【注目の決算銘柄】パシフィックネット:3年後に営業利益2.7倍の中期計画を策定

■前5月期はPCからモバイル機器への環境変化に先行投資し増収減益

 中古IT機器のリユース販売などを行うパシフィックネット<3021>(東マ)は15日の取引終了後、2015年5月期の連結決算と中期経営計画「VISION 2018」(16年5月期~18年5月期)を発表し、各事業間の相乗効果やマーケティング強化などを推進することにより、中期計画の最終年度には売上高65億円(15年5月期実績比44.7%増)、営業利益6.0億円(同2.7倍)などを目指す方針を打ち出した。ROE(株主資本利益率)は9.7%から10.0%以上を目指す。

■配当は16年3月期に3円増額して年19円の見込みに

 15年5月期は、ウインドウズXPのサポート終了にともなう需要が一巡した結果、中古パソコンなどの需要は反動減の状況で推移する一方で、中古スマートフォン・タブレット等の中古モバイル機器への需要は増加傾向をみせた。こうした中で、顧客数の拡大や市場変化への対応、将来収益の拡大のための先行投資などを積極的に実施し、連結売上高は44億9100万円(前期比10.7%増)となり、営業利益は2億2700万円(同20.3%減)、純利益は1億8200万円(同0.6%減)となった。

 配当は、15年5月期は中間配を行わず期末配当を前期と同額の16円(連結配当性向45.4%)とし、次期は、中間配当を行わず期末配当を3円増額して19円(連結配当性向46.2%)の見込みとした。

■レンタル事業では大手企業からパソコン・タブレットの長期大型案件を受注

 引取回収・販売事業は、中古パソコン等の入荷台数は前年とほぼ同水準を確保した一方、中古パソコンの需要が反動減となり、モバイル機器は仕入れを強化して大幅に入荷台数が増加し、店舗・インターネット通信販売の強化により、個人販売も法人販売も好調に推移した。

 レンタル事業では、大手企業からパソコン・タブレット約9000台、契約期間4年、契約金額約8億円の大型案件を受注したことが特筆され、年間を通した営業活動の強化により顧客基盤が拡大し、受注残高が増加した。この大型案件は、5月期末時点においても納品継続中で、最終的には約1万台、契約金額約9億円となる見込み。さらに、昨年12月の衆議院選挙に関連したパソコン1200台超の短期レンタル案件も寄与し、レンタル事業の部門営業利益は前年同期比572.6%増となった。

■PCからモバイル機器への市場変化に積極的に対応

 今後の見通しについては、中古パソコン市場は「XP」のサポート終了に伴う反動減の影響が続く半面、中古モバイル市場は引き続き拡大が予想され、2016年1月のマイナンバー制度の開始などにより、中古IT機器市場は一層、安全・確実な処分、セキュリティ担保、完全なデータ消去や消去証明書サービス等の需要が拡大する見通し。新品情報機器の導入市場でも、特に、モバイル機器において、タブレットの利用拡大やモバイル機器とクラウドを活用した様々なビジネスモデルの広がりが進んでいる。

 こういった市場変化や機会に対応するため、中期計画「VISION 2018」(16年5月期~18年5月期)では、新たに次の3か年を「持続的成長・高い収益性を可能とする新たな事業モデルへのステップ」と位置付け、変化への適応、各事業間の相乗効果の拡大、競争優位の強化、付帯事業の展開を着実に進める。また、技術革新や市場変化に対応した新たなリユース市場・レンタル市場の創出・拡大を推進する。こうした取り組みにより、最終年度には売上高65億円(15年5月期実績比44.7%増)、営業利益6.0億円(同2.7倍)を目指し、ROE(株主資本利益率)は9.7%から10.0%以上を目指す。

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