アイフリークモバイルは調整一巡、NFTコンテンツ分野に注力

 アイフリークモバイル<3845>(JQ、新市場区分スタンダード)は、電子絵本アプリや知育アプリなどのコンテンツ事業、および人材派遣のコンテンツクリエイターサービス(CCS)事業を展開し、次世代ブロックチェーン技術を活用したNFT(非代替性トークン)コンテンツ分野も注力している。22年3月期は親子向けアプリのアップデート効果などで営業黒字転換予想としている。積極的な事業展開で収益改善基調だろう。株価は地合い悪化の影響で反発力の鈍い展開だが、一方では大きく下押す動きも見られない。調整一巡して出直りを期待したい。

■コンテンツ事業とコンテンツクリエイターサービス事業を展開

 携帯電話・スマートフォン向けコンテンツ企画・開発・配信のコンテンツ事業、WEBコンテンツ制作・システム受託開発および人材派遣のコンテンツクリエイターサービス(CCS)事業を展開している。

 21年3月期の売上高構成比はコンテンツ事業9%、CCS事業91%、営業利益構成比(調整前)はコンテンツ事業59%、CCS事業41%だった。

 コンテンツ事業は、デジタル素材「デココレ」を主力として、電子絵本アプリや知育アプリ「あそびタッチ」などの親子向けサービス、オリジナル絵文字やグループチャットを搭載したウォレットアプリ「Challet」も展開している。絵本アプリ「森のえほん館」は500冊以上の作品を収録し、累計130万ダウンロードを記録している。

 デジタルコンテンツについては、クリエイター支援WEBサイト「CREPOS」によって約1万人の外部登録クリエイターを組織化し、20万点以上のデジタル資産を有している。

 CCS事業では、21年1月に孫会社ファンレボの全株式を譲渡、21年2月に子会社アイフリークGAMESを吸収合併、21年6月に子会社リアリゼーションを吸収合併し、CCS事業の運営体制を効率化した。

 なお22年2月には有信アクロス(大阪府吹田市)と、障がい児向け知育アプリ提供事業に関する業務提携に向けた基本合意書を締結した。有信アクロスは全国219ヶ所で放課後等デイサービス「ウィズ・ユー」をフランチャイズ展開するとともに、児童発達支援も行っている。知育アプリを搭載したタブレット端末提供や、障がい児用アプリ開発に向けてテストマーケティングを実施する。

■NFTコンテンツ分野も注力

 成長戦略はCCS事業を基盤にコンテンツ事業の収益化を目指す方針としている。重点施策として、コンテンツ事業におけるユーザー数の拡大、20万点以上のデジタルコンテンツ資産の有効活用、CCS事業における人材確保、専門領域に特化したエンジニアチームの育成、協業先の開拓などを推進する。さらに次世代ブロックチェーン技術を活用したNFT(非代替性トークン)コンテンツ分野も注力している。

 20年9月にはミャンマーの新興通信事業者GALAXIA社と、ミャンマーにおけるモバイルコンテンツサービス分野およびシステムインテグレーション分野で業務提携した。20年10月にはRPA導入コンサルティングサービスのITSO社と業務提携、20年11月にはITエンジニア育成EdTechサービスのヒートウェーブと業務提携、20年12月にはAI CROSS社とセールスパートナー契約を締結した。

 21年10月には、UUUM<3990>の子会社で次世代ブロックチェーン技術を活用したデジタルトレーディングカード専門のNFTマーケットプレイス「HABET(ハビット)」を運営するFORO社と、戦略的業務提携契約を締結した。CREPOSクリエイターへのNFT販売支援や、新たなNFTコンテンツの開発・販売などを共同で推進する。

 そして21年11月には、FORO社が運営するNFTマーケットプレイス「HABET」を活用し、クリエイター向けNFT出品支援プログラム「CREPOS NFT 支援プログラム第1弾」を本格始動した。

 21年12月には、ブロックチェーンに関するコンサルティング事業や暗号資産交換業向けウォレットシステム開発などを展開するHashPortと、NFTマーケットプレイス「CREPOS NFTマーケット」の開設、およびNFT分野における新たな取り組み開始に関する契約を締結した。クリエイターのNFTアートをメタバース上で展示・販売する新サービスなども検討する方針だ。

■22年3月期黒字予想で収益改善基調

 22年3月期連結業績予想(収益認識会計基準適用だが損益への影響軽微)は、売上高が21年3月期比5.4%減の29億24百万円、営業利益が1億16百万円の黒字(21年3月期は1億51百万円の赤字)、経常利益が1億64百万円の黒字(同13百万円の黒字)、親会社株主帰属当期純利益が1億14百万円の黒字(同73百万円の赤字)としている。

 第3四半期累計は、売上高が前年同期比17.7%減の19億55百万円、営業利益が1億32百万円の黒字(前年同期は1億37百万円の赤字)、経常利益が10.4倍の2億17百万円、親会社株主帰属四半期純利益が7.4倍の1億88百万円だった。

 コンテンツ事業の堅調推移、コンテンツクリエイターサービス事業の不採算部門統合による販管費圧縮やエンジニア稼働率維持などで営業利益が黒字転換し、経常利益と親会社株主帰属四半期純利益は大幅増益だった。営業外収益では助成金収入が減少(前年同期は1億09百万円計上、今期は65百万円計上)した。なお収益認識会計基準適用の影響額として、従来方法に比べて売上高と売上原価がそれぞれ2百万円増加したが、利益への影響はなかった。

 コンテンツ事業は売上高が6.1%増の2億14百万円、セグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が2.1倍の68百万円だった。電子絵本アプリの毎週新作配信や著名人とのコラボ絵本配信、NFTへの取り組みなどを推進した。

 コンテンツクリエイターサービス事業は、売上高が19.9%減の17億41百万円、利益が7.8倍の2億40百万円だった。不採算部門統合による販管費圧縮や、DX推進に伴うエンジニア稼働率維持などで損益改善した。

 なお四半期別に見ると、第1四半期は売上高が6億58百万円で営業利益が31百万円、第2四半期は売上高が6億41百万円で営業利益が41百万円、第3四半期は売上高が6億56百万円で営業利益が60百万円だった。営業黒字が定着して収益改善基調である。

 通期予想は据え置いている。今期の黒字化達成と次期以降の成長に向けた収益基盤を構築するため、コンテンツ事業では親子向け教育・知育コンテンツの改修と機能拡充、コンテンツクリエイターサービス事業では収益性と成長性の確保に向けた協業先の開拓や新規事業の推進を強化する方針だ。

 第3四半期累計の進捗率は売上高が66.9%、営業利益が113.8%、経常利益が132.3%、親会社株主帰属当期純利益が164.9%だった。各利益は通期予想を超過達成している。積極的な事業展開で収益改善基調だろう。

■株価は調整一巡

 株価は地合い悪化の影響で反発力の鈍い展開だが、一方では大きく下押す動きも見られない。調整一巡して出直りを期待したい。3月10日の終値は138円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS6円52銭で算出)は約21倍、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS24円08銭で算出)は約5.7倍、そして時価総額は約25億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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