【アナリスト水田雅展の銘柄分析】セキドは06年以来の高値水準、インバウンド需要で収益改善期待

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 セキド<9878>(東2)は海外ブランド品などを扱うファッション専門店チェーンを展開している。株価は6月中旬に動意付いて06年以来の高値水準まで急伸した。第1四半期業績は赤字幅が拡大したがネガティブ反応は限定的だ。訪日外国人旅行客のインバウンド需要も追い風であり、収益改善期待で水準切り上げの展開だろう。

■ファッション専門店事業を展開

 12年10月に家電の店舗販売事業から撤退してファッション専門店事業に経営資源を集中した。海外ブランド品などを扱うファッション専門店「GINZA LoveLove」「スーパーセレクトショップラブラブ」を直営で展開している。15年2月20日期末の店舗数は首都圏中心に23店舗である。

 収益力強化に向けた中期成長戦略として「GINZA LoveLove」のブランディング強化、小売法人向け商品供給や販売業務委託事業の強化、EC事業の強化を推進している。

 14年7月にはラオックス<8202>と業務提携した。当社がラオックスに対して高級ブランド品(バッグ・財布など)を提供し、ラオックスが当社に対して高級時計を中心とした宝飾品を供給する。相互の効率的な商品供給体制を確立して販売増につなげる戦略だ。ネット通販についてはストリーム<3071>と業務提携している。

 また訪日外国人旅行客のインバウンド需要への取り組みとして、6月25日から既存23店舗すべてで認可を取り免税販売を開始した。

■16年3月20日期は決算期変更で13ヶ月決算

 15年2月20日期の四半期別の推移を見ると、売上高は第1四半期(2月21日~5月20日)24億円、第2四半期(5月21日~8月20日)21億99百万円、第3四半期(8月21日~11月20日)20億74百万円、第4四半期(11月21日~2月20日)34億95百万円で、営業利益は第1四半期69百万円の赤字、第2四半期1億63百万円の赤字、第3四半期1億91百万円の赤字、第4四半期2億63百万円の赤字だった。

 消費増税の影響などで営業赤字だったが、クリスマス商戦などで第4四半期の売上構成比が高い収益構造である。

 なお決算期(事業年度の末日)を毎年2月20日から毎年3月20日に変更したため、今期(16年3月20日期)は経過期間として変則の13ヶ月決算となる。

 7月3日に発表した今期(16年3月20日期、13ヶ月決算)第1四半期(2月21日~5月20日)の非連結業績は、売上高が前年同期比5.5%減の22億68百万円、営業利益が1億03百万円の赤字(前年同期は69百万円の赤字)、経常利益が1億18百万円の赤字(同89百万円の赤字)、純利益が1億23百万円の赤字(同92百万円の赤字)だった。

 不採算店1店舗の閉鎖、および売場効率向上に向けた3店舗の減面改装の影響などで減収となり、売上総利益も減少して各利益の赤字幅が拡大した。ただし、免税店小売法人向けの商品供給によるインバウンド需要の取り込み効果などで、高単価商品は好調だったようだ。また既存店の業績も4月以降は回復に転じているようだ。

 セグメント別売上高は、ファッション部門が同3.9%減の21億94百万円、賃貸部門が同2.6%増の41百万円、その他部門が外商部門における大型案件の一巡で同57.9%減の32百万円だった。

 通期(13ヶ月決算)の非連結業績予想は、前回予想(4月3日公表)を据え置いて売上高が124億円、営業利益が1億60百万円、経常利益が90百万円、純利益が60百万円としている。前期(15年2月20日期、12ヶ月決算)は売上高が101億68百万円、営業利益が6億86百万円の赤字、経常利益が7億58百万円の赤字、純利益が8億55百万円の赤字だった。配当予想は無配継続としている。

 小売法人向けの商品供給事業・販売業務委託事業・EC事業の強化、滞留期間短縮による商品在庫の鮮度アップ、売れ筋商品の機会ロス低減などによる売上総利益率の改善、店舗運営の効率化、さらにチラシ販促からメルマガ販促や中国向けSNS販促への切り替えによるコスト削減なども寄与して、各利益とも黒字化予想だ。

 消費増税や天候不順の影響一巡に加えて、賃金上昇よる消費マインド改善効果が期待される。さらに訪日外国人旅行客のインバウンド需要への取り組みとして、6月25日から既存23店舗すべてで認可を取り、免税販売を開始した効果も期待される。第1四半期は赤字幅が拡大したが、通期ベースでは収益改善基調が期待される。

■株価は動意付いて06年以来の高値水準

 なお決算期変更(事業年度の末日を毎年2月20日から毎年3月20日に変更)に伴う株主優待制度の基準日変更を発表している。変更後は毎年3月20日および9月20日現在で1000株以上所有株主に対して実施する。ただし今期(16年3月期)は経過期間として変則決算(13ヶ月決算)のため、今期に限って9月20日ではなく8月20日とする。

 優待内容については変更なく、1000株以上所有株主に対して一律「株主ご優待券5%割引券」5枚、3000株以上所有株主に対して「1000株あたり500円のお買い物券+株式数に応じたお買い物券」を贈呈する。さらに2年以上継続保有の株主に対しては「お買い物券」が上乗せされる(詳細は会社ホームページ等で確認)。

 株価の動きを見ると、6月中旬に動意付き、150円~160円近辺でのモミ合いから上放れて6月17日の285円まで急伸した。06年以来の高値水準だ。その後はやや乱高下したが徐々に下値を切り上げる展開だ。第1四半期の赤字幅拡大に対するネガティブ反応は限定的だった。インバウンド需要に対する期待感のようだ。

 7月15日の終値236円を指標面で見ると、今期予想PER(会社予想のEPS4円23銭で算出)は55~56倍近辺、実績PBR(前期実績のBPS199円79銭で算出)は1.2倍近辺である。

 日足チャートで見ると25日移動平均線が追いついてサポートラインの形となった。また週足チャートで見ると長期モミ合いから上放れた形であり、13週移動平均線がサポートラインの上昇トレンドとなりそうだ。訪日外国人旅行客のインバウンド需要も追い風であり、収益改善期待で水準切り上げの展開だろう。

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