協立情報通信は売り一巡、23年3月期収益拡大基調

 協立情報通信<3670>(東証スタンダード)はソリューション事業とモバイル事業を展開している。22年5月公表予定の中期経営計画2024では、サステナブル経営、事業別ポートフォリオ再構築(法人関連ビジネスの強化、店舗ビジネスの変革)、継続収益拡大(クラウドサービス深化、レンタルサービス拡大、サポートサービス強化)を推進する方針だ。22年3月期(決算期変更で13ヶ月決算)はコロナ禍や販管費増加の影響を受けるが、23年3月期はDXや5Gの本格化も背景として収益拡大基調だろう。株価はモミ合いから下放れの形となったが、目先的な売り一巡して出直りを期待したい。

■ソリューション事業とモバイル事業を展開

 中堅・中小企業のICT(情報通信技術)化実現に向けたソリューション事業、およびドコモショップ運営のモバイル事業を展開している。21年2月期のセグメント別売上高構成比はソリューション事業41%、モバイル事業59%、営業利益構成比(調整前)はソリューション事業59%、モバイル事業41%だった。

 ソリューション事業は、NEC<6701>、NTTドコモ<9437>、オービックビジネスコンサルタント<4733>、日本マイクロソフト、サイボウズ<4776>の主要パートナー企業5社の製品・サービスを融合し、情報インフラ、情報コンテンツ、情報活用の3分野を総合したワンストップソリューションの「経営情報ソリューションサービス」を提供している。

 体感型フューチャーラボの「協立情報コミュニティー」において、製品活用体験セミナー、フェア、イベント、システム導入相談会、教育サービスなどを提供していることも特徴だ。

 モバイル事業はNTTドコモの一次代理店であるティーガイア<3738>の代理店として、ドコモショップ6店舗(東京都内2店舗、埼玉県内4店舗)を運営し、個人向けモバイル端末などの店頭販売(店舗事業)および法人向けモバイルソリューション(法人サービス事業)を展開している。

■中期経営計画を22年5月公表予定

 東京証券取引所の新市場区分についてはスタンダード市場を選択し、上場維持基準適合に向けた計画書を開示している。中期経営計画2024(22年5月公表予定)の基本戦略を着実に遂行し、定量目標の達成による収益力の強化・利益の拡大、株主還元の充実、コーポレートガバナンスの充実、資本政策の検討・実施、IR活動の充実と情報発信の強化などによって企業価値の向上(時価総額の上昇)を図り、26年3月期にスタンダード市場上場維持基準の充足を目指すとしている。

 22年5月公表予定の中期経営計画(23年3月期~25年3月期)の定量目標には、25年3月期の売上高75億円、営業利益4.2億円、当期純利益2.8億円、純資産23.0億円、EPS232円、BPS1909円を掲げる。配当水準については配当性向30~40%を目途として、業績連動による適正な配当とともに、業績悪化時も一定水準を維持する方針としている。

 基本方針には「通信と情報の融合にモバイルを媒体として、設計・構築~導入支援・運用サポート~活用支援までをワンストップで提供することで、顧客の成長・発展に貢献する」を掲げ、基本戦略として、サステナブル経営、事業別ポートフォリオ再構築(法人関連ビジネスの強化、店舗ビジネスの変革)、継続収益拡大(クラウドサービス深化、レンタルサービス拡大、サポートサービス強化)を推進する。

 事業別ポートフォリオ再構築の法人関連ビジネスの強化では、情報通信の高度化や企業のDXなど成長分野への資源再配分、法人ビジネスの強化による売上構成比の変換、店舗ビジネスの変革では、手数料収入に依存しない独自商材による収益確保、店舗と法人部門の連携強化、店舗立地に応じた独自サービスを強化する。

 継続収益拡大のクラウドサービス深化では基幹業務から周辺業務への深耕など、レンタルサービス拡大ではサブスクリプションサービスによるDX化促進など、サポートサービス強化では各パートナーサービスを融合したソリューション提供などを強化する。

 なお資本政策の検討・実施については、流通株式比率37%以上の維持と株主利益に配慮しつつ、流通株式時価総額の適合に資する各施策(自己株式の処分、非流通株式の縮減、ストック・オプションの従業員行使など)について是非を検討する。

■23年3月期収益拡大基調

 22年3月期(決算期変更に伴う経過期間で13ヶ月決算のため前期比増減率は非記載)連結業績予想は、売上高が50億円、営業利益が2億円、経常利益が2億10百万円、親会社株主帰属当期純利益が1億40百万円としている。配当予想は21年2月期と同額の55円(期末一括)である。

 第3四半期累計は、売上高が前年同期比9.0%増の35億54百万円、営業利益が15.0%減の97百万円、経常利益が26.7%減の1億02百万円、親会社株主帰属四半期純利益が23.5%減の59百万円だった。コロナ禍の影響が和らいで増収だが、モバイル事業における販管費の増加などで減益だった。

 ソリューション事業は売上高が9.7%増の15億09百万円で、営業利益(全社費用等調整前)が30.3%増の3億64百万円だった。コロナ禍の影響が和らいで各種イベント活動を強化した。テレワークの環境整備に関する需要は一巡感だが、大型案件の緩やかに復調などで増収増益だった。なお受注高は第1四半期が前年同期比99.2%増の3億09百万円、第2四半期が8.1%増の2億19百万円だが、第3四半期は33.0%減の1億81百万円だった。半導体不足による商材供給不安から受注への影響が見受けられるとしている。

 モバイル事業は売上高が8.5%増の20億45百万円、営業利益が66.7%減の65百万円だった。売上面は、法人サービス事業がテレワーク需要の一巡で微減収だが、店舗事業ではコロナ禍の影響が和らいで来店客数が大幅に増加し、スタッフ対応スキル強化も寄与して12.1%増収だった。なお合計販売台数は、累計ベースでは前年同期比13.5%増加したが、四半期別に見ると第1四半期が50.3%増の9081台、第2四半期が11.7%増の6971台に対して、第3四半期は半導体不足による端末供給の不安定化も影響して14.1%減の6590台と減速した。利益面は、通信事業者の手数料条件改定による手数料収入減少、各種支援費減少に伴う販管費の増加などで減益だった。法人サービス事業においても販管費が増加した。

 四半期別に見ると、第1四半期は売上高が13億72百万円で営業利益が1億03百万円、第2四半期は売上高が10億46百万円で営業利益が21百万円の赤字、第3四半期は売上高が11億35百万円で営業利益が15百万円だった。第2四半期はコロナ禍第5波の影響を受けた。

 通期予想は据え置いている。コロナ禍の影響が継続すると想定するが、法人向け販売の強化や、イベントのオンライン化による販管費削減などで増収増益予想としている。なお通期予想(13ヶ月)に対する第3四半期累計(9ヶ月)の進捗率は、売上高が71.1%、営業利益が49.0%、経常利益が48.8%、親会社株主帰属当期純利益が42.7%だった。

 22年3月期はコロナ禍や販管費増加の影響を受けるが、23年3月期はDXや5Gの本格化も背景として収益拡大基調だろう。

■株主優待制度は毎年3月末の株主対象

 株主優待制度は毎年3月末時点で5単元(500株)以上保有株主を対象として、保有株式数に応じて島根県の特産品を贈呈(詳細は会社HP参照)する。

■株価は売り一巡

 株価はモミ合いから下放れの形となったが、目先的な売り一巡して出直りを期待したい。4月11日の終値は1501円、前期推定配当利回り(会社予想の55円で算出)は約3.7%、前々期実績連結PBR(前々期実績の連結BPS1475円59銭で算出)は約1.0倍、時価総額は約18億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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