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バルクホールディングスは22年3月期3Q累計営業赤字縮小、通期黒字化予想で収益改善基調
- 2022/2/28 09:09
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
バルクホールディングス<2467>(名セ)はセキュリティ事業およびマーケティング事業を展開し、新規事業としてサイバーセキュリティトレーニングのサイバーセキュリティ分野を強化している。22年3月期第3四半期累計は大幅増収で営業赤字縮小した。セキュリティ事業、マーケティング事業とも伸長した。通期はサイバーセキュリティ分野が順調に拡大して黒字化予想としている。収益改善基調だろう。なお2月1日には第6回新株予約権(第三者割当で20年2月発行)の行使が完了したと発表している。株価は地合い悪化も影響して上値を切り下げる形だったが、調整一巡して反発の動きを強めている。収益改善基調を評価して出直りを期待したい。
■セキュリティ事業とマーケティング事業を展開
セキュリティ事業およびマーケティング事業を展開する純粋持株会社である。新規事業としてサイバーセキュリティトレーニングのサイバーセキュリティ分野を強化している。なお収益は第4四半期に偏重する傾向がある。
セキュリティ事業は、情報セキュリティ規格コンサルティング(プライバシーマーク認定取得支援、ISO27001(ISMS)認証取得支援、および運用支援)分野、およびサイバーセキュリティ分野を展開している。
マーケティング事業は、マーケティングリサーチ(大手メーカーの新製品開発時モニター調査)分野、およびセールスプロモーション(スーパーなど食品流通事業者のフリーペーパー、食品・飲料メーカーのSPツール・ノベルティの制作)分野を展開している。またアトラス・コンサルティングを持分法適用関連会社としている。
なお東京都内に点在するグループ拠点を21年12月に移転・統合した。
■サイバーセキュリティ分野を強化
サイバーセキュリティ分野は18年1月にイスラエルのサイバージム社と共同で米国SCH社を設立して参入した。日本と米国において、サイバージムが開発した実践型サイバーセキュリティトレーニングアリーナを運営し、電力や金融など重要インフラストラクチャーセクターの民間企業・政府機関等に対して、サイバーセキュリティトレーニング等のサービスやソリューションを提供している
18年7月米国ニューヨークにコマーシャルアリーナ(フルパッケージサービスを提供する大型トレーニング施設)のCyberGym NYCを開設、18年8月ハイブリッドアリーナ(小型トレーニング施設)のCyberGym Tokyoを開設、18年8月サイバージム社に出資、18年9月サイバーセキュリティコンサルティングの子会社CELを設立した。
なおサイバージム社との共同事業の枠組みを見直して、21年3月に米国SCH社が米国でのセキュリティトレーニング事業展開のために保有するライセンス・設備(NYコマーシャルアリーナ)一式をサイバージム社に譲渡した。これによって米国SCH社の固定費が大幅に削減された。今後のグローバル戦略として、日本国内および近隣のアジア地域では当社グループ、米国ではサイバージム社が主導して展開する。
国内のサイバーアリーナの展開は、19年8月CYBERGYM新宿アリーナ(運営主体はインターネット総合研究所)を開設、20年11月CYBERGYM八重洲アリーナ(クロスポイントソリューションとの合弁会社クロスポイントセキュリティジムが運営、持分法適用関連会社)を開設した。
21年6月にはATマーケティングとサイバーアリーナにかかる提供・運用サポート・ライセンス契約を締結し、21年7月にCYBERGYM名古屋を開設した。なおCYBERGYM大阪については運営主体を変更し、DXHR社が主体となって運営会社サイバーコマンドを設立して21年7月に開設した。
21年10月には子会社のサイバージムジャパン(CGJ)がアクトと協業し、札幌市内および福岡市内にサイバーセキュリティ教育施設を開設(22年3月予定)することについて基本合意した。そして21年12月には両サイバーアリーナ(CYBERGYM札幌、CYBERGYM福岡)の開設予定地が決定した。
■22年3月期2Q累計赤字縮小、通期黒字化予想で収益改善基調
22年3月期連結業績予想は、売上高が21年3月期比24.9%増の18億34百万円、営業利益が33百万円の黒字(21年3月期は3億04百万円の赤字)、経常利益が12百万円の黒字(同3億25百万円の赤字)、親会社株主帰属当期純利益が8百万円の黒字(同4億34百万円の赤字)としている。
第3四半期累計は、売上高が前年同期比30.7%増の12億71百万円、営業利益が10百万円の赤字(前年同期は2億70百万円の赤字)、経常利益が3百万円の黒字(同3億20百万円の赤字)、親会社株主帰属四半期純利益が11百万円の赤字(同3億33百万円赤字)だった。
セキュリティ事業、マーケティング事業とも伸長し、増収効果や海外サイバーセキュリティ事業(米国SCH社)の固定費削減効果などで営業赤字が大幅に縮小した。なお営業外では為替差損益が改善(前期は為替差損33百万円、今期は為替差益29百万円)した。なお第3四半期末の自己資本比率は28.3%となり、21年3月期末に比べて8.3ポイント上昇した。
セキュリティ事業は売上高が44.9%増の5億97百万円、セグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が73百万円(前年同期は94百万円の赤字)だった。増収効果や米国SCH社の固定費削減などで営業黒字化した。セキュリティトレーニング部門は国内におけるCYBERGYMアリーナの増加に伴って収益が拡大した。ストック型の保守売上・サブスクリプション売上も増加した。セキュリティソリューション・コンサルティング部門は、AI脆弱性診断などのサイバーセキュリティ分野の売上が増加し、情報セキュリティ規格コンサルティングも堅調だった。
マーケティング事業は売上高が20.7%増の6億90百万円、営業利益が5.9倍の91百万円だった。マーケティングリサーチ部門は主要顧客の放送局を中心にリサーチ業務が堅調に推移した。セールスプロモーション・広告代理部門では主要顧客の大手スーパーや大手食品メーカーからの受注が堅調に推移した。
なお四半期別に見ると、第1四半期は売上高が4億27百万円で営業利益が27百万円の黒字、第2四半期は売上高が3億97百万円で営業利益が38百万円の赤字、第3四半期は売上高が4億47百万円で営業利益が1百万円の黒字だった。
通期予想は据え置いている。通期ベースでもサイバーセキュリティ分野が順調に拡大して黒字化予想としている。第3四半期累計は計画を上回ったが、第4四半期の構成比が高い収益特性があるため、通期予想を据え置いたとしている。収益改善基調だろう。
■株価は反発の動き
株価は地合い悪化も影響して上値を切り下げる形だったが、調整一巡して反発の動きを強めている。収益改善基調を評価して出直りを期待したい。2月25日の終値は271円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS72銭で算出)は約376倍、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS11円72銭で算出)は約23倍、時価総額は約32億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)