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JFEシステムズは利益確定売り一巡、22年3月期3Q累計大幅増益で通期利益予想を2回目の上方修正
- 2022/2/7 08:53
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
JFEシステムズ<4832>(東2、新市場区分スタンダード)はJFEグループの情報システム会社である。鉄鋼向けを主力として、一般顧客向け複合ソリューション事業も強化している。22年3月期第3四半期累計は鉄鋼向けやソリューションの拡大、生産性向上などで大幅増益と順調だった。そして通期の利益予想を上方修正(2回目)した。鉄鋼向けを中心に需要が高水準に推移して収益拡大基調だろう。株価は1月の上場来高値圏から反落し、地合い悪化も影響して上方修正にやや反応薄の形だったが、利益確定売りが一巡して上値を試す展開を期待したい。
■JFEグループの情報システム会社
JFEグループの情報システム会社である。鉄鋼向け情報システム構築事業を主力として、ERPと自社開発ソリューションを組み合わせた一般顧客向け複合ソリューション事業、自社開発のプロダクト・ソリューション事業も強化している。
21年3月期の事業別売上高は、鉄鋼が20年3月期比16億円減の194億円、一般顧客が8億円減の151億円、基盤サービスが10億円増の65億円、子会社(JFEコムサービス、IAFC)が1億円減の55億円だった。収益面では情報システム関連のため、年度末にあたる第4四半期の構成比が高い特性がある。
ダイバーシティを推進し、女性の活躍推進の取り組みが優れた企業を厚生労働大臣が認定する「えるぼし」や、働き易い職場環境整備・意識啓発に取り組む企業を東京都が登録する「心のバリアフリーサポート企業」など、働き方・企業風土に関する各種認証を取得している。20年7月には厚生労働大臣から子育てサポート企業として「プラチナくるみん」認定を受けた。21年3月には健康経営優良法人2021(大規模法人部門)に4年連続で選定された。
さらに21年12月には「ダイバーシティ推進基本方針」「ダイバーシティ推進キャッチフレーズ」および「2030年度女性役員・管理職(部長・課長級)達成目標」を新たに策定した。2030年度までに女性役員・管理職比率12%の達成(21年度実績5.7%から倍増)を目指す。
なお21年12月には同社IRサイトが、日興アイ・アールの「2021年度全上場企業ホームページ充実度ランキング」で最優秀サイトを、ブロードバンドセキュリティの「GomezIRサイトランキング2021」で銀賞を受賞したと発表している。
■電子帳票パッケージは14年連続国内シェア1位
21年6月には、自社開発電子帳票保存ソリューションDataDeliveryとNTTデータ・イントラマートのintra―martの連携機能強化、日本マイクロソフトのCloud Platform Goldコンピテンシー認定取得を発表した。
21年7月にはDataDeliveryが、公益社団法人日本文書情報マネジメント協会(JIIMA)の認証する電子取引ソフト法的要件認証制度および電子書類ソフト法的要件認証制度の2つのJIIMA認証を同時取得した。
21年9月には、自社開発の電子帳票パッケージFiBridgeシリーズが、富士キメラ総研「ソフトウェアビジネス新市場2021年版」電子帳票パッケージ(運用・保尊システム)分野20年度市場占有率調査(販売パッケージベース)で、14年連続で国内製品シェア1位(数量シェア25.2%、金額シェア25.3%)を獲得したと発表している。利用企業数は4000社を超えている。
■ソリューション事業も拡大推進
コロナ禍で不透明な状況のため、次期中期経営計画の策定を1年先延ばし(23年3月~25年3月期の3ヶ年計画とする予定)し、22年3月期は次期中期経営計画に向けた準備期間と位置付けている。
基本戦略としては、高収益事業への構造転換で製鉄所システムリフレッシュ本格化に向けた体制確保、AIやIoTなど新技術を活用したソリューション事業の拡大、クラウドやセキュリティ関連など基盤サービス事業の拡大、基幹事業の強化で自動車向け体制充実や金融向け構造転換推進など製造・金融分野の顧客基盤強化、プロダクト事業(食品、電子帳票)強化によるニッチトップ確立を推進している。
21年4月には一般顧客部門に事業本部制を導入し、パッケージを主体に顧客の課題を解決する事業を集約したソリューション・プロダクト事業本部、オーダーメード開発を主体とする事業を集約したビジネスシステム事業本部とした。さらに、製造流通業界(JFEスチールグループ含む)向けのデジタルトランスフォーメーション推進部署としてDX推進部を新設した。
また21年4月には、食品業界のDX推進を支援する原料情報管理・原材料表示作製クラウドサービス「MerQurius(メルクリウス)クラウド」の提供を開始した。
21年8月にはOutSystemsジャパンと、日本市場におけるOutSystemsプラットフォームに関するパートナー契約を締結した。ローコード開発プラットフォームの導入を加速してDXを強力にサポートする。
21年10月にはSAP S/4HANA向けに自社開発したプロジェクト管理業務テンプレート「SIDEROS PS TEMPLATE for S/4HANA」の最新版の販売を開始した。21年11月には電子帳簿保存法に対応した電子証跡システム「DateDeliveryクラウド」の提供を開始した。
■22年3月期3Q累計大幅増益、通期利益予想を2回目の上方修正
22年3月期連結業績予想(収益認識会計基準適用だが損益への影響軽微、21年10月27日に上方修正、22年1月26日に利益を2回目の上方修正)は、売上高が21年3月期比9.8%増の510億円、営業利益が17.2%増の54億70百万円、経常利益が17.1%増の55億円、親会社株主帰属当期純利益が18.0%増の36億40百万円としている。売上高・利益とも過去最高更新予想である。
配当予想(21年10月27日に期末15円上方修正)は75円(期末一括)としている。21年4月1日付株式2分割換算後で21年3月期比30円増配となる。
第3四半期累計は、売上高が前年同期比11.8%増の371億59百万円、営業利益が35.7%増の41億64百万円、経常利益が35.5%増の41億99百万円、親会社株主帰属四半期純利益が37.9%増の27億78百万円だった。
JFEスチール向け製鉄所システムリフレッシュプロジェクトの進展、ソリューション事業の拡大などで2桁増収となり、生産性向上なども寄与して大幅増益だった。収益認識会計基準適用の影響額として、売上高が6億32百万円減少、売上原価が7億21百万円減少、営業利益、経常利益、税金等調整前四半期純利益がそれぞれ89百万円増加、親会社株主帰属四半期純利益が62百万円増加している。
四半期別に見ると、第1四半期は売上高が119億15百万円で営業利益が10億42百万円、第2四半期は売上高が122億83百万円で営業利益が14億15百万円、第3四半期は売上高が129億61百万円で営業利益が17億07百万円となった。
第3四半期累計の実績を受けて、通期予想は売上高を据え置いたが、営業利益を2億円、経常利益を2億円、親会社株主帰属当期純利益を1億40百万円、それぞれ上方修正した。利益予想の上方修正は21年10月27日に続いて2回目となる。
部門別売上高の計画は、鉄鋼がJFEスチール向け製鉄所システムリフレッシュプロジェクトの進展で38億円増加の232億円、一般顧客が製造業・金融業向けの回復やソリューションの増加で14億円増加の165億円、基盤が基盤構築関連の外販増で3億円増加の68億円、子会社が会計基準変更の影響で10億円減少の45億円としている。
修正後の通期予想に対する第3四半期累計の進捗率は売上高が72.9%、営業利益が76.1%、経常利益が76.3%、親会社株主帰属当期純利益が76.3%である。JFEスチール向け製鉄所システムリフレッシュプロジェクトは26年頃まで継続する見込みであり、鉄鋼向けを中心に需要が高水準に推移して収益拡大基調だろう。
■株価は利益確定売り一巡
株価は1月の上場来高値圏から反落し、地合い悪化も影響して上方修正にやや反応薄の形だったが、利益確定売りが一巡して上値を試す展開を期待したい。2月4日の終値は2133円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS231円77銭で算出)は約9倍、今期予想配当利回り(会社予想の75円で算出)は約3.5%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1298円06銭で算出)は約1.6倍、時価総額は335億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)