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ソフトクリエイトホールディングスは高値更新、22年3月期2桁増益予想、さらに上振れ濃厚
- 2022/3/7 08:45
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
ソフトクリエイトホールディングス<3371>(東1、新市場区分プライム)はECソリューション事業およびITソリューション事業を展開している。22年3月期はクラウドサービスの拡大などで2桁増益予想としている。さらに上振れが濃厚だろう。EC市場拡大やDXの流れも背景として、積極的な事業展開で中長期的に収益拡大基調だろう。株価は地合いが悪化する中でも逆行高の展開となり、3月3日には上場来高値を更新する場面があった。好業績を評価して利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。
■ECソリューション事業とITソリューション事業を展開
ITソリューションサービスを展開する持株会社である。セグメント区分(22年3月期から変更)は、ECソリューション事業(ECサイト構築ecbeing、デジタルマーケティング、ECクラウドサービス)およびITソリューション事業(ITクラウドサービス、セキュリティ・インフラ構築サービス、パッケージ、IT機器販売)としている。
21年3月期のセグメント別売上高(収益認識基準適用前)は、ECソリューション事業が116.9億円(ECサイト構築ecbeingが67.3億円、デジタルマーケティングが43.4億円、ECクラウドサービスが6.1億円)、ITソリューション事業が125.5億円(ITクラウドサービスが13.2億円、セキュリティ・インフラ構築サービスが38.1億円、パッケージが17.4億円、IT機器販売が56.5億円)だった。
ECソリューション事業は、連結子会社ecbeingのECサイト構築ソフトecbeingの販売・保守・ホスティングサービスが主力である。ECサイト構築からマーケティング支援やデータ分析までワンストップで対応していることが強みとして、中~大規模顧客向けを中心に、国内ECサイト累計構築実績は21年3月期末時点で1400サイトを突破している。市場シェアは13年連続1位(出典:富士キメラ総研社の富士マーケティングレポート ECサイト構築パッケージソリューション市場占有率調査)である。
なお連結子会社ecbeingは22年2月、中華圏をはじめとする海外市場向けマーケティング事業・越境EC支援事業を展開するクロスシー(東京都)の第三者割当増資を引き受けて資本業務提携した。システム面での連携を強化し、より付加価値の高い中国市場向けソーシャル越境EC事業の実現を目指す。
ITソリューション事業は、自社開発のSCクラウド、不正アクセス端末検知・遮断システムL2Blocker、連結子会社エイトレッド<3969>が展開するワークフローシステム(パッケージ型のAgileWorks、クラウド型のX-point Cloud)、連結子会社ソフトクリエイトのシステムインテグレーション・IT機器販売を主力としている。
■クラウドサービスの拡大を推進
成長戦略としてクラウドサービスの拡大を推進している。クラウドサービスの売上高は18年3月期8.2億円、19年3月期11.9億円、20年3月期15.3億円、21年3月期19.3億円(ECクラウドサービスが6.1億円、ITクラウドサービスが13.2億円)と拡大基調である。
さらに、独自開発のクラウドサービス(メルカート、ビジュモ、レビコ、サイトミライズ、ゼクスタントなど)の拡販にも注力している。なお22年3月期第1四半期時点の合計導入社数は、ECクラウドサービス分野のメルカートが84社、ビジュモが335社、レビコが48社、サイトミライズが106社、ゼクスタントが30社、ITクラウドサービス分野のSCクラウドが454社、X-point Cloudが847社、L2Blockerが181社となっている。21年6月には、インスタグラムの写真を自社サイトに活用するビジュモのソリューションが、トヨタ自動車公式サイトに採用されている。
■22年3月期2桁増益予想、さらに上振れ濃厚
22年3月期連結業績予想(収益認識基準適用で売上高の前期比増減率は非記載、利益に影響なし)は、売上高が192億円、営業利益が21年3月期比10.0%増の35億50百万円、経常利益が10.1%増の35億75百万円、親会社株主帰属当期純利益が10.0%増の20億円としている。配当予想(10月20日に第2四半期末5円、期末5円、合計10円上方修正)は、21年3月期比10円増配の40円(第2四半期末20円、期末20円)としている。連続増配となる。
売上高の計画は収益認識基準適用前ベースでは270億円としている。21年3月期実績の242億38百万円との比較で11.4%増収となる。セグメント別売上高(収益認識基準適用後)の計画は、ECソリューション事業が108億円(ECサイト構築ecbeingが70億円、デジタルマーケティングが30億円、ECクラウドサービスが8億円)で、ITソリューション事業が86億円(ITクラウドサービスが16億円、セキュリティ・インフラ構築サービスが43億円、パッケージが18億円、IT機器販売が9億円)としている。なお会計基準変更の影響は特にIT機器販売において見掛け上の減収要因となる。
第3四半期累計は売上高が156億65百万円、営業利益が前年同期比19.5%増の31億45百万円、経常利益が22.3%増の32億49百万円、親会社株主帰属四半期純利益が23.6%増の18億89百万円だった。収益認識基準適用の影響額として、従来方法に比べて売上高が49億71百万円減少、売上原価が50億円減少、営業利益、経常利益、税金等調整前四半期純利益がそれぞれ28百万円増加している。
収益認識基準適用のため見掛け上は減収の形(特に物品販売の売上に影響)だが、従来基準による売上高は17.7%増の206億円だった。ECサイト構築やECクラウドサービスへの投資需要が高水準に推移してECソリューション事業が順調に拡大した。子会社エイトレッド<3969>のワークフローサービスなどITソリューション事業も順調に拡大した。人件費の増加などを吸収して大幅増益だった。
セグメント別に見ると、ECソリューション事業は売上高が86億45百万円で、セグメント利益(全社費用等調整前経常利益)が22.6%増の25億07百万円、ITソリューション事業は売上高が70億20百万円で、利益が24.9%増の17億58百万円だった。収益認識基準適用の影響額として、ECソリューション事業は売上高が17億45百万円減少して利益が26百万円増加、ITソリューション事業は売上高が32億25百万円減少して利益が2百万円増加している。
なおECソリューション事業の売上構成比はECサイト構築が58.9%、デジタルマーケティングが20.7%、ECクラウドサービスが6.8%、ITソリューション事業の売上構成比はセキュリティ・インフラ構築が33.1%、ITパッケージが13.1%、ITクラウドサービスが12.1%、IT機器が11.9%だった。
四半期別に見ると、第1四半期は売上高が49億26百万円で経常利益が9億51百万円、第2四半期は売上高が53億51百万円で経常利益が11億98百万円、第3四半期は売上高が53億88百万円で経常利益が11億円だった。
通期もクラウドサービスが大幅伸長し、人件費・採用費・広告宣伝費の増加を吸収して2桁増収増益予想としている。先行き不透明感を考慮して通期予想を据え置いているが、第3四半期累計の進捗率は売上高が81.6%、営業利益が88.6%、経常利益が90.9%、親会社株主帰属当期純利益が94.5%と高水準である。通期予想は上振れが濃厚だろう。さらにEC市場拡大やDXの流れも背景として、積極的な事業展開で中長期的に収益拡大基調だろう。
■株主優待制度は3月末と9月末の年2回
株主優待制度は毎年3月31日および9月30日現在の1単元(100株)以上保有株主に対して実施している。優待内容は保有株式数および保有期間に応じてオリジナルQUOカードを贈呈する。
■株価は高値更新
22年1月7日に発表した自己株式取得(上限12.5万株・5億円、取得期間は22年1月11日~22年3月11日)については、22年2月28日時点での累計買付株式数が8万6100株となっている。
株価は地合いが悪化する中でも逆行高の展開となり、3月3日には上場来高値を更新する場面があった。好業績を評価して利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。3月4日の終値は4590円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS150円51銭で算出)は約30倍、今期予想配当利回り(会社予想の40円で算出)は約0.9%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS958円00銭で算出)は約4.8倍、時価総額は約632億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)