【アナリスト水田雅展の銘柄分析】PALTEKは15年12月期業績2回目の増額修正を発表、さらに3回目の増額の可能性

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 PALTEK<7587>(JQS)は半導体輸入商社で受託設計・開発のデザインサービス事業も強化している。7月9日、15年12月期業績予想の増額修正を発表した。4月9日に続いて2回目の増額修正だ。下期が保守的な想定のため3回目の増額の可能性が高いだろう。株価は7月2日の年初来高値から地合い悪化の影響で一旦反落したが、15年12月期業績増額修正や中期成長力を評価して上値を試す展開だろう。なお8月5日に第2四半期累計(1月~6月)の業績発表を予定している。

■FPGAなどの半導体販売・技術支援事業が主力

 ザイリンクス社のFPGA(PLDの一種で設計者が手元で変更を行いながら論理回路をプログラミングできるLSI)を主力として、特定用途IC、汎用IC、アナログ、メモリなどを扱う半導体販売・技術支援事業、試作ボードや量産ボードなどを受託設計・開発・製造(ODM、EMS、OEM)するデザインサービス事業、さらに新規事業としてスマートエネルギー事業(病院・介護施設向け停電対策システムなど)を展開している。海外は香港に拠点展開している。

 主要仕入先はFPGAがザイリンクス社、汎用ICがNXPセミコンダクターズ社、マイクロチップテクノロジー社、アナログがリニアテクノロジー社、メモリがマイクロンテクノロジー社である。

 用途別には産業機器向けを主力として通信機器向け、民生機器向け、コンピュータ向けなどに展開し、成長市場であるセンサー分野のソリューションも強化している。主要販売先はNEC<6701>、京セラ<6971>、オリンパス<7733>などである。

■事業領域拡大も積極推進

 12年7月にはODM/EMS事業推進、および映像・画像処理関連の自社製品事業の本格展開に向けてエクスプローラを子会社化した。同社はレート制御機能搭載「H.264コーデック装置」を開発し、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のイノベーション実用化ベンチャー支援事業として「レート制御機能搭載4K対応H.265コーデック装置実用化開発」および「超低遅延8K対応HEVC-ECFによるハイブリッド配信装置」が採択されている。

 14年6月には子会社テクノロジー・イノベーションを設立した。サイミックス社から半導体事業およびMEMS(微小電気機械システム)事業を譲り受けて、特定顧客向け人感センサーの信号処理ICの開発を推進する。

 14年11月にはエクスプローラがフジテレビジョンと共同でH.264小型ライブ中継伝送装置「VideoCast Advance」を開発した。大規模な機材を使わず簡単にライブ中継することが可能になる。そして15年2月にはNHKと「H.264HD対応IP蓄積伝送装置」を共同開発した。火山噴火口、土砂流、津波などの監視を行う情報カメラで収録した映像を瞬時に活用することが可能になる。

 15年2月には超高精度衛星測位システムを開発するマゼランシステムズジャパンと総販売代理店契約を締結した。センサー分野のソリューション強化の一環として、センチメートル級の精度が要求される産業機器や農業機械の自動運転向けなどにRTK(リアルタイム・キネマティック)GNSSシステムを提供する。

 15年5月には赤外線カメラのグローバルリーディングカンパニーである米フリアーシステムズ社の、赤外線カメラに関するセンサー製品の販売を開始すると発表した。今後さまざまな分野で成長が期待される赤外線カメラに関するソリューションを提供することが可能になる。

■15年12月期業績予想を2回目の増額修正

 7月9日に今期(15年12月期)第2四半期累計(1月~6月)および通期の連結業績予想の増額修正を発表した。4月9日に続いて2回目の増額修正である。

 第2四半期累計の連結業績は前回予想(4月9日に増額)に対して、売上高が8億円増額して前年同期比13.9%増の133億円、営業利益が2億円増額して同79.4%増の7億50百万円、経常利益が1億85百万円増額して同83.8%増の7億15百万円、純利益が1億35百万円増額して同2.0倍の4億60百万円とした。

 売上面では医療機器や産業機器向けのFPGA、オフィス機器向けの汎用ICなどが好調に推移した。利益面ではドル高・円安進行に伴って、仕入先に対するドル建て仕入値引き債権評価額増加を含む為替レート変動影響額が、第2四半期累計で3億56百万円(第1四半期で1億78百万円、第2四半期で1億78百万円)発生して、売上原価押し下げ要因となったことも寄与した。

 通期の連結業績予想は前回予想(4月9日に増額)に対して、売上高が15億円増額して前期比18.8%増の275億円、営業利益が1億50百万円増額して同19.1%増の12億円、経常利益が1億35百万円増額して同8.8%増の11億45百万円、純利益が1億10百万円増額して同30.6%増の7億35百万円とした。

 売上面では第2四半期累計の増額に加えて、下期から新たに取引開始する新規顧客向けFPGAおよびアナログ半導体も寄与する。利益面では下期に利益率の低い製品の構成比が上昇することを考慮して、第2四半期累計の増額幅に比べて縮小する予想としたが、会社予想には保守的な印象が強く3回目の増額の可能性が高いだろう。

 なお配当予想(2月12日公表)は前期と同額の年間8円(期末一括)を据え置いているが、予想配当性向は14.4%であり、配当も増額の可能性がありそうだ。

 中期的な収益向上に向けた取り組みとして、半導体事業は高付加価値製品の拡販、中核製品であるFPGAのさらなる拡販、センサーおよびソフトウェア市場の開拓、医療・産業・通信・放送など成長分野への注力、デザインサービス事業は医療・放送・通信分野の受託設計・開発・ODM強化、自社製品の開発・販売強化、スマートエネルギー事業は病院・介護施設向け停電対策システムの構築・販売を強化する方針だ。高度なデザイン力やソリューション力を武器として中期的に収益拡大基調だろう。

■株価は15年12月期業績2回目の増額を好感して上値試す

 株価の動きを見ると、700円近辺でのモミ合いから上放れの展開となり、14年1月の898円を一気に突破して7月2日の年初来高値1009円まで上伸した。04年以来の1000円台だ。その後は全般地合い悪化が影響して一旦反落したが、中期成長力を評価する流れに変化はないだろう。

 7月9日の終値812円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS66円21銭で算出)は12~13倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間8円で算出)は1.0%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS766円18銭で算出)は1.1倍近辺である。

 週足チャートで見ると7月高値で一旦長い上ヒゲをつけたが、サポートラインの13週移動平均線近辺で長い下ヒゲをつけた。また目先的な過熱感も解消した。指標面に割安感があり、15年12月期業績2回目の増額修正や中期成長力を評価して上値を試す展開だろう。

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