったが、第4四半期以降に営業およびカスタマーサクセス人員の採用・育成を強化する方針だ。営業活動強化で23年3月期の収益拡大を期待したい。

■株価は下値限定的

 株価は地合い悪化も影響して昨年来安値圏だ。目先的には下方修正を嫌気する動きが優勢になりそうだが、下値限定的だろう。1月31日の終値は1392円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS47円03銭で算出)は約30倍、時価総額は約57億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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