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【アナリスト水田雅展の銘柄分析】新日本建物は調整の最終局面、事業再生計画終了や収益改善基調を評価して反発期待
- 2015/7/14 07:59
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
新日本建物<8893>(JQS)は首都圏地盤の不動産デベロッパーである。株価は全般地合い悪化の影響を受けてモミ合い展開から下放れの形となったが、14年10月安値に接近して調整の最終局面だろう。事業再生計画の終結、16年3月期の収益改善基調、さらに10月1日付予定の株式併合も評価して反発展開が期待される。
■首都圏地盤の不動産デベロッパーで事業再生計画終結
首都圏地盤の不動産デベロッパーで、流動化事業(他デベロッパー向けマンション用地販売)、マンション販売事業(自社開発物件の分譲、新築マンションの買取再販)、戸建販売事業(戸建住宅・宅地分譲)、その他事業(不動産賃貸や建築工事請負)を展開している。
10年11月に提出した事業再生計画に基づいて事業の選択と集中を行い、マンション販売事業の買取再販、流動化事業の専有卸、戸建住宅販売事業を主力として経営再建に取り組んだ。15年3月期には事業再生計画決定後4期連続の最終黒字を達成し、強固な収益体質の確立と財務体質の抜本的な改善を成し遂げた。
そして5月15日に事業再生計画の終結を発表した。18年3月末で返済することになっていた事業再生ADR債務を、計画より2年度繰り上げて15年5月14日付で完済した。
■16年3月期は収益改善基調
なお15年3月期の四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期(4月~6月)11億38百万円、第2四半期(7月~9月)20億33百万円、第3四半期(10月~12月)14億51百万円、第4四半期(1月~3月)46億08百万円、営業利益は第1四半期1億07百万円の赤字、第2四半期21百万円の赤字、第3四半期87百万円の赤字、第4四半期8億96百万円の黒字だった。四半期業績は物件引き渡しによって変動しやすい収益構造だ。
また15年3月期の自己資本比率は44.6%で14年3月期比17.1ポイント改善した。有利子負債は14年3月期末比23億41百万円圧縮した。
今期(16年3月期)の非連結業績予想(5月15日公表)は、売上高が前期比14.8%増の106億円、営業利益が同4.3%増の7億10百万円、経常利益が同3.5%増の5億65百万円、純利益が同6.3%増の5億60百万円としている。
主として新規供給予定のマンション2物件の売上を計画し、相続税対策向けの需要取り込みも寄与して増収増益見込みだ。5月29日には新築分譲マンション「ルネサンス大宮土呂」(さいたま市)(28戸)の販売開始を発表した。
なお15年3月期に実施した仕入は合計16件(流動化事業3件、マンション販売事業4件、戸建販売事業9件)・売上想定額71億円だった。堅調な需要が見込まれる首都圏において事業規模・事業効率等を勘案し、優良な新規事業用地を選別取得している。収益は改善基調だろう。
■株価は調整の最終局面、10月1日付で株式併合予定
5月15日に株式併合を発表した。発行済株式総数の適正化を図るため15年10月1日を効力発生日として5株を1株に併合する。
理論的には株式併合比率に見合う株価の上昇が見込まれるため、株価変動率が改善される可能性があり、株式市場において一層適正に評価されることが期待される。また投資単位の水準変更によって株主総数が若干減少し、今後の株主数の増加も抑制される可能性があるため、株式関連事務コストを年間数百万円程度削減できる効果も見込まれる。
株価の動きを見ると、全般地合い悪化の影響を受けて44円~49円近辺でのモミ合い展開から下放れの形となり、7月9日の年初来安値38円まで調整した。ただし14年10月安値36円に接近して調整の最終局面だろう。
7月13日の終値40円を指標面で見ると、今期予想PER(会社予想のEPS5円62銭で算出)は7倍近辺、前期実績PBR(前期実績のBPS21円28銭で算出)は1.9倍近辺である。
週足チャートで見ると、26週移動平均線を割り込んで調整局面の形だが、14年10月安値36円に接近して調整の最終局面だろう。事業再生計画の終結、16年3月期の収益改善基調、さらに10月1日付予定の株式併合も評価して反発展開が期待される。