【どう見るこの相場】期末特有のリバランス相場は金利敏感株と高値期日向かい関連株にジャンプアップ期待

 「敵は本能寺にあり」か、それとも出陣先は主君の下命通りの「中国攻め」か?あの織田信長に謀反を起こした「本能寺の変」の明智光秀のように迷い悩ましい。この迷う「敵」とは、もちろん市場マインド的に敷衍すれば、株価を動かすカタリスト(材料)となる。前週の日米両市場では、日経平均株価もダウ工業株30種平均(NYダウ)も、ともに5日続伸し、日経平均は6%超、NYダウは5%超と記録的な棒上げを演じたが、このカタリストがいま一つ不確かだからだ。

 カタリストが、前週半ばのFRB(米連邦準備制度理事会)のFOMC(公開市場委員会)の結果発表なのか、それともウクライナ情勢を巡る停戦協議進展による地政学リスクの懸念後退なのか、この特定が、日々の値動きが、前週末18日の日中も上下に大きくブレており難しい。それでも両マーケットは、前々週の昨年来安値まで急落する無差別売りから、前週は、5日連続続伸するなかで無差別買いに変わってきたようにもみえる。この無差別買いが、今後も続くかどうかの判断にはカタリストの特定は不可欠である。

 要するに今後の相場展開を予測する上でのキーパーソンは、世界的に戦争犯罪人との指弾を浴びながらなおウクライナへの無差別攻撃をエスカレートさせているロシアのプーチン大統領か、米国の長期金利の先行きを決める米国のパウエルFRB議長かのどちらかであり、この二人の一挙手一投足から目が離せないということである。これを怠ると、「中国攻め」から京都に駆け戻る「中国大返し」のサプライズで主君の仇を討って天下を取り戦国乱世に終止符を打った豊臣秀吉となるか、その秀吉との「山崎の戦い」で敗れて「三日天下」に終わった明智光秀になるか位の大きな分岐点になる可能性がある。

 しかも時節は期末である。東京市場では3月期の年度末、米国市場では1~3月期期末で、期末特有の需給要因が働く。米大手証券のストラテジストは、地政学リスクとインフレ進行で評価額が落ち込んだ年金基金や政府系ファンドは、このポジションを再構築するためにリバランス(投資配分比率の見直し)買いを行う必要があり、その株式買付額は27兆円超に達するとの予想を明らかにしている。1年前の昨年3月期末の東京市場では、新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的な感染爆発)や米投資会社の債務不履行問題なども重なり期末のリバランス売買は売り先行となったことは記憶に新しいところで、米ストラジテストの見立て通りなら様変わりとなる。

 この予測通りにリベンジ資金の一部でも東京市場に流入するとすれば、次の問題は、ファンド筋のポジション調整でより騰勢を強めるのがグロース株(成長株)かバリュー株(割安株)かということになる。そこで今週の当特集では、期末に配当権利取り、配当の再投資も加わることから、キーパーソンとしてインフレファイターとして歴史に名を残すことを目指すパウエルFRB議長に注目したい。実際に東京市場の連休中の前日21日に米国市場では、パウエル議長の大幅金利引き上げ示唆発言で、10年物国債利回りは一時、2.32%と2年10カ月ぶりの高水準となり、つれてNYダウは、201ドル安と6営業日ぶりに反落した。

 この長期金利上昇で利ザヤ拡大や運用環境が改善すると期待されるとすれば、金利敏感系のメガバンク株、生損保株をマークするところだろ。またこの3月期末は、昨年9月に昨年来高値をつけた主力株の高値期日到来となることからこの高値期日向かいの需給相場にも注目した。この二本足打法でジャンプアップできれば、秀吉並みに乱世相場に一区切りをつけることをなるかもしれない。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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