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【アナリスト水田雅展の銘柄分析】フランスベッドHDは収益改善基調を評価して戻り歩調、10月1日付で株式併合
- 2015/7/14 08:08
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
フランスベッドホールディングス<7840>(東1)は介護・インテリア関連事業を展開している。株価は地合い悪化の影響を受ける場面があったが切り返しの動きを強めている。16年3月期は増収増益・実質増配予想であり、収益改善基調、2%台後半の配当利回り、10月1日付の株式併合を評価して戻り歩調の展開だろう。
■シニア・シルバービジネスに事業展開
成長分野のシニア・シルバービジネスに経営資源をシフトして、メディカルサービス事業(介護・福祉関連用具のレンタル・販売、介護予防の通所介護施設「悠々いきいき倶楽部」運営)、インテリア健康事業(家庭用高級ベッド、医療・介護用ベッド、リハビリ商品)、その他事業(日用品雑貨販売など)を展開している。
独自の新商品・新サービスでは、医療・介護用電動リクライニングベッド・マットレス、超低床リクライニングベッド、アクティブシニア向け「リハテック」ブランドの電動アシスト三輪自転車、ハンドル型電動三輪車いす、リフトアップチェア、電動リフトアップ車いす、在宅・病院・福祉施設向けの見守りケアシステム、徘徊防止外出通報システム、超低床フロアーベッド、体位変換マットレスなどの新製品を積極投入して、介護・福祉用具レンタル市場でのシェア拡大戦略を推進している。新規販売チャネル開拓で病院・施設向け取引も拡大する方針だ。
■16年3月期は増収増益・実質増配予想
なお15年3月期の四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期(4月~6月)123億85百万円、第2四半期(7月~9月)125億64百万円、第3四半期(10月~12月)127億84百万円、第4四半期(1月~3月)141億74百万円、営業利益は第1四半期5億16百万円、第2四半期2億86百万円、第3四半期4億94百万円、第4四半期4億27百万円だった。営業損益は第2四半期がボトムとなって改善基調だ。
また15年3月期の配当性向は106.5%だった。ROEは14年3月期比1.4ポイント低下して2.4%、自己資本比率は同3.0ポイント上昇して62.7%となった。
今期(16年3月期)の連結業績予想(5月14日公表)は売上高が前期比3.0%増の535億円、営業利益が同27.6%増の22億円、経常利益が同23.1%増の21億50百万円、純利益が同21.5%増の11億円としている。
セグメント別の計画は、メディカルサービス事業の売上高が同4.4%増の296億50百万円、営業利益(全社費用等調整前)が同7.1%増の17億80百万円、インテリア健康事業の売上高が同1.2%増の202億40百万円、営業利益が同3.2倍の3億20百万円、その他の売上高が同2.9%増の36億10百万円、営業利益が45百万円(前期は66百万円の赤字)としている。
メディカルサービス事業では人員増強、拠点拡充、新製品投入によって、市場拡大が見込まれる介護関連レンタル市場での拡販に注力する。インテリア健康事業では魅力的なデザインの新商品投入、高機能・高付加価値製品の拡販を強化する。20年東京夏季五輪開催に向けて需要が拡大しているシティホテル向けの拡販も強化する方針だ。
さらに消費増税の反動影響一巡、ドル高・円安進行に伴う国産品の価格競争力回復、原材料価格上昇に伴う価格改定などで収益改善基調だろう。
なお今期の配当予想については、第2四半期末が2円50銭、10月1日付株式併合(5株→1株に併合)に伴って期末が12円50銭としている。期末12円50銭を株式併合前に換算すると年間5円(第2四半期末2円50銭、期末2円50銭)となり、前期の年間4円50銭に対して実質的に50銭増配となる。
■中期経営計画でシルバービジネスをさらに強化
15年5月にグループ中期経営計画を発表した。基本方針としては、本格的な高齢社会で求められるニーズに対応するため、グループが保有する経営資源を集中させ、シルバービジネスのさらなる強化と積極的な展開を図ることにより「グループ総体としての企業価値の最大化」を目指すとした。
主要戦略については、得意分野の強化(主力のメディカルサービス事業における福祉用具貸与事業を中心とした介護事業の深耕と事業基盤の拡充)、新たな収益機会の獲得(介護保険制度に対する過度な依存による収益変動リスクを避けるため、介護保険給付を利用しないアクティブシニア向け「リハテック」事業の拡大)、安定的に収益を確保できるビジネスモデルへの転換(インテリア健康事業における量から質への転換、他社との差別化、多品種少量生産に対応した受注生産方式などによる安定的な収益確保)、経営基盤の強化(事業成長のための人材育成、コーポレートガバナンスの強化)としている。
経営目標数値としては18年3月期売上高578億円、営業利益34億50百万円、経常利益34億円、純利益20億円、ROE5.1%を掲げた。セグメント別にはメディカルサービス事業の売上高328億50百万円、営業利益(全社費用等調整前)29億50百万円、インテリア健康事業の売上高212億円、営業利益4億40百万円、その他事業の売上高37億50百万円、営業利益40百万円とした。
メディカルサービス事業の営業拠点は15年3月期末の74ヶ所から18年3月期末83ヶ所、レンタル・販売代理店は1500店から2000店への拡充を目指す。
株主還元については、従来同様に安定配当を維持し、毎期1株あたり25円以上の配当(15年10月実施予定の株式併合後)を目標として、機動的な自己株式取得の実施を検討する。
■株価は戻り歩調、10月1日付で株式併合
5月14日に株式併合と単元株式数の変更を発表した。15年10月1日を効力発生日として、単元株式数を1000株から100株に変更、併せて証券取引所が望ましいとしている投資単位の水準とすることを目的として5株を1株に併合する。なお株式併合により発行済株式総数が5分の1に減少するが、純資産等は変動しないため、1株当たり純資産額は5倍となり、株式市況の変動など他の要因を除けば当社株式の資産価値に変動はない。
株価の動きを見ると、180円近辺でのモミ合い展開から上放れて6月22日と23日の年初来高値197円まで上伸した。その後は全般地合い悪化の影響を受けて7月9日に177円まで調整する場面があったが、素早く切り返しの動きを強めている。
7月13日の終値186円を指標面(15年10月1日付の株式5株→1株併合前)で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS5円14銭で算出)は36倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間換算5円で算出)は2.7%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS174円10銭で算出)は1.1倍近辺である。
日足チャートで見ると25日移動平均線を割り込んだが、週足チャートで見ると26週移動平均線近辺で長い下ヒゲをつけ、終値ベースで13週移動平均線を維持して切り返しの動きを強めている。強基調への転換を確認した形だろう。16年3月期は増収増益・実質増配予想であり、収益改善基調、2%台後半の配当利回り、10月1日付の株式併合を評価して戻り歩調の展開だろう。