加賀電子は22年3月期3Q累計大幅営業・経常増益、通期利益・配当予想を2回目の上方修正
- 2022/2/4 08:28
- 決算発表記事情報
(決算速報)
加賀電子<8154>(東1、新市場区分プライム)は2月3日の取引時間終了後に22年3月期第3四半期累計連結業績を発表した。電子部品需要が拡大して大幅増収、大幅営業・経常増益だった。そして通期連結業績・配当予想を上方修正(利益と配当は2回目の上方修正)した。さらに3回目の上振れの可能性もありそうだ。収益拡大基調だろう。株価は地合い悪化の影響で戻り高値圏から一旦反落したが、素早く切り返しの動きを強めている。上方修正を評価して上値を試す展開を期待したい。
■22年3月期利益・配当予想を2回目の上方修正
22年3月期第3四半期累計の連結業績(収益認識基準適用だが影響軽微)は、売上高が前年同期比19.9%増の3526億84百万円、営業利益が95.0%増の146億58百万円、経常利益が105.9%増の148億86百万円、親会社株主帰属四半期純利益は前期計上の負ののれん発生益が剥落して18.2%減の104億14百万円だった。なお収益認識基準適用の影響額として売上高が37億23百万円減少したが、利益への影響は軽微である。
電子部品事業は売上高が26.2%増の3114億12百万円で、セグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が140.0%増の130億02百万円だった。半導体や電子部品の需給逼迫が続く中、独立系商社としての調達力の強みを活かし、広範な業界からの旺盛な需要に対応した。EMSビジネスは車載関連、産業機器関連、医療関連が好調だった。M&Aで子会社化した加賀EFIとエクセルも増収効果で営業黒字転換した。
情報機器事業は、パソコン販売における法人向けリモートワーク需要一巡、LED照明機器やネットワーク機器など設備設置ビジネスにおける部品不足による製品供給難の影響などで、売上高が22.5%減の263億01百万円、利益が30.6%減の12億16百万円だった。
ソフトウェア事業は、売上高が8.2%減の18億41百万円で、営業利益が1億09百万円の赤字(前年同期は1億06百万円の黒字)だった。納期対応等で費用が増加した。その他事業は、売上高が13.0%増の131億29百万円で、営業利益が3.2倍の4億73百万円だった。リサイクルビジネスが好調だった。
なお四半期別に見ると、第1四半期は売上高が1059億49百万円で営業利益が44億52百万円、第2四半期は売上高が1170億60百万円で営業利益が38億48百万円、第3四半期は売上高が1296億75百万円で営業利益が63億58百万円だった。
通期連結業績・配当予想を上方修正(利益と配当は21年11月4日に続いて2回目の上方修正)した。
修正後の通期連結業績予想は、売上高が21年3月期比12.5%増の4750億円、営業利益が52.6%増の175億円、経常利益が60.1%増の180億円、親会社株主帰属当期純利益が5.3%増の120億円としている。従来予想に対して売上高を50億円、営業利益を25億円、経常利益を35億円、親会社株主帰属当期純利益を30億円、それぞれ上方修正した。
配当予想は従来予想に対して期末20円(特別配当)上方修正して、21年3月期比30円増配の110円(第2四半期末45円=普通配当40円+特別配当5円、期末65円=普通配当40円+特別配当25円)とした。
従来予想に対して営業・経常増益幅が拡大する見込みだ。電子部品やEMSの需要が好調に推移し、売上総利益率改善や経費抑制も寄与する。営業利益は中期経営計画の目標値(130億円)を超過達成する見込みだ。親会社株主帰属当期純利益は前期計上の負ののれん発生益の剥落で減益予想だったが、一転して増益に転じる見込みとした。なお21年9月1日付でリリースした「ユーロテックジャパンに対する債権取立不能のおそれ」に関しては、当該棚卸資産や仕掛装備品の評価見直しを行い、その金額を合理的且つ保守的に織り込んでいる。
修正後のセグメント別利益の計画は電子部品事業が81.6%増の148億円、情報機器事業が19.4%減の20億円、ソフトウェア事業が24.1%減の2億円、その他が5.4%増の5億円としている。
修正後の通期予想に対する第3四半期累計の進捗率は売上高が74.2%、営業利益が83.8%、経常利益が82.7%、親会社株主帰属当期純利益が86.8%である。さらに3回目の上振れの可能性もありそうだ。収益拡大基調だろう。