【株式市場特集】主力の不動産株よりもまず小型の不動産株中心に先回り、打診買いするのに一考余地

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■「木(個別銘柄)」を見るか「森(相場全体)」を見るかの分岐点

 新年度入りとともに、「有事」トレンドが「平時」モードへ切り替わることは期待しずらい。ということは、目先筋中心にリスクオン・リスクオフが忙しく交錯する日替わりメニューが、中長期投資家の新規マネーが流入してファンダメンタルズ重視のマーケットに転換する相場シナリオの実現には時間が掛かるということでもある。しかしである。ここは「木」を見るか「森」を見るかの分岐点であると捉えることもできるのではないか?個別銘柄(木)ごとの小さな変化からボトムアップして相場全体(森)のトレンドを推し量る投資スタンスへの示唆である。そこで今週の当特集は、この「木」銘柄を重視することにした。「木」銘柄の急動意は、不動産株の浮上を先取りしているようにも見え、これにフォーカスするのである。

 「木」銘柄とは、スター・マイカ・ホールディングス<2975>(東証プライム)である。同社株は、3月31日に今2022年11月期業績を上方修正し、連続最高利益を伸ばし、配当も増配することからストップ高するとともに東証1部値上がり率ランキングのトップに躍り出た。と同時にこの株価急騰が、同業他社にも波及し、新高値更新銘柄は同社株を含めて12銘柄に達し、値上がり率ランキングの上位にランクインする銘柄も続出したのである。

 スター・マイカの業績上方修正は、新築マンションの価格が高騰し高止まりするなか、中古マンションを買い取り、リフォームして販売するリノベーションマンションの販売価格が相対的に割安となって好調に販売戸数を伸ばしていることによるもので、実需に裏付けされた上方修正要因となっている。この実需系銘柄では、「ウイズ・コロナ」の在宅勤務・リモートワーク拡大の「巣ごもり」需要で戸建て住宅の販売戸数を拡大させたハウスビルダー株が代表となった。しかし1日に高値を更新した銘柄には、不動産へのオルタナティブ投資(代替投資)を強めている海外のフアンド筋や富裕層、ハイサラリー層、サラリーマン投資家向けに仲介業務やコンサルティング、情報提供する不動産テック企業も含まれている。そしてこの2つの不動産株に共通するのは、投資採算的に割安ということである。

 また日銀の「指し値オペ」のよる金利上昇抑制は、不動産投資の資金調達コストを低位で安定させる追い風となるばかりか、同時に日米の金利差拡大により円安・ドル高が進み、海外投資家向けに日本の不動産価格の価格優位性を鮮明化する効果も発揮する。まさに「木」から「森」へボトムアップする道筋を示してくれるかもしれないのである。主力の不動産株よりもまず小型の不動産株中心に先回り、打診買いするのに一考余地がありそうだ。

■高値更新銘柄も業績上方修正銘柄も低PER・PBRなど多くの共通点

 スター・マイカと同様の「木」銘柄は、まず同社株と同様に年初来高値を更新した11銘柄となる。コード番号順に列挙するとセントラル総合開発<3238>(東証スタンダード)、アーバネットコーポレーション<3242>(東証スタンダード)、アールエイジ<3248>(東証スタンダード)、地主<3252>(東証プライム)、東武住販<3297>(東証スタンダード)、ロードスター・キャピタル<3482>(東証プライム)、日本情報クリエイト<4054>(東証グロース)、リベレステ<8887>(東証スタンダード)、毎日コムネット<8908>(東証スタンダード)、穴吹興産<8928>(東証スタンダード)、インテリックス<8940>(東証プライム)となる。多くに低位値ごろ妙味があり、低PERでPBRも1倍割れに放置されている銘柄も目立つ。またロードスター・キャピタルは、東証マザーズから東証第1部に市場変更されたばかりで、市場区分に際してプライム市場を選択し、インテリックスは、スター・マイカと同業のリノベーションマンションを展開している。

 第2の「木」銘柄は、スター・マイカと同様に今年2月の足元以降に業績を上方修正した割安株である。時系列的にあげるとLib Work<1431>(東証グロース)、日住サービス<8854>(東証スタンダード)、三井不動産<8801>(東証プライム)、グランディハウス<8999>(東証プライム)、アンビション DX ホールディングス<3300>(東証グロース)、ランディックス<2981>(東証グロース)、ナイス<8089>(東証スタンダード)、ファーストロジック<6037>(東証スタンダード)、プロパティエージェント<3464>(東証プライム)、レーサム<8890>(東証スタンダード)、アールプランナー<2983>(東証グロース)となる。上方修正時には株高反応したものの、その後の全般相場の波乱とともに下値を探った銘柄も多く、見直し買いが再燃する展開も想定される。

■不動産テック株は「アフター・コロナ」でチャンスが拡大し急落・急騰銘柄も浮上

 このほか不動産テック関連株の割安株は、待ち伏せ買いの余地がある。ゴード番号順にあげるとタスキ<2987>(東証グロース)、And Doホールディングス<3457>(東証プライム)、アルヒ<7198>(東証プライム)、シノケングループ<8909>(東証スタンダード)と続く。マーケットが、「ウイズ・コロナ」から経済活動正常化の「アフター・コロナ」が強まればチャンスが拡大することが期待される。またSREホールディングス<2980>(東証プライム)は、投資採算的には割高で無配継続となっているが、ヤフーとの業務見直しに伴う株式売り出しや新株式発行でストップ安を交えて1400円安し、この時つけた年初来安値2473円からファイナンス終了で1200円高と急反発、前週末1日には東証1部値上がり率ランニングの第5位に躍り出ており、このボラティリティの高さはなお株高材料として意識されよう。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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